『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』 ©岸本斉史 スコット/集英社・テレビ東京・ぴえろ ©劇場版BORUTO製作委員会 2015

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8月7日(金)より全国東宝系にて公開される『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』。木ノ葉の里に芽吹く次世代の忍者たちを描く今作では、シリーズ11作目にして初めて原作者の岸本斉史氏が脚本を手がける。

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15年にわたる長い連載を終えた今、岸本氏はどんな思いを胸に映画の製作に臨んだのだろうか。脚本執筆の秘話を聞かせてもらった。

劇場版で描かれる次世代に芽吹く忍者たち

──ナルトたちの子ども世代が活躍する今作では、ボルトやサラダといった若い忍者たちが親世代とは異なる価値観を持つ存在として描かれているのが印象的でした。ハンバーガーショップに通い、携帯ゲーム機で遊ぶ彼らの姿は、忍者というよりもどこにでもいる現代の子どもたちのようにも見えますね。

岸本斉史氏(以降、岸本):そうですね。ナルトたちが子どもだったころは里が安定していませんでしたし、口には出さずとも忍者たちの共通の目標として「火影」や「上忍」「中忍」という存在があったのだと思います。

でもボルトたちが暮らす現代では平和になったこともあって、中忍や上忍になることに最初から意味を見出すことが難しいんです。忍者としての高みを目指すことよりも、友だちとの遊びや人間関係を充実させることに興味が行ってしまうんですね。

──そういった意味では《現代っ子的な忍者》とも取れるボルトたちですが、「やっぱり親に似ているな」と微笑ましく思える部分もありますよね。たとえばナルトは、少年時代に親がいない寂しさからイタズラをしていましたが、ボルトの場合は親に構ってもらえない寂しさからイタズラを繰り返しています。

岸本:そこはやっぱり親子なので似ていますよね。親がいないのといるのとで環境は違うのに、結局やっていることは同じという……(笑)。ボルトぐらいの年齢になってくると、「寂しいから一緒に遊んで」なんて恥ずかしくて言えないので、どうしても反抗的な態度になってしまうんです。

──ボルトに限らず、劇場版に登場する次世代の子どもたちはみんな親に負けず劣らず個性的です。原作の最終回では意外な組み合わせの夫婦に驚かされた読者も多かったと思います。特にチョウジとカルイの組み合わせは衝撃的でしたが、あの夫婦はどんな経緯で生まれたのですか?

岸本:今でも読者の方からは「どうしてあのふたりがくっつくのか意味がわかりません!」という内容のファンレターが届いたりします。とりあえず次世代の猪鹿蝶は作らないといけませんでしたから、「少し強引かな?」と思いつつもチョウジとカルイをくっつけることにしたんです。

──原作ではチョウジの父であるチョウザが、自分たちのような太った男を好む女性のことを「マニア」と言っていました。やはりカルイもマニアだったのでしょうか?

岸本:いや、カルイはマニアというより、完全に軽いだけです。物事の決断が軽いので簡単に結婚をOKしたんですよ。「いいよー」って(笑)。

短期集中連載に込めた思い

──劇場版の公開に先立ち、週刊少年ジャンプの短期集中連載では、サラダやサクラ、サスケたちの物語が描かれました。個人的には過去にあそこまでサスケのことを好きだった香燐が、サクラやサラダを遠くから温かく見守っている姿に驚いたのですが、そこにはどんな心境の変化があったのでしょうか?

岸本:実はあの部分はネームだともっと長くて、かなりのページ数を割いて香燐に回想を語らせていたんです。でもいろいろと考えた結果、カットすることにしました。

──回想シーンをカットした理由は何だったのでしょうか?

岸本:状況や場面を回想で語ると、どうしても説明的で嘘くさくなってしまう気がしたんです。香燐はサクラと同じように一度サスケに殺されかけたことがありましたし、そのときにはサクラに回復までしてもらっています。実はあのふたりは敵同士でありながら互いの気持ちを理解し合っている……そんなニュアンスが僕の中にはあったんです。なので、描写に多くを割くのではなく、香燐の心境の変化に関しては読者の想像に委ねようと思いました。

むしろページを割いて描くべき大切な部分は、サラダやサクラ、サスケのラストシーンなので、そちらに比重を置くことにしたんです。

自身を投影して描いた父親としてのナルト

──15年間の連載の中で、ナルトの成長とともに先生自身を取り巻く環境も変化していったと思います。以前、岸本先生は「ナルトに自分自身のコンプレックスを投影している」とおっしゃっていましたが、今作で描いた父親としてのナルトの姿にも先生自身の体験は投影されているのでしょうか?

岸本:やはり自分の実体験や普段考えていることは、どうしても作品に出てきちゃいますね。ナルトとボルトの姿なんて、まさに僕と息子そのものです。

この前も予定よりも遅れていた原稿を描いていたら、「約束した時間であれば、もう原稿は終わっているはずですよね?」というメールが息子から届きました(笑)。忙しくて子どもに構ってやることができない経験は僕にもありますし、そこは劇中で描きたかった部分でもあります。

──お子さんもボルトと同じように、忙しいお父さんと遊びたい年ごろなんでしょうね(笑)。ちなみにお子さんはナルトを全巻読まれたんでしょうか?

岸本:途中までは読んでくれたようです。でもこの前ドラゴンボールの映画が公開されたのをきっかけに、ナルトを中断してドラゴンボールの完全版に乗り換えてました(笑)。最近ようやく完全版を全巻読み終えたみたいなので「これでナルトに戻ってくれるかな?」と思っていたら、今度はまたドラゴンボールを第一巻から読み返していましたよ(笑)。やっぱり鳥山先生はスゴイですね。

──そうは言っても、やっぱりこの映画はお子さんにも観てもらいたいのでは?

岸本:正直なところ、「息子に観てほしい」と思って作った部分はあります。この前この話を妻にしたら「恥ずかしいから絶対によそでは言わないで!」と釘を刺されましたけど……。

──いま言っちゃいましたね(笑)。息子さんがどんな反応をするのか楽しみです。

岸本:そうですね。映画が公開されたら、それとなく誘ってみようかな(笑)。

《作品情報》
『BORUTO -NARUTO THE MOVIE-』
8月7日(金)TOHOシネマズ新宿ほかロードショー
原作・脚本・キャラクターデザイン・製作総指揮:岸本斉史
監督:山下宏幸
脚本協力:小太刀右京
キャラクターデザイン:西尾鉄也・鈴木博文
配給:東宝
製作:劇場版BORUTO製作委員会
〔声の出演〕
三瓶由布子 菊池こころ 竹内順子 杉山紀彰
木島隆一 阿部敦 小野賢章 早見沙織 浪川大輔 ほか