ゴール正面に走り込んで、米倉のクロスに滑りながら合わせる。武藤の持ち味が凝縮された同点弾だったと言えるだろう。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

写真拡大

 0-1で迎えた42分、鮮やかに同点ゴールを沈めた。

【マッチレポート】日本 1-1 中国

 
 左サイドを駆け上がる米倉にボールが渡るやいなや、DFとの駆け引きを制してニアに走り込む。完全にマークを外した武藤は、滑り込みながら右足でインパクトし、ニアサイドをぶち抜いた。
 
「(ゴールは)自分の良さが出たと思います。北朝鮮戦の1点目も、レッズでよくやっている形でした。それをここ(代表)でも出せて良かったですし、そこまでつないでくれたみんなに感謝したいと思います」
 
 所属クラブで披露する普段着のプレーでの同点弾。同じような形で決めた北朝鮮戦のゴールと合わせて大会2得点と、代表デビューとしては十分すぎるアピールだ。
 
 とはいえ、その表情は浮かない。
 
「もっと点を取れるチャンスはあったので、決めてチームを勝利に導きたかった。これぐらいの出来では、両手を挙げて喜べる感じではないです」
 
 多くのチャンスに絡んだものの、結局は中国戦も1-1の引き分けに終わった。チームは2分1敗の最下位で大会を去っている。自分が2ゴールを挙げて大会得点王に輝いても、納得できるわけがなかった。
 
「ゴールを決めるという目標は達成できましたが、内容を振り返るとミスも多かった。例えば、(今日の試合では)前半のチャンスでもっと早く打ちきれていたら、後半もファーの空いているほうに狙えていたら入っていたと思います」
 
 それでも、少なからず手応えは得ている。今大会で2ゴールを叩き出した結果と、トレーニングで掴んだ感触は確かなものだ。
 
「代表でプレーして、自分でもできるという手応えは得ているので、これからも呼ばれたい。そのために、またチームに帰って結果を出し、(代表に)呼んでもらえるようなプレーを見せ続けていきたいと思います」
 
 日本代表として第一歩を踏み出し、さらなる欲も出てきた。すでに、視線は遥か先だ。武藤は語気を強めてハッキリと言った。
 
「監督はミーティングの時から『世界で戦うために』とずっと話しています。ロシアに向けての戦いをすごく意識しているので、僕たちもそういうところを目指して戦って行かなきゃいけない」
 
 国内組のトライアルで最もインパクトを残した自信が、いつの間にか意識も変えたのだろう。新参者という感覚は、もはや微塵もない。結果を残し続けて、いずれは「ロシア」へ。
 
 日本屈指の“ワンタッチゴーラー”は、進化を止めるつもりはない。
 
取材・文:五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)