東アジアカップに見る3つの「YES」と1つの「NO」…選手に求められる世界標準とは

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文=青山知雄

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が大会前に掲げた目標は達成できたのか。

 その答えは「YES」であり、「NO」でもある。だが、どちらか一択を求められるのであれば、大会を通じて選手や関係者の声を拾ってきた立場から、間違いなく「YES」を選択する。

 7月23日にEAFF東アジアカップ2015に臨む日本代表メンバーを発表した際、指揮官は今大会の目標を明らかにしていた。一つは大会制覇、そしてもう一つが9月から再開するワールドカップ アジア2次予選に向けての新戦力発掘だった。

 同会見で「メンタルが見たい」とも説明していたハリルホジッチ監督は、年内にイラン、オマーン、イラン、シンガポール、カンボジアと海外での試合が続くことを念頭に、最終予選を含めた厳しい条件下で戦える選手を発掘し、代表チームの底上げを図る腹づもりだったのだろう。テストとタイトルの両立を問われて「もちろんタイトルを持って帰りたい」と語っていたが、同じ席で「できればタイトルも」と口にしていた事実もある。国内組限定で臨んだとはいえ公式戦だけに勝利にこだわってほしかった部分もあるが、チームは7月29日のJ1リーグを終えて30日に訪中し、8月2日から大会が開幕するという過密日程に悩まされた。戦術練習や紅白戦といった準備をできない状況で即席チームに無理やりタイトル獲得を優先させるより、テストやコンセプト共有、そして選手の見極めを進めたかったのは理解できる。指揮官が記者会見で何度もコメントしてファンや報道陣に理解を求めたのはこの部分だった。

 まず目標に関する「NO」は、このタイトル獲得という結果についてだ。

 2分け1敗で大会最下位という成績は、いろいろな困難があったことを差し引いても物足りない。選手同士はJリーグで対戦したことがあるとはいえ、同じチームでプレーし、さらに監督が求めるサッカーを形するには時間がなさすぎた。ただ、監督の戦術や選手の対応力の低さを指摘する声もあるが、朝鮮民主主義人民共和国代表との初戦で逆転負けを喫して以降、韓国代表戦では選手の判断も手伝って守備を立て直し、中国代表との最終戦では攻守に臨機応変さを表現するなど、選手たちはできる限りのプレーを見せたと言っていい。槙野智章(浦和レッズ)と森重真人(FC東京)を中心にコミュニケーションを取り、3試合目でしっかりチームとして機能していたことを考えれば、もう数日間の準備で成績は大きく変わっていたはず。監督も中国戦後に「あと3日あれば優勝できた」と話していたおり、選手たちが見せた対応力は評価したいと思う。

 この背景にはJリーグと大会のカレンダーに難しさがあるだけに今後の検討課題とすべきだろう。なお、これに関して霜田正浩技術委員長に聞いたところ、「そこは僕たちの仕事。これからJリーグともしっかりコミュニケーションを取っていく」と明らかにしている。中には「どうして今までやってこなかったのか」という意見もあるだろうが、監督が声高に過密日程への異議を唱えることが問題提起になってJリーグとの連係が進めば、今後に向けてのプラス材料になる。今さら感はありながら、「NO」とした部分の中にもポジティブな要素はあったと考えている。

 重要なのは「YES」の部分だ。実は今回、大会で結果を出せなかった一方で、プラス材料は非常に多かったと見ている。

 最初のポイントは新戦力発掘の部分だ。監督はアウェイの地で戦えるかどうか、そして海外組を含めた日本代表チームに入ってこられるかの見極めを目指し、一定の収穫を得たのは間違いない。中国戦後の記者会見でも「真の日本代表に入れる人材は何人か見つかった。何人かはまだ努力が必要だ」と話していた。