菅澤の落としを上手くゴールに流し込んだ杉田。第1戦の北朝鮮戦に続き、結果を残した。小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 第1戦の北朝鮮戦で見せたスーパーミドルシュートは、決して“まぐれ”ではなかった。
 
「GKが来たので、その逆をねらって打ちました。入って良かったです」(杉田亜未)
 
 2-0で勝利した中国戦の後半アディショナルタイム、スルーパスに走り込んだFW菅澤優衣香が、相手に前進を阻まれてバックパス。そこに走り込んだのが、MF杉田だった。
 
「横山(久美)選手が決めて、勢いも出たと思うので、相手も疲れていましたし、走ったら絶対になにかが起こると思いました。最後、菅澤選手が粘ってくれて、あそこを決めれたので、ゴールは菅澤選手のおかげでもありますし、そこで決めたことを、自分のなかでも自信にしていきたいなと思います」(杉田)
 
 GKの位置を見て、冷静な駆け引きから、ファーサイドを狙った。第1戦の北朝鮮戦に続いてミドルシュートを叩き込み、杉田は自分がなでしこに必要な戦力であることを印象付けた。
 
 26分には、FKでも惜しいチャンスがあった。ペナルティエリア手前、やや左寄りで獲得した場面で、杉田は鋭いシュートをファーサイドへ放ち、ボールは相手GKの手をかすめて、ポストを叩いた。素晴らしい技術を備えた一発だった。
 
 ただし、得点、FKでのチャンスはすべて“フリー”で打てる、お膳立てされた場面だったことも指摘しておきたい。中国戦ではほかにもドリブルから何本かシュートを打ったが、相手DFのプレスを外したあとに、弾道を抑えることができず、ボールはことごとく浮いてしまった。
 
 相手のプレッシャーと、どう対峙していくのか。それはシュート場面だけの話ではない。
 
 前半は、MF川村優里と2ボランチを組んだが、中国の2ボランチが高い位置からふたりへプレッシャーをかけてきたため、あまりビルドアップの起点になれなかった。ボールポゼッションは、今大会の3試合で最も安定していたが、中国に与えた脅威が大きかったわけではない。両サイドをシンプルに突破したいくつかのシーンを除けば、前半に有効な攻撃は少なかった。
 そして後半、右サイドハーフに入っていた中島依美がボランチに下がり、杉田は左サイドハーフへ。佐々木則夫監督から、ポジションチェンジが指示された。
 
 第1戦の北朝鮮戦の前半を思い返すと、杉田は左サイドハーフで先発し、前半の途中にボランチへ移動。この時とは反対のポジションチェンジになった。つまり、北朝鮮戦の場合は、なでしこの2ボランチに1枚しかプレスがこなかったが、中国は2枚かけてきたため、よりプレッシャーの少ないなかでボールを受けられるポジションに、技術のある杉田を置きたかったということなのだろう。その采配は正しい。
 
 しかし、当の本人には、悔しさが残ったようだ。
 
「(中国が2ボランチにプレッシャーをかけてきたので、起点になれなかったのか?)ボールのもらい方だったり、そういうのが自分のなかで掴めなくて。それが改善し切れずに、後半にサイドに変わる形になったので、そこは自分では悔しさもあるんですけど。自分のなかでモヤモヤしている部分は、また帰って整理したいなと思います」
 
 なでしこリーグで所属する『伊賀FCくノ一』では、サイドハーフで起用される杉田だが、代表でのボランチでのプレーが消化不良に終わったことに、悔しさを覗かせた。その気持ちが、サッカー選手を高みへ引き上げる。
 
「チームではあまりないんですけど、大学(吉備国際大)の時は、ボランチをやっていました。ボールに関わりたいタイプなので、ボールに触って自分のリズムを作るほうが良い。そういう意味では、ボランチはボールに関わる回数が多いので、ボランチをやりたいという気持ちもありますね」