8月18日発売 『ボクらしく。』大島薫

>>【前編はこちら】「若さと美貌はお金になる」 男なのに可愛すぎる元AV女優・大島薫の努力の裏側

女性顔負けの可憐かつ可愛らしさを持ち、”男の娘AV女優”という肩書きで活動していたにもかかわらず、前半インタビューで「僕は女性になりたいわけではない」という衝撃の告白をサラッとしてのけた大島薫さん。 女性になりたいわけではないのに、女装で日常生活を送るとは、一体どういうことなのでしょうか。過去から現在まで、大島さんのセクシュアル・アイデンティティに迫ります。

女装は通過点ではなく、完成形

――元々、どうして女装で生活しようと思ったんですか?

大島薫さん(以下、大島):15歳のときに「女装がしたい」と思い、家でこっそりと楽しんでいました。やるうちにもっと女性的になりたいと望むんですけど、そのたびに現実の壁にぶち当たるんですよね。

「ウィッグを使うより地毛を伸ばしたいけど、学校があるし」
「歩き方を女性的に直したい。じゃあ毎日女性として生活すれば直るかもしれないけど、学校があるし」
「そもそも、就職とかどうしよう?」

成人してからは髪を伸ばすようになり、男性としてゲイビデオに出演していました。でも、ゲイの方たちから人気があるのは男性らしい男性で、女性っぽい男性はあまり人気がないんですよね。「なんでそんなに髪を伸ばしているの?」と聞かれたこともあります。マイノリティのはずのゲイが、さらにマイノリティな僕を隔てる、というのは不思議な感じがしましたが……。そこで改めて実感したのが、「僕は短髪にして、押忍!と言いたいわけではない」ということ。

さらにその後、ニューハーフ業界に関わることがありました。そこでよく言われたのが、「女装するなら、なんで女性ホルモン打たないの?」でした。僕は、それも違う。「女装がしたい」んです。完全にこのスタイルで生活しようと決めたのが、23歳の頃。なので僕は、女性歴3年なんですよ。女装で生活しようと決めてからは、女声の出し方を3か月練習し、「働くと同時に女性訓練ができる場所」を求め、性別を偽ってアルバイト面接を受けました。実際に、女性しか働いていないマッサージ店で、女性として働いたこともあります。

――ニューハーフの方や女装男子の方と、大島さんの違いはなんでしょうか?

大島: 両者とも、女装は“通過点”なんです。 ニューハーフの方は、「最終的に女性になりたい人」で、手術して初めて望む形になります。女装をしている時期は、“途中”なんですよね。女装男子の場合、そこから女性になるひともいるし、男性に戻る人もいる。やはり結局、女装は“途中”。

僕の場合は、彼らにとっての通過点が完成形なんです。でも、彼らのなかにも、僕のような人間がいるはずなんですよね。女性になりたいわけじゃないけど、女装をしていたら周りから女性ホルモンを勧められて打ち始めちゃった、とか、年を取ったら女装が似合わなくなるから、いっそのこと女性ホルモン打っちゃおう、とか。対照的に、男性として生活しつつ、女性として生活するのは厳しい社会だから、女装したい願望は胸にしまって家でだけこっそり楽しもう、とか。

もし僕がもっと有名になり、「大島薫のような生き方があるんだ」と広く認知される世の中になって、生き方の選択肢が増えることが理想的ですね。

TV局からおネエ系の枠でオファーが来てもお断り

――既存のカテゴリーに当てはまらない生き方、ということでしょうか。

大島:そうですね。そういえば僕が小さいころ、両親と一緒にブラジル一周の豪華客船に乗ったことがありました。そこで仲良くなったスペイン人家族がいました。ご両親に、お姉さんと僕と同世代の弟。このお姉さんがとても綺麗な人で、船内で会うたびにドキドキしていました。

あるとき、僕が船上プール横の甲板にいたときでした。お姉さんがプールの中にいて、ゆっくりとこちらに近づいてくるのです。キラキラな光る水面ではブロンドの髪が揺れ、とても綺麗で目が離せませんでした。そして、お姉さんが甲板に上がったのを見てびっくり! お姉さん、ビキニ、つけていない! というか、胸がない!? しかも、男性用の海パンを履いている! 呆然とする僕の横を、お姉さんは微笑みながら行ってしまいました。僕のルーツは、そこにあるのかもしれません。

――あえて言葉にするならば、“中性的”ということでしょうか。いまテレビ界では、相変わらずおネエブームが続いていますが、大島さんはテレビ番組には出演されないのでしょうか?

大島:そういう話はお断りしています。僕、おネエじゃなくて、意識としては男性ですし。以前、GENKINGさんが出ていた番組を見たときです。金子賢さんから「おまえは俺の妹分か? 弟分か?」と言われたGENKINGさんは、「妹分よ!」と答えていました。そういうとき、僕はきっと「弟分です」と答えると思いますし、やっぱり違うんだな、と。

テレビは分かりやすいものを求めるので、いまいち分からない人は使いにくいんですよね。たとえば僕が司会者の方から、「キミは何者?」と問われたら、説明だけで尺が足りなくなると思います(笑)。

大島薫=自由の象徴、と認知されることが目標

――では、恋愛する上で、男性と女性ではどちらがお好きなんですか?

大島:どちらも好きです。だから遊ぶ相手も混乱すると思うんですよ(笑)。「大島から誘われたけど、これってどういうつもり?」と。男性とデートするとき、女性として見てほしい相手だったら、女性っぽい記号、つまりスカートを履くようにしています。そういったことで、「お、今日はそういう“マッチメイキング”する日なんだな」と意識させる(笑)。性行為中も、メイクは落とさないようにしますね。逆に普通に遊びに行く日は、パンツを履いていきます。

一方、女性に対しては、男声で喋ります。僕、普段も家では男声で喋っていませんが、「家ではこんな声なんだよ」とあえて低い声を出して、僕が男性であることを意識させますね。

――両方からモテるなんてすごいことですよね!

大島:うーん、実際、男性はそんなに……。マニア男性は別ですが、普段女性が好きな男性にはなかなか……お酒で酔わせるしかないですね(笑)。ですが、一部の女性は、「男性はある程度見た目が可愛ければ、性別を超えてもイケる」と思っている方もいるんでしょうか。握手会に彼氏を連れてこられた女性ファンの方が、僕の目の前で彼氏に対して「見てよ、めっちゃ可愛いよ! コレだったらあんたもイケるでしょ!」とおっしゃっていまして。彼氏は僕に気を使い、ノーとは言わないですし、僕も申し訳ない気持ちになりました(笑)。

――最後に、今後の活動を教えてください。

大島:8月18日、僕のフォトエッセイが発売されます。僕はAV女優は引退しましたが、乳首は出していこうと思っているんですよね、なにせ男性の乳首ですから、何の問題もない。この顔で、この男性乳首、というのが僕のウリでもありますので。表紙ももしかすると、そういったインパクトのあるものになるかもしれません。

そしてゆくゆくは「大島薫」のアイコン化が目標。「僕=自由の象徴」と認知されるようになるために、様々なタレント活動をしていきたいと思っています。

(有山千春)