これまではよほどの資産家でもない限り、「相続税」は心配する必要のないものだった。だが、今年1月の相続税増税によって、その常識が大きく変わった。

 最大のポイントは、「基礎控除額」が大幅に減額されたことだ。妻と子供2人が相続する場合、これまでは相続財産が「8000万円以下」なら課税されなかった。その基礎控除が今年から40%カットされ、「4800万円」を超えたら税金を払わなければならなくなった。税率は控除を超える額によって異なるが(10〜55%)、これまでは納税額がゼロで済んだ人でも納税の必要が出てくるのだ。

 相続財産は土地や家屋などの不動産という人が多いが、都市部に土地付きマイホームを持っている人は、土地分だけで控除額を超えるケースが多くなる。

 ただ、それに対抗する術がないわけではない。相続税対策の鉄則は、親(被相続人)の死亡時の財産を可能な限り減らしておくことだ。そこで、まず検討すべきは、贈与税の「非課税枠」のフル活用である。たとえば、「贈与を受ける1人あたり年間110万円まで非課税になる」という制度を利用すれば大きく納税額を抑えられる。

 この制度には人数制限がないので対象者をできるだけ増やし、長期間継続して行なうことがポイントだ。仮に子や孫など4人に対して10年間110万円を贈与し続ければ4400万円の財産を“減らす”ことができる。

※週刊ポスト2015年8月21・28日号