汗かきは何かを原因として起きるのではなく、汗かきそのものが病気ということ。多汗症もその一例で、脇の下、手のひら、足の裏など局所的な部分から大量の汗をかくのが特徴だ。
 「『バセドー病(甲状腺機能亢進症)』も、体内の代謝を促進する甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるため、代謝が異様に高まって大量の汗をかいてしまう。イラつきや動悸、急な体重の減少などの症状が現れることもあります。さらには自律神経のバランスが乱れる。それによって呼吸や体温、血液の流れ、内臓の働きなどを自動的に調節し体の恒常性を維持する力が弱まり、体の不調があちこちに出るのです」(専門医)

 『糖尿病神経障害』になることもある。これは血糖値の高い状態が続き、末梢神経が障害されると起きる。自律神経も末梢神経の一つのため、働きが低下すると発汗異常や立ちくらみ、便秘、下痢、尿意を感じないなどの症状も出る。
 いずれにしても、夏に大量の汗が出る場合、「単なる汗じゃないか」と処置を怠ると深刻な事態を招く。
 日本皮膚学会認定の皮膚科専門医、木下裕子氏は言う。
 「痒くなったら、まずは市販の痒み止めを塗ってください。それでも治まらないときは、すぐに皮膚科を受診して下さい」

 日常生活で注意すべきポイントとしては、乳液やボディークリームを塗り、保湿をして乾燥を防ぐこと。体を洗うときなどは、ゴシゴシ強くこすったり、ボディーソープなどを使い過ぎないことだ。
 「乾燥は冬だけに起こるものではなく、一年中起こります。むしろ夏はシャワーの浴び過ぎなどで、乾燥がよりひどくなることがあるため、乳液やボディークリームは必須です」(同)

 最後に、暑さで体が火照り汗が噴出した時、どういう対策が効果的か。専門家の提言をまとめた。
 ●濡れた(冷たい)ハンカチ等で刺激源の汗を取る=暑さによるストレスで肌の防衛機能が低下し、肌のピリピリ感や赤み、湿疹が出た時、まずは首を冷やすこと。ビニール袋に、濡れたハンカチやタオルなどとともに、保冷剤を入れて携帯。首や顔の汗に応じて冷えたハンカチで汗を拭き取ると暑さも多少は収まる。
 ●こまめに水洗顔=顔の熱や汗には、水洗顔が一番。傷んだ肌に汗が付いたままだと痒みが出る場合があるので、水洗顔をすると治まる。痒みを我慢し続け、つい顔を掻いたり、擦ったりすると肌が荒れたり、傷つき、悪化することもあるので、水洗顔は1日何回でもOK。腕や首回りの汗にも効果的だ。
 ●髪が顔にかかると痒みが出るため、湯洗髪を=汗をかく時期には、特に髪が顔に触れ、痒みが生じやすくなる。手で掻けば肌荒れや傷をつけ感染症に繋がることもある。ましてや、シャンプーやトリートメントなどを使うと尚更だ。そのため、夏はシンプルに“湯洗髪”を勧めたい。

 肌が痒くなる乾燥は夏も起こる。乳液を使ったり24時間潤いを持つ保湿クリームなどを使用し、かいた汗を長く放置しないこと。
 痒みを抑える対策も、暑さをしのぐ手段の一つなのだ。