6割の独身女性が卵子凍結に肯定的 メグ/PIXTA(ピクスタ)

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 「卵子凍結」に積極的な国として知られるベルギーで、世界初の快挙があった。

 首都ブルッセルのエラスム病院でのこと。イザベル・ドメステール医師の率いるチームが、凍結していた卵巣を10年後に解凍し、その組織片を持ち主の女性の左の卵巣に移植した。すると、機能が止まっていた女性の卵巣は卵子を作り始め、自然妊娠で健康な男の子を産んだという。

凍結卵巣が、10年後に卵子をつくる!

 凍結卵巣を体に戻した女性はコンゴ共和国で生まれ、5歳のときに遺伝性の血液の病気と診断された。移住したベルギーで受けた診断は、骨髄移植しか生きる道はないというもの。このとき彼女は13歳だったが、ひとつ大きな問題があった。

 骨髄移植では、拒絶反応を抑えるために化学療法と放射線療法を行うのだが、これらは卵巣の働きを破壊する副作用がある。そこで医療チームは、初潮前ではあったが彼女の右の卵巣を取り出して凍結保存したのだ。

 10年後、女性は病院を訪れて「赤ちゃんが欲しい」と相談。そして、冷凍庫に保存されていた卵巣が解凍されたのである。

 このような組織片の移植で妊娠した例は、世界で少なくとも35例ある。しかし、初潮前の卵巣での成功は世界初。人間の細胞や組織は、凍結されてもまた成長するのである。

20~30代はキャリアアップ、40歳で解凍卵子による出産?

 今は、大学のキャリア教育の授業でも、「女性は35歳頃から妊娠しにくくなるから、それも考慮して人生設計を考えましょう」と教えているそうだ。合理的な女子学生が、「仕事も恋愛も行く先がわからないのに人生設計なんて......。元気な卵子を凍結しておけば、子どもが欲しくなったときに便利かも」と考えても不思議ではない。

 実際にアメリカ、イギリス、ベルギー、スイス、イタリア、スペインなどでは、病気でもない健康な女性の「卵子凍結」が認められている。20〜30代はキャリアアップに邁進し、40歳ぐらいで卵子を解凍して体外受精で妊娠、という人生設計を描く女性が増えているという。

 約マイナス190度で卵子を凍結する技術は、急速に進歩しており、解凍してからの受精率はほぼ100%なのだという。

6割の独身女性が「卵子凍結」に肯定的という調査も

 日本結婚相談所連盟(IBJ)が、20〜30代の未婚女性137人に「卵子凍結サービスが主流になってきたら利用してみたいですか?」と質問したところ、「はい」が19.7%、「どちらかといえば、はい」が40.1%で、6割近くが肯定的だった。

 日本生殖学会が2013年、40歳以上は推奨しないなどの条件つきで「卵子凍結」を認める指針を出した。それを受けて、日本でもいくつかの機関が「卵子凍結」サービスを開始している。

 たとえば、「リプロサポートメディカルリサーチセンター」(新宿)のwebサイトでは、利用できるのは原則39歳以下で、50歳の誕生日まで保管。費用は採取・凍結に80万円、保管費が卵子1個につき年1万円となっている。

 ちなみに、日本産科婦人科学会は2015年6月、基本的に「卵子凍結」を推奨しないと発表した。

 ところで、出生率が2を超えるフランスでは、「卵子凍結」は認められていない。それでも、出産可能年齢の女性の8割は働いているという。職場では育児時短が認められ、保育ママ、ベビーシッターなどの保育サービスが多様で、補助金も出る。これらの社会保障は、結婚していない同棲カップルにも認められている。男女とも労働時間が短いので、協力して子育てができる。「子育てしながら働ける」社会の仕組みが整っているのだ。

 そんなフランスにも「卵子凍結」を望む女性はいる。多くは30代独身で、隣国ベルギーに出かけて凍結するそうである。
(文=編集部)