「連続テレビ小説 まれ Part2 」NHK出版 

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朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)8月8日(土)放送。第19週「潮時じゃがいもガレット」第114話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:渡辺一貴


114話は、こんな話


一徹(葉山奨之)が塩田を継ごうとしたわけは、生まれてくる子供に元治(田中泯)のような生き方を見せたいことと、元治と文(田中裕子)が必死で守ってきた塩田を守りたいという強い思いでした。そしてついに元治の心が動きます。さらに徹(大泉洋)も立ち直りを家族に宣言しました。

今日の、つっこ「まれ」


いい話のはずなのです。
尊敬できる生き方をしている元治と文の塩田を守りたいと涙ながらに訴える
一徹。
ずっと能登で元治たちと暮らしていた一徹だからこそ、元治たちの仕事を後世に残したいと思うようになったのでしょう。
パソコン頼りでカラダを動かさず、ひたすら合理的な考え方をしてきた現代の若者・一徹が、元治や文の生き方に触れて「安定とかどうでもいいげ」と思うようになったという非常にいい話なのです。
「守っているつもりで守られておったわいね」と文がしみじみ言うのも、深いなあと思います。
このせっかくのいい話を際立たせるために、これまで、茶化したエピソードをたくさん積み重ねたのかもしれないのですが、逆効果で、真剣な場面が唐突に思えてしまうんですね。
しかも、最後に、「まいもん」のマスター(諏訪太朗)が、店を希(土屋太鳳)に譲ると言いだすところで続く。
もちろん、次週の引きをつくらないといけないのはわかりますが、また、希に都合のいい展開に、と思うと、なんだかしょんぼりしちゃいました。土曜日だったからいいけれど、平日だったら虚しくてお仕事がんばる気分になれません。
彼女、次々、いい話が舞い込んでくる。
塗師屋が大変だから意を決して能登に戻ってきたはずなのに、弟のトレーニングしていたり、暢気に友人とお茶していたり、これなら、横浜でパティシエしていてもいいのでは。
ほんとに仕事や家事が大変なひとは、身内の面倒を見たり、友人と会ったりもできないほど追いこまれたりするのに。希ちゃんは暢気過ぎると思います。
横浜の大悟さんとか紺谷お義父さんとかいろんなひとの気持ちをちっとも背負っていないように見える。
主人公がこうだと、一徹が元治や文の生き方を継いでいくと言っても、説得力がないです。
徹のように「ああはなりたくない」と思われる生き方を主人公に託しているんでしょうか。
今週の「まれ」を見ていると、地方都市の後継者不足問題への切り込み方が、なにも考えてない能力不足の二代目が楽して先代の地盤を引き継いでいろいろなことを駄目にしていくことへの皮肉になっているような気さえしてきます。
「まれ」は、徹の世代も含め、次世代への絶望を描いているのとだしたら、なかなかの問題作ですよ。

今日の、救い


一徹に「ああはなりたくない」反面教師のように言われる徹でしたが、そのあと、3年ひとりで頑張っていたことについては評価されます。落とすだけでなくちゃんと持ち上げる。それが人間関係を良好にする秘訣ですね。
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))