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本作の大きな見どころのひとつは、雨宮舞子の帰還だろう。

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シーズン2には登場しなかった、この人気キャラクターが、かつてのパートナー、久利生公平とどのようなコンビネーションを見せるか。

シリーズのファンであれば、気になる部分のはずだ。 言ってみれば、今回の映画は、雨宮がゲストと言ってもいい贅沢なエピソードなのだが、ふたりの2ショットは想像以上に多い。そのなかから、4つのシーンをここではピックアップしてみたい。

まず、久利生と雨宮が8年ぶりに対面する場面。

緊張を乗り越える反動で、凄まじいテンションが生まれ、久利生を追いつめていく雨宮を体現する松たか子はさすがの一言。

ここでの久利生は「受け」一辺倒だが、木村は、久利生が手にしているのは調書という脚本の設定を、現場で変更。

通販で買ったと思われる健康器具を持って検事室の外にあらわれ、雨宮の突然の登場に驚く、というファニーなニュアンスを付け加えている。

楽しいところでは、タキシードと着物に身を包み、ネウストリア公国大使館に赴くふたりのシーンが挙げられる。

門の前で、見慣れぬ互いの盛装をひやかしあう久利生と雨宮。

久利生が雨宮に「仲居さんみたい」と言い、負けじと雨宮が久利生に「イケてない呼び込みみたい」と切り返す。

この雨宮の台詞は脚本では「イケてないホスト」だった。

だが、木村と松は現場で話し合い、「イケてない呼び込み」に変更。

本番直前、ひっそり台詞あわせをしているふたりは、ほんとうに楽しそうで、まるで秘密の遊びをしているようだった。

「ホスト」ではなく「ホストクラブの呼び込み」とすることで、さらに一段の格下げをおこなう。そのことが、逆に久利生と雨宮の関係性=近しさを物語る。

さり気ない、この名場面は、なんと松たか子がクランクインした日の夜の撮影だった。

シリアスなところでは、病室のベッドに寝ている久利生と、彼を見舞う雨宮とが、互いの顔を見ずに言葉を交わす場面は凝視に値する。

鈴木雅之監督の現場は、長回し撮影が多い。ここでも、それぞれを、異なる角度から、延々長回しで追いかけた。

窓に向かって話しつづける雨宮も、横たわったままの状態で語りつづける久利生も、演じる側にしてみればかなり難易度は高かったと思われるが、このふたりは、見事に独自の情緒を生み出した。

まるで、舞台の1ワーンを目撃したかのような、濃密なひととき。松の眼差し、そして、木村の発声は、誰にも真似のできないグルーヴを生んでいる。見直すたびに発見のある、重要なシークエンスだ。

そして、久利生と雨宮が、最終盤で迎える並木道のシーン。詳細は差し控えるが、ここで雨宮が口にした言葉が、撮影中に感じていたのとは別の意味を持って、映画のなかに響いていたと、木村は振り返っている。

つまり、木村拓哉自身も、完成した映画を観て、初めて気づいた、雨宮の想いがあったのだという。

いずれも、ゴールデンコンビと謳われる木村拓哉と松たか子なればこそ、実現したコンビネーション。繰り返し、味わいを深めてほしい。