「連続テレビ小説 まれ Part2 」NHK出版 

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朝ドラ「まれ」(NHK 月〜土 朝8時〜)8月5日(水)放送。第19週「潮時じゃがいもガレット」第111話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:渡辺一貴

111話は、こんな話


引退を決意した元治(田中泯)が心配な希(土屋太鳳)は、跡継ぎを探そうと提案。徹(大泉洋)が手を挙げますが、父親のふがいない態度に業を煮やしていた一徹(葉山奨之)が「俺が継ぐ!」と言いだして・・・。

今日の、つっこ「まれ」


引退を決めた元治が、吹っ切って第二の人生を楽しもうとしていると安心した希でしたが、弥太郎(中村敦夫)にそれは「無理をしている」のだと聞いて、いてもたってもいられなくなります。
さすが長い付き合いの弥太郎ですが、希も希で、気づけよ、と思うし、人づてに聞いたことをいったん飲み込んで咀嚼することなく、すべて鵜呑みにする展開が「まれ」には多いことも気になります。

今日の、勝手に名言


額面通りにしか物事を受け取らない希と似ているのが、徹。
軽い感じで、塩田を「継ぐ」とか言いだした徹に、「思いつきでもの言うな」と一徹がとうとうキレます。
思いつきで場当たり的な行動をし続けて、いまに至る徹。最近、腰の調子もいいし(以前、腰悪くして塩田を挫折している)とか言いだしたら、そりゃ腹立ちますよ。しかも、性懲りもなく「せかい」なんてTシャツ着てるし(衣裳さん、ナイスチョイス)。

そもそも、おれの3年があっという間に無駄になった・・・みたいなことをグダグダ言い続けていますが、一徹がお金を貸すと言っても拒否しています。ほんとうになんとかしたいと思ったら、とりあえず借りとくという選択もあったはず。
会社を維持することよりも、家族に対するプライドみたいなものを優先したわけですよね。
よくぞここまで、駄目というか屑な感じ人間を描いているなあ、とそこは感心します。いますからね、実際、こういうひと。でも、フィクションだとなかなかここまで冴えない感じに描けませんから。こういうところは、篠崎さんの脚本好きです。一子や陶子の鬱屈感や徹の駄目感など、沈殿してる負の感じを描かせると生き生きしてる気がします。

そんな一徹が徹を殴ろうとすると、パソコンばっかりやっているからか、カラダがひょろひょろで交わされてしまいます。文(田中裕子)が徹を羽交い締めにして、よし一発!と思ったところで、肩がツッてしまう情けなさ。
そんな虚弱体質にもかかわらず「おれが継ぐ!」と言いだす流れは面白い。

今日の、名場面


一徹が「継ぐ!」と言いだしたときの、にやりとした顔が気になる元治。
ここのとこずっとおもしろおじいちゃんキャラがクローズアップされてきた元治が、能登編に戻って、かっこいいおじいちゃんキャラに戻ってきてホッとしています。
踊り狂っているときの表情には、ほんとうにいろいろな感情や時間の堆積が詰まっていました。
そんなときも徹は適当に楽しんでいる感じなんですよね(大泉洋はそう演じているんだと思います)、ひどく傷ついたようなふうをしているけど根本的には人生の険しさをわかってないんだろうなあ、徹。
希はただただ刹那的に享楽を覚えながら太鼓叩いている。
各々の人間性の差がよく出ていた、踊りのシーンです。
(木俣冬)

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いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))