経済産業省のWEBサイトより

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 11日、川内原発の再稼働が強行されたが、これはあくまでプロローグにすぎない。これから先、関西電力の高浜、大飯、九州電力の玄海、四国電力の伊方、北海道電力の泊と、再稼働計画は目白押しだ。

 先の記事でも指摘したが、これらの再稼働を実現するために、経産省や資源エネルギー庁、規制委員会、電力会社、自民党の利権政治家による原発安全神話拡散の情報操作、そして原発批判を押さえ込む報道圧力もどんどん激しくなっていくだろう。

 さらにもうひとつ、彼らが熱心にやっているのが、再生可能エネルギー潰しだ。最近も、自民党と経済産業省がそのために"言葉狩り"をしようとしているのをご存知だろうか。太陽光などの再生エネルギーを売る際、「クリーン」や「グリーン」「環境に優しい」「きれいな電気」といった言葉の使用を禁じることを決めたのだ。

 これを報じた朝日新聞(6月25日デジタル版)によると、再生エネルギーの買い取りを義務付けたFIT(再生エネルギーを電力会社が固定価格で買い取る制度)を使った電気を売るときの宣伝方法に"新たな規制"をかけるものだという。

 これは来年4月から開始予定の電力の一部自由化、つまり「各家庭が自由に電力会社を選べる」に向け公正を期すためとしているが、しかしどう考えても再生エネルギー潰し、妨害なのは明らかだろう。

 事故の教訓から、少し高くても再生エネルギーを選択する家庭も増えることが見込まれているため、そのニーズに対する事業者への嫌がらせでもある。

 そもそも福島原発事故以前、電力会社や経済産業省は原発について、莫大なカネを使い「地球に優しい」「クリーンエネルギー」といったPR文句を盛んに流布させてきた。

 それが一転、事故後にこれらの文句が真っ赤な嘘であり、使用できないと見るや、再生エネルギーにもそれを禁止する。笑止千万で姑息としかいえないものだが、しかし再生エネルギー潰しはこれだけではない。

 例えば今年になって経済産業省はFIT自体の見直しにも着手した。再生エネルギー発電の事業者に、事前に電力会社と契約することなどを義務づけるものだが、しかし、電力会社側がそれを拒否すれば事業が成り立たなく恐れのあるものだ。

 実際、これを予見させる事態は既に起こっていた。昨年、電力6社は揃って「太陽光の受け入れ可能な容量を超えてしまう」として太陽光の買い取りを次々と停止した。現行法で電力会社は設備等に問題がない限り、申し込まれた売電の契約をしなくてはいけない義務が課されている。にもかかわらず、新規の買い取り契約を一方的に停止したのだ。しかもこの事態に呼応するかのように経産省はFIT見直しを打ち上げた形だった。

 さらに事業者にとっては電源構成の開示、再エネの認定量に上限を設ける総量規制、太陽光発電の買い取り価格を大幅に引き下げる案などが検討されているという。

 まるで再生エネルギー導入にストップをかけるイジメのような事態だが、これにより再生エネルギー事業者にとって参入のハードルが高くなることだけは確かだろう。

「そもそもFITにしても毎年のように買い取り価格は下がり続けています。2015年度の事業主の大型太陽光価格は1キロワットあたり昨年より5円下げた27円に、家庭からの発電も3年連続で引き下げられているのが現状です」(大手紙経済部記者)

 こうした動きに呼応するように政府も「太陽光の総額に上限を設け、超える場合は新たな買い取りを打ち切る」との方針を発表している。

 これでは発電事業主だけでなく家庭の太陽光導入にもストップがかかる可能性が高い。

「経産省や電力会社は、太陽光などの再生エネルギーについて『自然環境に依拠していて不安定』『発電しない悪徳業者が横行している』などと様々な理由をつけて、再生エネルギーをまるで悪者のようにイメージコントロールしています。特に太陽光については今年2月、宮沢洋一経産相が『太陽光に偏るなどひずみが出ており、全般的な見直しを開始したい』などとその代表格のような扱いをされている。もちろんその裏には是が非でも原発を再稼働させたいという本音がある」(前同)

 こうして再生エネルギーを阻害する一方、逆に再生エネルギーを推進する政策は放置されたままだ。

 しかも冒頭の「クリーン」といった宣伝文句の規制について報じた全国紙は「朝日新聞」のみ。原発事故直後に大きな批判を浴びた原発ムラによるマスコミへの巨額の宣伝費投入が、現在はまたぞろ復活し、その癒着が横行し始めたことと無関係ではあるまい。

 姑息に、しかし着々と進んでいる再生エネルギー阻止と原発再稼働。こうした動きを見過ごしてはいけない。
(伊勢崎馨)