「自分たちのサッカーをやれば、勝てる相手だと思う」――。宇佐美は静かに宿敵・韓国への決意表明を口にした。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 ゆったりとした闘志、とでも言えばいいだろうか。韓国戦を翌日に控えた宇佐美貴史は、落ち着いた口調で取材に応じた。
 
 疲労について聞かれると、「大丈夫ですよ」と間を置かずに答える。疲れが残っていたとしても、言い訳にはしない──短い答には、彼なりの責任感と決意が込められているのだろう。
 
 北朝鮮戦は無得点に終わった。チャンスがなかったわけではない。ふたりのDFを無力にした37分の一撃は、日本への反感を隠さない地元の観衆をも唸らせた。
とはいえ、どれほど素晴らしいシュートでも、ゴールに結びつかなければ記録には残らない。チームの勝利にも貢献できない。試合前のウォーミングアップをピッチでできないことも、言い訳にはできない。するつもりもなかった。
 
「今回はスタジアムでアップができないので、シュートのフィーリングという意味で前の選手は難しかったかもしれない。もちろん日本のピッチとはまったく違うし、慣れは当然必要です。シュートが当たりにくいとかもあったかもしれないですけど、そのなかでも一発目で順応していくのも大事だし、試合の中で合わせていく力も大事になる。1試合やっているぶん、どういう当て方をすればいいかとかはだいたいみんな掴んでいると思うので、この間のような試合にはならないようにしたい」
 
 5日に対戦する韓国の印象を聞かれても、表情に変化はない。それでも、声にはうっすらと力がこもる。
 
「(韓国が2-0で勝った)中国戦も見ましたけど、すごく良いサッカーをしていましたし、個々の能力がある選手もいます。北朝鮮とは全然違う、もっともっとレベルの高い相手なので難しい試合になるとは思いますけど、ミーティングで北朝鮮戦を観返して、攻撃の決定機は多く作れていたので、そこをどう決めていくのかという話もありました。自分たちがひとつになれば、勝てない相手ではない」
 
 そこまで話すと、宇佐美は言葉を切った。すぐに言い換える。微妙なニュアンスの修正は、韓国打破の静かな決意表明と受け取れた。
 
「自分たちのサッカーをやれば、勝てる相手だと思う」
 
 新戦力発掘の機会と位置づけられる今大会で、宇佐美は一歩先を行く存在だ。海外組を加えたメンバーでもスタメンに名を連ねた男は、攻撃を牽引しなければならない。違いを見せなければならない。北朝鮮戦で55分に退いたのも、「ハーフタイムの段階で、後半10分ぐらいで代わると言われた」という。つまりは予定どおりのものだった。指揮官ハリルホジッチの采配は、韓国戦でも起用するというメッセージに違いない。
 
 あとは、ピッチで答を出すだけである。