代表初ゴールについては、「打ったら入ったという感じ」と淡々とを振り返る山口。ボランチで2試合連続出場し、攻守で持ち味を発揮した。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 迷いはなかった。0-1で迎えた38分、山口蛍はペナルティエリア正面外から右足を振り抜く。低く鋭い弾道の一撃が、ゴール左隅へと突き刺さった。
 
 国際Aマッチ19試合目での代表初ゴールは、韓国に傾く流れを引き戻した。結果的に、チームを敗戦から救うものにもなった。
 
「打ったら入ったという感じです」
 
 価値ある得点を淡々と振り返るが、偶発的に生まれたものではもちろんない。試合前から膨らませていたイメージを具現化したものだ。
 
「点は取りたいと思っていたし、監督からもミドルをどんどん狙っていけと言われていて、パスが来たら打とうと思っていました。シュウくん(倉田秋)がよく見てくれていた」
 
 北朝鮮戦に続いてのフル出場で、4-3-3のインサイドハーフとして攻守に持ち味を発揮した。高速アプローチでボールホルダーから選択肢を奪い、ラストパスの受け手としてゴール前へ飛び出していく。中2日のスケジュールでも、持ち前の活動量は衰えなかった。
 
 とはいえ、表情は厳しい。チームとしても個人としても、もっとできたのではという想いがある。
 
「相手が押し込んでくることも想定していたし、FWにデカい選手がいるのでそこに放り込んでくるとも予想していました。ただ、それ以上に全体的なマークの受け渡しがはっきりしなかった。そこを修正するのに時間がかかってしまった。上手く修正できてからは、押し込まれる時間でも、上手くみんなで身体を張って耐えられていたと思います」
 守備のオーガナイズが整ってからは、自分たちのペースでゲームを運ぶ時間帯もできた。押し込まれている時でも、山口とチームメイトは慌てなかった。
 
「途中からつなげるようにもなって、自分たちの時間を作れるようになってきた。そのなかでワンタッチ、ツータッチで上手く回せるシーンもあったから、それをもっと早い時間から、数多く作れれば」
 
 テスト的要素の強いメンバー編成にあって、山口は昨夏のブラジル・ワールドカップの経験者だ。2年前の東アジアカップにも出場し、MVPを獲得している。練り上げたコンビネーションに頼れないチームにあって、背番号16の存在感は際立つ。
 
「前回のMVPということで、周りからそういう見方をされるので、もっとやらなきゃいけないとは思いますけど、僕としてはMVPに値するプレーをしたとは思っていない。とにかく今やれることを、精いっぱいやろうと思っている。前の試合から今日の試合で改善された点もたくさんあるし、相手もすごく強かったなか、自分たちができたこともあった。そこは前向きに捉えたいです」
 
 韓国戦をドローで終え、連覇の可能性が消えた。それでも、中3日で迎える中国戦への決意は、すでに固まっている。
 
「諦めずに、最後に、勝って終わりたい」