「実力は拮抗している」(佐々木則夫監督)と、初戦の北朝鮮戦から9名を入れ替えて臨んだ韓国との第2戦は、先手を取るも終了間際に逆転を喫し、1−2で敗戦。この2連敗で、優勝の可能性が早々と消えた。

 GK山下杏也加、DF村松智子(ともに日テレ・ベレーザ)、右サイドハーフの柴田華絵(浦和レッズL)ら初出場組だけでなく、ゲームキャプテンを務めた田中明日菜(INAC神戸)以外は一桁の出場経験はあっても、フル代表でAFCの5強(日本を含む北朝鮮、韓国、中国、オーストラリア)の一角との対戦経験がほぼない真新しいメンバーが揃えられた。相手の当たりや、スピードだけでなく、緊張、プレッシャーも加わり、ピッチ上のあちらこちらで普段では考えられない事態が起こっていた。

 6分には村松がイージーなミスで最終ラインからボールを奪われ、あわやゴールを許す危険な場面に陥れば、ボランチを担った猶本光(浦和レッズL)はボールが足元につかず、パスミスを連発。全くといっていいほど、連動性を生み出せないでいた前半を救ったのは30分、左CKからのこぼれ球をゴールエリア外から豪快に決めた中島依美(INAC神戸)のゴールだった。

 これで何とか立て直したい日本だったが、54分にパスカットからチョ・ソヒョンにカウンターを決められて同点にされる。そして終了間際のロスタイム。チョン・ガウルの鮮やかなゴールに日本は撃沈した。

 全くチャンスがなかった訳ではない。むしろ、奪われると思われていた主導権は日本が握っていた。田中美南(日テレ・ベレーザ)は厳しいマークを受けながらも、何とか切り込もうと強引なまでに突破を何度も試みた。ゴールが見えればなんとかシュートに持ち込もうとする有町紗央里(ベガルタ仙台L)の意気込みも感じた。それでも、ゴールにまでは至らなかった。

 63分には、カウンター対策にと、川村優理(ベガルタ仙台L)を投入したことで、中央に一本の軸が通る。全体を安定させた上でボールを動かしてみるが、相手をブレさせることができなかった。手詰まりの一因は動き直しの無さにもある。ほんの少し、動き直すだけでパスコースは生まれるもの。その動きをなかなか見ることができなかった。

 そして最大の要因はカバーリングがまだ身についていないこと。連係・連動は"なでしこジャパン"の代名詞だ。攻守において重要な連係・連動のバロメーターはカバーリング。これがあれば重要課題である守備のリスクマネージメントが確立され、カウンターによる安易な失点を最小限に抑えることは可能であるし、波状攻撃につなぐこともできる。リオデジャネイロオリンピックを視野に入れれば、現在の招集メンバーにとっては最後のアピールの場となる舞台で、発足1週間のチームは浮足立った。佐々木監督も「展開、守備に甘さがある。サッカーでいう幼稚」な部分が露呈してしまったということだ。

 だからといって韓国も、決してベストパフォーマンスではなかった。初戦の中国戦を制したメンバーを中心に中2日で登場。エースであるチ・ソヨンの不在もあって、前半は韓国らしい力強さがなかった。それでも、耐えて決めるべきときにしっかりと決めきる。これこそ、ワールドカップで育んだ"強さ"に他ならない。この強さが"チャレンジなでしこ"には備わっていなかった。それを痛感していたのが川村だった。

「それぞれがあと1回動き直すだけで違ってくる。それができるのが"なでしこジャパン"の主力選手たち。そこに入り込むにはもっともっと走らないとダメ」と自戒を込めた悔しさをにじませ、「3連敗は絶対にしちゃいけない......」と、自らに言い聞かせるように何度も繰り返した。

 結果も欲しいが、新たな可能性もテストしたい。しかし2連敗を喫し、"貴重な経験"などと言っていられなくなった。「(中国戦は)現状のベストメンバーで何が何でも勝ちに行く」と意気込んだ指揮官。結果が何よりもこの選手たちを成長させると確信している。

「勝つ味というものを得て、初めて自分たちがやった表現がプラスになる」(佐々木監督)。

 となれば、奇しくも、2連敗したことで最終戦のスタメンに今回のテスト要素の色濃かった選手起用の一定の評価が出てくるということだ。もちろん、最終戦の展開によってその評価が乱高下することは大いにあり得るし、むしろ望むところ。唯一の中3日のインターバルがあるこの期間でどこまで修正してくるか。このままでは終われない――チャレンジなでしこたちの奮起に期待したい。

早草紀子●取材・文 text by Hayakusa Noriko