今大会の結果について、なかでも悔しがっているのは宇佐美だろう。新たなエースとしてインパクトを残したかったはず。(写真)SOCCER DIGEST

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 今さら改めて、僕が東アジアカップを総括する必要はないと思っている。だって、誰が見ても結果が出なかったのは明らかだよね? ダメ出しをし過ぎても面白くないし、ネガティブに振り返っても仕方ない。

 日本のサッカーは、クラブチーム単位で見れば助っ人の質などの問題でなかなか勝てない状況が続いていた。それでも代表チームは、アジアにおいては絶対的な地位を維持できるものだと思っていた。でも、その見立てはまったくの見当違いだった。

 選手の評価がそうであるように、日本代表というチームの実力についても、結果をもってジャッジする必要がある。つまりは、日本代表の「アジア最強論」は、この大会で完全に崩壊した。

 この結果を一番残念に思っているのは、結果を残せなかった選手自身なのは間違いない。なかでも悔しがっているのは、宇佐美貴史だろう。Jリーグであれだけ結果を残していて、しかも今回のチームには海外組もいない。そんな状況だからこそ、新たなエースとしてインパクトを残したかったはず。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督からの期待も感じ取っていただろうから、ノーゴールという結果はなおさら残念だったはずだ。

 宇佐美とは対照的に、武藤雄樹は結果を出した。その点で、彼は評価すべき選手だと思う。細かな戦術的評価については他の評論家の方々に譲るけれど、この大会を通してポジティブな面で“色”を出していた。

 中国戦では、ニアサイドに飛び込んでスライディングでゴールを決めた。日本代表の攻撃は、「高さ」ではなく「足もと」で勝負するスタイルであることを踏まえても、もっと見てみたいと思わせる選手だった。あのゴール以外にも、シュートパターンを持っているのではないだろうか。

 米倉恒貴も評価したいひとりだ。裏へのスピーディな飛び出しと、切り返しからのシュートは鋭かった。中国戦しか使われなかったが、そのワンチャンスでしっかりアピールしたと思う。米倉がジェフにいた頃に一緒にプレーしたことがあるけれど、もともと彼は素晴らしい才能を持っているプレーヤーだった。代表チームでも存在感を発揮できたのは嬉しい限りだ。

 ただし、残念なのはもう彼らが「27歳」であるということ。年齢で言えば、若手の部類には入らない。日本代表の「未来」を考えたら、もっと若い選手を試しても良かったのではないか。その意味でも、後味の良くない大会だった。
 この大会で感じた日本代表の根本的な問題点は、CB不足だ。

 世界的なCBのスタンダードで言えば185センチ以上が一般的になってきていて、守備はもちろん攻撃的センスも要求される。そう考えれば、諸条件をクリアできそうなのは海外組の吉田麻也しかいない。

 世界を見渡せば、CBというのは尋常ではないくらいの大きなスケールの持ち主ばかりなんだ。先日、ヨーロッパリーグのフィテッセ対サウサンプトンを現地で観戦したけれど、吉田が小さく見えてしまうほど、ツワモノたちが集まっていた。

 そんな舞台で戦う吉田は、本当に貴重な経験を積んでいる。さらに厳しいことを言ってしまえば、Jリーグで戦っている選手たちと比べれば、ますますその差は広がってしまうとも感じる。果たして吉田の後ろを振り返った時に何人が続いているのか。残念ながら、答えは「ゼロ」と言わざるをえないのが現状だ。

 中澤に続く選手として吉田が台頭できたのは、彼がJリーグを飛び出してキャリアを重ねてきたことが大きい。もともとポテンシャルも高かったけれど、彼が持っている才能が開花できたのは、海外という舞台に飛び出したのも大きな要因になったはずだ。

 さらには、長く代表の正GKを務める川島永嗣を脅かす選手も育っているとは言えない。そして、その川島ですら欧州で次の移籍先が決まっていない状況にある。そう考えれば、より不安はつきまとう。

 川島はすでに32歳だし、吉田だってそろそろ27歳になる。単純に考えても、次のロシア大会ではさらに3年という月日が流れる。

 現主力頼みのチームのままでは、将来的には厳しくなる。チームの安定にもつながるGKとCBの強化は欠かせない。日本代表の「未来」のために、若手の積極的な起用と、若手自身のさらなる奮起に期待したい。