YouTube「【あかりちゃん#2】HIGE MAX あかりのデス・ロード」より

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 今度のタイトルは「HIGE MAX あかりのデス・ロード」──。昨日8月8日夜、またしても"あのパロディ動画"がYouTubeに投稿された。
 
 パロられたのはもちろん、「教えて!ヒゲの隊長」の第2弾。これは、自衛隊OBの自民党・佐藤正久議員が「ヒゲの隊長」というキャラクターに扮し、「あかりちゃん」という女子高生キャラの疑問に答えるという自民党作成の安保法制PR動画だが、第1弾に対しては、あかりちゃんのセリフをそっくり入れ替えて安保法制の問題点を指摘するパロディ動画が一般ユーザーの手で公開され、大きな話題を呼んだ。ヒゲの隊長に対する毒舌と的確なツッコミが「ヒゲを完全に論破している」と絶賛され、"本家"の再生回数を超えてしまったのだ。

 そんななか、7月29日に自民党が第2弾を公開して、今回も?と期待を集めていたのだが、昨日、パロディ動画第2弾「HIGE MAX あかりのデス・ロード」がアップされたのだ。

 あかりちゃんは今回も絶好調だ。まず、冒頭で「ヒゲさあ、正直わたし、最高にがっかりしてる。今回のこれ、前回わたしが反論した範囲を全然出てない。同じことばっか言ってる」と斬って捨てた後、第2弾でロボット化してしまったヒゲの隊長に次々と鮮やかなツッコミを入れていく。

 たとえば、徴兵制。今回、ヒゲの隊長が徴兵制がありえないことを強調すると、あかりちゃんはこう切り返す。

ヒゲ「徴兵制は今の憲法では許されていないヨ」
あかり「それな。憲法違反野郎が都合のいいときだけ憲法言うのやめような」
ヒゲ「先進7カ国はどこの徴兵制をやっていないヨ」
あかり「うん、知ってるし。てか前にわたしがしたの、経済的徴兵制の話だよね。お金のない若者が貧困を理由にやむをえず自分から入隊するっていう、今のアメリカのやつね」

「経済的徴兵制」とは、本サイトでも報じたが、選択肢の少ない貧困層をターゲットにして軍志願を促す政策。今回、あかりちゃんは自民党の憲法軽視の姿勢に加え、こうした「経済的徴兵制」導入の動きがある事実を示すことで、たんに「憲法で徴兵制が否定されている」というヒゲの隊長の解答の胡散臭さを指摘するのだ。

 さらに、あかりちゃんは"安保法制は合憲"という自民党の詐術も暴いてくれる。自民党の動画では、違憲学者3人と合憲学者3人が議論して、それを説明するシーンが出てくるのだが、あかりちゃんはこれを見逃さない。

「これも指摘すんのも恥ずかしいんだけど、違憲と合憲それぞれの学者の数、ヒゲはわざと同じにしてるじゃん?」
「でもさ、ごめんねヒゲ。合憲って言ってるのはたった3人だって、もうみんな知ってんだわ。逆に、違憲と主張しているのは日本の全憲法学者400名のうち圧倒的多数(中略)。なにこの初歩的なウソ。こっちが顔赤くなるわ。これもう知らない人いないから先進むよ」

 また、ヒゲの隊長は安保法制が合憲である理由として安倍首相も大好きな例の砂川裁判の判決をもちだしているのだが、これもあかりちゃんにかかったら、一刀両断だ。

ヒゲ「サイッ、最高裁判所ショ......」
あかり「なに?」
ヒゲ「最高裁判所の判例の範囲内で国民を守るために集団的自衛権の一部を認める平和安全法制をつくったんダ!」
あかり「それ砂川判決の話でしょ。これもさあ、砂川裁判で認められたのは自衛権そのものの話で、集団的自衛権には触れてないし、当時の内閣の"昭和47年見解"でもはっきり集団的自衛権は違憲って結論出ちゃってるよね。なんでそこから逆の結論出ちゃうかなー」

 そのうえで、ヒゲの隊長はこう諭されてしまう。

あかり「ヒゲたちの言ってる屁理屈はね、『これはトマトだ。だからキャベツだ』ってのとほとんど同レベルだよ? ヒゲさ、トマトはトマトでキャベツじゃないよ、わかる?」

 これ、あかりちゃんの口が悪いという話ではなく、本当に「ヒゲの隊長」第二弾の説明はそのレベルなのだ。散々世間からその嘘や矛盾点が指摘されている安倍政権の説明を、壊れたラジオみたいに繰り返す。法案の瑕疵や矛盾点をネグって、ごくごく特殊なケースのみを例にしてゴリ押し、かと思えば急に関係のない話をもち出してごまかす。

 しかし、こんな反知性主義的やり口に、あかりちゃんは呆れつつも、無視はせずひとつひとつツッコんでいく。

ヒゲ「武力行使や集団的自衛権のことばかり話題になるけど、まず大事なことは平和外交なんダ」
あかり「平和外交とか言うけどさ、あんたたちこのあいだ国会でさんざん中国を名指しして危機感煽ったばっかじゃん。しかもそれどころか先制攻撃もありうるとか口走っちゃっててさあ、あれとか海外のメディアに流されちゃったらそれだけで外交やばいっしょ。あ、あれこのあいだわたしが『はっきり言え』って言ったから? なんか逆にゴメンね。世界中が注目してる審議の場でそんなことペラペラしゃべっちゃうこと自体、致命的に大失策なんだけど」

 あかりちゃん、なかなかの策士である。ほかにも、本家動画でヒゲの隊長が強調する"武力行使の新三要件=歯止め論"について、あかりちゃんはこう皮肉を込める。

あかり「ヒゲたちはこれ(新三要件)を見せて『こんなに限定しているんだから憲法違反じゃねーし』みたいに言うけどさあ、論点そこじゃないじゃんか。この(新三要件のひとつである)『存立危機事態』って言葉の定義が超曖昧で、あんたのキレやすいボスとかがさ、『僕が日本が危ないって思えば、戦争できるんだー!』とかになりかねないからやばいよね、ってのがさ、問題だったじゃん。わざわざ税金使ってわけわかんないアニメつくるならさ、まずそのやばさについて答えろよ......。もうあれかな? 政党助成金170億ももらってたら使い道とかどうでもいいのかな」

 また、"アメリカの戦争に自衛隊がどうかかわるか"という話題については、こんな調子だ。

ヒゲ「それはあり得ないヨ。さっきも言ったとおり、日本が武力行使をするのは日本国民を守るために限るんダ」
あかり「はい、個別的自衛権」「日本国民を守るためだけだったら集団的自衛権いらないよな」「そしたら普通、余計なリスク増やしてまで新しくする必要ないじゃん。なのになんで支持率爆下げしてまで通そうとするかって、それ国益じゃなくて、たんにアメリカとの約束断れないからでしょって言われちゃってもしかたなくね?」

ヒゲ「かつての湾岸戦争やイラク戦争のような戦争の参加を要請されたときには必ず断りマス」
あかり「一回ちょっと冷静に考えよ? この流れでヒゲにこれ言われて信じる人、いるかな? いまヒゲ、ドカ食いしながら『明日からダイエットします』って言っている人みたくなってる。」
「なんかもうさあ、これなんか議論以前の話じゃん。信頼できることを言いなさいとか言わせんなよ。わたしあんたの母ちゃんか。恥ずいわ」

 もう十分だろう。パロディ動画の最後に、あかりちゃんは「ヒゲさあ、もう嘘言うのやめよ?」「ヒゲは誰に操られてるの?」とヒゲの隊長を諭しているのだが、とにかくヒゲの隊長が何を言っても、次の瞬間にはその嘘とごまかしがあっさり暴露されてしまう。

 それも当然で、そもそも安保法制自体がなんの必然性もないままつくられたデタラメきわまりない法案なのだから、誰がどんな言い訳をしようが説得力をもたせることなど、不可能なのである。

 あかりちゃんの言うように、安倍政権と自民党はこんな「わけわかんないアニメ」をつくる金とヒマがあったら、その「ヤバさ」をちゃんと認めて、法案をとっとと撤回すべきである。
(宮島みつや)