はっきり言って、位置づけの微妙な大会だね。

日本、韓国、中国、北朝鮮の4ヵ国が総当たりのリーグ戦を行なう東アジア杯(中国・武漢[ぶかん])が開催中だ。国際Aマッチデーではないこともあり、各国ともベストメンバーではない。

日本も国内組だけで全メンバーを構成している。ハリルホジッチ監督も言っていたようにタイトな日程、開催時期などカレンダー的にも問題があると思う。優勝しても大きな名誉にはつながらないし、全敗してもいくらでも言い訳が用意できる。その意味でも価値が見いだしにくい。

もちろん、日本は前回王者だし、参加する以上は連覇を目指すべき。またMF武藤(浦和)、DF遠藤(湘南)、FW浅野(広島)ら代表初招集の選手が活躍して、新鮮な風を吹き込んでくれることにも期待している。

ただ、今大会に優勝してもチームとしての評価は難しいし、活躍した選手が今後も代表の主力として定着できるかは疑問。今回不在の海外組との序列が覆(くつがえ)ることはないだろう。スポーツ紙などのメディアは「若手にチャンス」と煽(あお)っているけど、本当の競争は海外組を含むベストメンバーがそろってこそ成立するもの。そうでなければ、なかなかポジションを奪うまでには至らない。

そもそも今回の日本のメンバーは20代半ば以降の選手が多く、決して若手中心とはいえない。すでにある程度の代表経験があり、何ができて、何ができないかわかっている選手もいる。年齢的に大幅なレベルアップは難しいのではという選手もいる。

大会前、ハリルホジッチ監督は「新しい選手を見つける」と話していたけど、本気で新戦力を発掘するならば、今回は割り切って、もっと多くの若手を招集しチャンスを与えるべきだったように思う。

特に、来年のリオデジャネイロ五輪を目指す五輪世代(U−22代表)が、遠藤と浅野のふたりしか選ばれていないのは疑問だ。ハリルジャパンにはU−22代表の手倉森監督がコーチとして参加しているのに、なぜ彼はもっと多くの選手を推薦しなかったのだろう。監督と意思の疎通ができているのか、自分の主張をできる環境にあるのか心配になる。

ただでさえ今の五輪世代はこれまで強化試合が少なく、弱い相手ばかりだった。来年1月にはアジア最終予選(カタール)が行なわれるけど、その前に予定されているのは年末の中東遠征くらい。そんな直前にぶっつけ本番で新しい選手を試すのは難しい。

でもJリーグを見れば、ここにきて五輪代表でも活躍を期待できそうな選手が新たに出てきている。例えば、浦和のMF関根。1stステージ優勝チームでレギュラーの座を確保し好プレーを見せている。鳥栖のMF鎌田もそう。いいパスを出せる魅力的な選手だよ。彼らを試すのに今回の東アジア杯は絶好の場だったと思う。

今さら言っても仕方のないことだけど、個人的には今回のような中途半端なメンバー構成にするくらいなら、いっそのことU−22代表で東アジア杯に出場してほしかった。

相手はベストメンバーではないとはいえA代表ですべて格上になり、しかもタイトルのかかった公式戦。約5ヵ月後に控えた最終予選に向けて最高の強化につながったと思うんだけどね。

(構成/渡辺達也)