専門誌では読めない雑学コラム
【木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第15回】

 過去20年で減少の一途をたどっているゴルフ人口。バブルの頃が1500万人ぐらいとしたら、今は900万人ぐらいで、ざっと4割弱の減少となっています。そして、一番ゴルフをするボリュームゾーン、団塊の世代の人々がゴルフをやめるピークが2015年じゃないか、と言われて一部で騒がれています。それが、「2015年問題」というやつです。

 だからといって、ゴルフ人口の減少は今に始まった問題でもないので、慌てて何かをすることもなく、今年もすでに半年以上が経ちました。昨今のニュースで、ゴルフ場がバタバタと倒産した、なんて話題が取り沙汰されているということもありません。が、アマチュアゴルファーが少しずつ減って、業界全体の運営や経営が、真綿で首を締めつけられるように苦しくなっているのは、事実です。

 そりゃ、老人が100万人単位でゴルフをやめつつあるのに、逆に若者が大挙ゴルフをやり出した、なんて話は聞いたことがないですから。特に、若い女性でゴルフをするのなんて、AKBにひとりかふたりいて、あとは押切もえちゃんくらいじゃないですか......。

「2015年問題」は、ゴルフメディアなどで散々話題になっていますが、抜本的な対策はほとんど取られてはいません。それはなぜか? 減ったゴルファーに歯止めをかけるには、20代、30代のゴルファーを増やすしかないんですけど、若い連中が大挙してゴルフ場に押し寄せることを、内心快く思っていない人がいるんです。つまり、自らの利権や品位や会員権の価格などを守ろうとする、古い考えの人たちが多いんですね。

 どういうことか、具体的に説明しましょう。

 先日、ショートコースの取材で現地に赴くために、ポロシャツを着て電車に乗りました。駒沢大学の駅から乗ったのですが、ちょうど駒沢大生の下校時らしく、ホームは若者であふれていました。こっちはゴルフに行くのですから、ポロシャツの裾をズボンの中に入れて、ハーフセットのケースのヒモを肩にかけて、見るからに"オッサン"なわけです。すごく、浮いていたと思います。

 たまにポロシャツ姿の学生も見かけましたが、全員裾出しです。「おまえら、ゴルフ場じゃあ、マナー違反だぞぉ〜」と、心の中でつぶやきましたが、どう客観的に見ても、こちらが超マイナーな"へんてこりん派"なのです。

 結局、お腹も冷えるので、私はポロシャツの裾をズボンの中に入れて過ごしましたが、今後、"ゴルフの大衆化"と称して若者を受け入れるなら、メジャーな"ポロシャツ裾出し派"がプレイするのを認めざるを得ないでしょうね。

 にもかかわらず、日本のゴルフ場の大半は、それをよしとしていません。

 日本は、英国文化の影響を受けてか、多くのゴルフ場が会員制です。しかし、会員だけじゃ運営できず、ネットの予約サイトでは、こっそりと会員じゃなくてもエントリーを可能にしていますが、その言い方がまた、お高くとまっているんです。

 例えば、「品格ある当名門会員制クラブを、特別にビジターにもプレイを許可しますので、品位を落とさぬようにラウンドしてください」と、勿体をつけているのです。

 なんか、偉そうじゃないですか。そういうところも、若い人がゴルフを敬遠する理由のひとつでしょうね。

 もとより、ビジターの言い分は違っています。「メンバーだけじゃ経営が成り立たないゴルフ場に、高いビジターフィーを払ってプレイしに来ているんだから、ビジターこそが本来のお客さまでしょ。会員制とか関係ないから、こっちはパブリックゴルフ場の感覚でプレイします。もちろん、ポロシャツの裾は出しますから、よろしく」てなものです。

 日本の会員制コースは、一部の名門コースを除いて、ほとんどが"セミパブリック化"しています。なのに、メンバーコースのルールを押しつけている。だから、窮屈で仕方がない。だから、若い人はゴルフをやりたがらない。

 メンバーコースの経営を支えているのは、ビジターでしょ。だったら、もう少しのびのびとプレイさせてほしいものですよね。

 というわけで、「2015年問題」の解決の糸口は、"ゴルフ大衆化"に向けて、どのようなルールやマナーを作成するか――そこがカギだと思うんですが、いかがでしょう。

【プロフィール】
■木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa