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2015年9月2日(水)より日本でのサービスを開始するインターネット動画配信サービス『Netflix(ネットフリックス)』。マーベル原作の注目ドラマ『デアデビル』を始めとする多くのオリジナルシリーズはもちろん、『テラスハウス』新シーズン、ランジェリー業界の裏側を描くドラマ『アンダーウェア』など、日本オリジナルのコンテンツ制作も発表されている。

ガジェット通信はNETFLIXの日本法人代表に就任したグレッグ・ピーターズ氏にインタビューを実施。2008年よりNETFLIX本社で勤務し、2013年からはストリーミング/パートナーシップ最高責任者を務めてきたキーパーソンに、『Netflix』によって日本のエンタメ業界はどのように変わるのかを聞いてみた。

●クリエーターの活動が広がる
――アジア圏で初参入となる日本の市場について印象をお聞かせください。

ピーターズ氏:非常に大きく裕福な市場で、ブロードバンド、支払いなどの面においてもインフラが十分に整備されています。日本の方々は優れたコンテンツを愛している。また日本のクリエーターたちとも面白い作品を生み出していけそうだと感じています。

――先日開催された説明会では、日本のユーザーの特徴としてローカルコンテンツの人気が強いとおっしゃっていました。何か日本独自の施策は考えていらっしゃるのでしょうか。

ピーターズ氏:ローカルのオリジナルコンテンツを制作するのは他の国々でも同じような施策を展開しています。しかし、日本ではローカルコンテンツへの愛が異常に大きい。だからローンチ時にも日本独自のドラマを用意したいと思いました。今後も、もしかしたら他の国と比べてローカルコンテンツの制作にチカラを入れていくかもしれませんね。

既にフジテレビとの協力を発表していますが、これから新たに発表できることも増えてくると思います。(企業だけでなく個人を含む)いろんな方々とお話をしている最中です。逆にクリエーター側からアプローチをいただくこともあります。面白い企画を持った方であれば、誰とでも仕事をしたいというのが我々の姿勢です。

――グローバルに展開しているサービスにおいて、日本市場はどのような役割を担っているのでしょうか。

ピーターズ氏:ユーザーの獲得はもちろん、クリエーター側に期待することは大きいです。日本には(映像コンテンツの原作となりうる)素晴らしいストーリーがたくさん存在します。しかし、これまでは何らかの理由でストリーミングできるような作品としては作られてこなかった、あるいは海外で観ることができなかったものが多くあります。日本のクリエーターと協力して、世界に日本のコンテンツを届けていく役割は大きいと感じています。

――優れた原作がある一方で、映像化する技術は米国の方が上だという見方もありますよね。

ピーターズ氏:原作のアイデアが豊富にあるというのは非常にクリエイティブなことです。満足のいく映像化を実現できる技術を持ったクリエーターが足りていないのであれば、10年、20年という長いスパンで成長させてくことも必要でしょう。世界のクリエーターたちを日本のクリエーターたちと交流させることでお互いに学び合うことがあるなら、我々がそのキッカケを作ることもできるかもしれません。

●コンテンツの充実が第一

――日本のサービスにおいては、日本と海外のコンテンツの割合をどのように考えてらっしゃいますか?

ピーターズ氏:基本的にはユーザーが何を観たいかということに任せるつもりです。ローンチ時点では50:50くらいのイメージですが、その後どういう方向に向かうべきなのかは(データを通じて)ユーザーが我々に教えてくれるはずです。

――日本ではドラマの平均視聴率が低下しているという報道も多く見かけます。

ピーターズ氏:『半沢直樹』など大ヒットするドラマがあるのも事実です。すべては観たいコンテンツを提供してくれるかが大事だということです。自分の好きな時間に、好きな場所で、素晴らしいコンテンツの数々を提供できれば、テレビを観ないような方々にも興味を持ってもらえると考えています。

――半年や1年間でユーザー獲得数の見込みはどのように考えていますか?

ピーターズ氏:数値的な目標は想定していません。我々のチャレンジに終わりはないわけです。我々は米国でストリーミングのサービスを始めた時からユーザーを増やし続け、ビジネスも成長し続けてきました。だから日本でも10年後、20年後、同じように向上し続けていると自信を持って言えます。

まずはスマートテレビをうまく活用しているような層からユーザーを獲得していければと思っています。ローンチ時には無料体験キャンペーンの実施を予定しています。『Netflix』での体験を家族、友人、同僚に話してもらって口コミで広がっていくのが理想です。そのためには、コンテンツの質を高め、種類を豊富にしていく投資が必要です。一定の層に響くコンテンツがあったとしても、次の100万人を獲得するために常にサービスを向上していくのです。

――4K画質の配信も魅力のひとつですが、視聴環境としてはパソコンやスマホよりも高画質なテレビ視聴を推していくのでしょうか?

ピーターズ氏:テレビに限らず、マルチデバイスを考えています。日曜の午後はテレビの前でビールを飲みたいという方もいるでしょう。しかし、毎日10分だけスマホでドラマを視聴したいという人もいます。ですから、ローンチ日からすべてのデバイスに対応する予定です。

――テレビがインターネットにつながっていない家庭もまだまだ多いと思います。その点は心配していませんか?

ピーターズ氏:インターネットに接続してまで観たいコンテンツに触れてこなかった人が多いのだと思います。これまでサービスを立ち上げてきたどの国々でもその問題はありました。もちろんサービスをスタートしてすぐに利用率が上がるわけではありません。しかし、ユーザーが使ってみたいと思えば最高の体験をお約束します。

――すべてはコンテンツ次第ということですね。本日はありがとうございました。


インタビューではオリジナルコンテンツへの絶対的な自信と、その魅力によるユーザー獲得への期待を繰り返し口にしたピーターズ氏。『Hulu』や『dTV』など日本ですでに定着しているサービスに関して尋ねると、ユーザーに新しいサービスを伝えるという最も難しい部分を担った功績を認めつつ、そこから『Netflix』が学んだことは大きいと、後発なりのアドバンテージがあることを強調していた。

一方で、先日には米アマゾンがウディ・アレンと契約を結び、運営する動画配信サービス『プライム・インスタント・ビデオ』でドラマ制作を発表したばかり。今後もし日本のマーケットに参入してくるとなれば、また新たなライバルになり得ると警戒している様子だった。

日本上陸まで1か月を切った『Netflix』。日本のVOD市場に大きな与える変化だけでなく、日本で楽しめるコンテンツの充実、クリエーターの成長、『Netflix』ボタンが付いたスマートテレビの販売促進など、サービス開始によってもたらされる恩恵は多岐にわたると期待できそうだ。

『Netflix』公式サイト:
https://www.netflix.com/jp/