「フィジカル的には確実に良くなっていっています」。中国との最終戦では、コンディションを取り戻した宇佐美が攻撃を牽引してくれるだろう。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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  やや不機嫌そうだった1日前よりも、明らかに表情は柔らかかった。
 
 中国戦前日の8月8日の練習後の囲み取材に応じた、宇佐美のことである。
 彼は確かな手応えを得ていた。
 
 「初戦からだいぶ(休む)時間をもらって、こないだの試合(韓国戦)も10分くらいしか出なかったのでリカバーできている。フィジカル的には確実に良くなっていっています」
 
 7月11日からG大阪で6連戦。スルガ銀行カップの影響で22日に6節・鳥栖戦が行なわれたため、鳥栖の藤田を除く他のJ1勢より1試合多いスケジュールを強いられて、武漢の地に乗り込んだ。しかも東アジアカップ初戦の北朝鮮戦にも先発した宇佐美に、想像以上の疲労が溜まっていたのは間違いない。

 しかし、その状態から抜け出して、心と身体、その両方の充実を感じ出していた。
 
「試合が続いていた時に比べれば、すごく身体的にも楽になり、筋肉のストレスもあまりなくなってきたので、(中国戦は)良い感じでやれると思います」
 
 コンディションだけでない。実戦とトレーニングで重ねてきたコンビネーションも、「徐々に良くなってきている」。彼自身はこれまで2試合は無得点に終わっているものの、中国戦でのゴールのイメージはできている。
 
「ボールを奪って素早く攻めるのはもちろん、(ボールを)保持しながらの遅攻も多くなると思う。そういうなかやったら自分はどこで受けてもできると思う。どういう状況でパスを受けても、アイデアや質の部分を出せるようにしたい」
 
 ハリルホジッチ監督が求める縦に速いサッカーを意識しながら、状況に応じて「遅攻」も交える。「外で張って仕掛けたり、中央のスペースでパスを受けてそこから味方と絡みながらシュートまで行く。そういうイメージがある」と強調する。
 
 A代表に初めて選出されたり、久々に復帰したりした選手が多いなか、宇佐美の立ち位置は少し異なる。
 
 彼はハリルホジッチ体制下で行なわれた全6試合で出場しているのだ。その意味では、いわば主力であり、指揮官から期待されていることも分かる。それだけに、チームのパフォーマンスに対する意識も高い。
 
 彼が追い求めるのが、高いレベルでの調和だ。
 
「クオリティを持った選手の集まりだと思うので、その良さを消し合わず、しっかり連携して同じイメージを抱きながらやれるようにしたい。それができると思っている」
 
 もちろん、攻撃を引っ張るのは自分だという自負はあるだろう。日本はここまで、1分1敗で優勝の可能性も消えた。それだけに中国戦が、今後のワールドカップ予選を見据えたうえでも、是が非でも勝たなければいけない一戦になる。そこで目下、Jリーグ得点王(23試合出場・16得点)の宇佐美に求められるのは、やはりゴールだ。
 
 今大会はここまで無得点。加えて、親善試合以外ではゴールを奪えていない。
 
 ハリルホジッチ体制下で、誰よりも多くの時間を過ごしてきた。その期待の星が今大会、ノーゴールで終わるわけにはいかない。