ハリルホジッチJAPANが初黒星を喫するも、ワールドカップへ向けては順調な一歩を刻んだ東アジアカップ北朝鮮戦の巻。
終わりよければすべてヨシJAPANへ一歩前進!

ざわつくサッカー界隈。その怒りの波のようなものがSNSから漂ってきます。あのサッカーライターが荒れている。あのサッカーブロガーが怒りの分析を書き始めている。あの有識者がJFAを糾弾しようとアップしている。そんな気配が漂ってきます。まぁ「我らが日本代表」がシンガポールに引き分けて、北朝鮮に負けたのですから、それも仕方ないことでしょう。サッカーというのはワールドワイドで「ちょっと負けたらキレる文化圏」ですからね。

しかし、ご安心ください。僕に限っては「負けて怒る」ということはございません。それは1000年前に通過した地点です。なにせ、人生の9割方の期間に渡って応援している埼玉西武ライオンズが、西武となってから初めての12連敗などを喫していても、僕の心にあるのは「いっそプロ野球記録更新しねぇかな!」というワクワク感のみですから。最終的には帳尻を合わせる大連勝での3位確保は目指しますが、今この瞬間は「負けを前借りしてでも今19個固めたい」と思っている。そのような前向きな気持ちで負けを受け止める男を、北朝鮮に1回負けた程度で怒らせるのは不可能命題です。

ていうか、むしろ、いい傾向じゃないですか。

「アレ、日本って弱くね?」という共通認識、コレをむしろ積極的にアジアに広めていきたいと僕は思っています。近年はユース世代などで負けまくっていることで、「日本には勝てる」と思って大人になるサッカー選手がアジアには多いかと思われますが、それをしっかりと確信に変えていくのは、最終的に日本のタメになると思うのです。

個人的に、日本代表にまつわる不幸の遠因は「アジアにおいて日本は抜けて強い」という認識というか、思い込みだと思っています。コレがあることで、アジア予選やアジアカップの価値が極端に貶められ、ACLでの負けについての怒りも倍増されているように思います。確かに一時期そんな時代もあったかもしれませんが、カタールでワールドカップが開かれたり、中国に世界のビッグネームが集っているような状況で、いつまでも抜けて強いワケがないでしょう。バレーやバスケ、ハンドボール並みにドッコイドッコイになるのが当たり前なのです。どこが相手でも勝つこともあるが、どこが相手でも負けることもある、それが当たり前なのです。

認識をリセットするという意味では、ある程度負けを重ねることも必要です。腹の底から「ドッコイドッコイだな」と思えるまで、積極的に負けていきましょう。そうすればひとつの勝利の喜びはグッと増し、敗北に対する客観的な受け止め方も可能となります。そして何よりも、アジアにおいても「本番で志向する戦い」を実践することが可能になるでしょう。

過剰な敬意によってドン引きされるというアジアでの状況は、予選を勝ち抜く過程と、大本番での戦いとを完全に分断しています。ある程度攻めてもらって、その中で「しっかりと攻撃を跳ね返せるDF」とか「ボール奪取力に長けたボランチ」とか「前線で身体を張れるFW」とか「絶望的なピンチをビッグセーブで救うGK」とかをヒーローにしていかなければならないのに、その能力を問われる機会が非常に少ない。

結局、大本番に臨むにあたって信頼して送り出せるのは、予選で活躍した選手なのです。日々の積み重ねこそが期待となり信頼となり希望となる。予選と本番でやることは変えられないのです。その意味で、「しっかり守ってカウンター」みたいなことを大本番でやらせたいなら、予選でもそういう戦いをしておかなければ、急に大本番だけ快速FWとか突っ込めるワケがないのです。ならば、ある程度「ドッコイドッコイだな」と向こうにも思ってもらわないと。

ザックJAPAN、ジーコJAPANのようにアジアで勝って勝って勝ちまくったチームでも、ワールドカップでコケたら黒歴史扱いされるのが日本という国の短絡的な民族性です。全体を考えることができず、常に目先で判断するのがお決まりです。4年間どれだけ楽しんだかではなく、最後にケチがついたかどうかだけがすべての判断基準なのです。

その意味では、今1個負けようが2個負けようが、歴史に影響を及ぼすことはありません。「終わりよければすべてヨシ」です。素晴らしい終わりを実現するため、結果が必要でない試合は積極的に負けていきましょう。「抜けて強い」などという思い込みを打破し、「やった!北朝鮮に勝った!」と心の底から思えるようになるまで。

ということで、早くもサッカー界隈ではハリボテ監督への不信感を漂わせ始めた、2日のフジテレビ中継による「東アジアカップ 日本VS北朝鮮戦」をチェックしていきましょう。

◆最後の最後、「悪いのは俺だぁ!」とチームを救った槙野とかいう生贄!

まず試合について振り返る前に、一言お礼を申し上げたく思います。長年に渡り、日本のさまざまなスポーツを支援してくださっている東芝さま。僕は、東芝さんがタンマリある稼ぎの余りで戯れにスポーツをご支援いただいているものだとばかり思っていました。が、実はそうではなかった。長年に渡る「チャレンジ」の中でも、「たとえ全身が粉まみれになってもスポーツへの支援を止めるわけにはいかない」という熱い思いで、ご支援をいただいていたなんて知りませんでした。

この日の試合でも場内には東芝さまのスポンサーロゴが堂々と掲げられていました。サッカーの試合だと何をやっても「キリンかな?」「ファミマかな?」としか思わない自分を今日ほど恥じたことはありません。東芝さまがこんなにも熱くサッカーをご支援してくださっていたこと、その熱きチャレンジ精神、忘れぬように胸に刻みます。今後とも無理のない範囲でご支援いただけますよう、お願い申し上げます。

閑話休題。

中国・武漢で行なわれる今大会。試合会場となる武漢スポーツセンターは、スタンドの上方までビッシリと椅子で埋め尽くされていました。満場の椅子の視線は両チームに注がれ、期待感が渦巻いています。若くはないがフレッシュな日本代表が、どこまで「野心」を持って戦っていけるのか。このチャンスを、そして日本代表として得られる栄誉と小銭を掴むのは誰なのか。ニュースターの登場を、満場の椅子は待っています。レッツチャレンジ!

日本のスタメンはGKに西川、DFラインに藤春・槙野・森重・遠藤航と並び、ボランチには谷口・山口のコンビ、2列目には宇佐美・武藤雄・永井、1トップに川又が入りました。初招集のメンバーや代表歴の少ない選手がズラリと並んだスタメンは、「チャンスをつかめ」というメッセージそのもの。日本代表戦というのは基本的に「大事な試合」と「大事な試合への準備の試合」しかないわけで、ココで活躍せねばステップアップなど臨めません。とにかく結果を出していきたいところ。

そして始まった試合。日本はまるでトライアウトのように各員が自分をアピールしようと燃えています。まず立ち上がりのプレー。日本ボールでのキックオフは、普通に後ろに戻して前にポーンと蹴っただけなのですが、ゴールライン付近まで転がったそのボールに、何と永井が追いついてしまいます。「足はクソ速い!」という改めての驚きで、いきなり日本の永井の名をアジアに轟かせました。(※なお、本日の永井選手の見せ場は以上で終了です)

前線の川又は積極的に身体を張って競り合い、サイドでは宇佐美が献身的に守備に奔走し、ロングボールに対しては猛然と槙野が突っ込んでクリアする。それぞれがそれぞれの課題を自覚して、この試合に臨んでいることが強く感じられます。そんな積極性が功を奏したか、「俺たちはとにかく結果を出すしかないんだ」という気持ちが実を結んだか。前半3分、試合は早速動きます。

↓遠藤航のクロスに武藤雄が突っ込んで、日本いきなり先制!(40秒過ぎから)


武藤雄さん、おめでとう!

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前半早々の先制点。なでしこJAPANのように強いチームなら、この優位を握ったまま試合終了まで時間を進めてしまったりするもの。相手もドン引きではいられなくなるでしょうから、そこをしっかり耐えれば追加点のチャンスも広がるでしょう。しかし、ここから徐々に「思うようにいかねぇな」感が実感として迫ってきます。

確かに川又さんは競り勝つは競り勝つものの、「で、おさめてどうするんだ?」というところは特にない。本質的には競り勝つ=シュートというシンプルな仕事を与えたほうがいいタイプなのでしょう。顔もそんな感じですし。競り勝っている割にはそれを次の展開に活かせていない、効率の悪さを感じます。

また、最大の見せ場を終えた永井さんは速いことは速いものの、「さーて、ボールを持ちましたよ」の先については、「前に走る」「川又さんに渡す」くらいしかデフォルトの選択肢がなく、それ以外の新たな可能性については一旦じっくりと考えてからでないと答えが出ない模様。本質的にはボールを持つ=走ってゴールに突っ込むというシンプルな仕事を与えたほうがいいタイプなのでしょう。ループシュートなどを撃ってしまう中途半端な位置に置いてはいけないのかもしれません。

で、武藤雄さんもボールを受けたあとは「ドリブルいけー!」「よく前を見ないでスルーパス一発!」という前のめりがデフォルトで、持ってからのリズムとかテンポとか緩急というところとは縁遠い模様。基本的には何やかんやワヤクチャがあった末に、「あぁ!今ここに誰かがいてくれたらいいのに!誰でもいいのに!」というところにピュッと顔を出すタイプなのでしょう。不慣れなポジションとしてはまずまずの動きでしたが、この仕事をやらせるなら、ほかの選手がいるように思います。

そんな一芸集団で前線を埋めてしまったところ、それぞれの一芸では光る瞬間があるものの、そこから先へどう進んで行くのかというところがなかなか見えてきません。宇佐美さんにボールが入れば、ひとりで抜いてシュートという形には一応なるものの、どうやってそこまで渡すかは実戦の中で考えていこうじゃないかくらいのフワッと感。中盤に2人くらい選手がいるはずなのですが、そこをボールがどう通っていたか、まったく記憶が甦ってこない試合です。

↓前半24分、川又さんはこの日最大の決定機をつかむも、シュートはGKへまっしぐら!(2分過ぎから)


なるほど、右足で蹴れないんだな!

そうか、それじゃあ仕方ない!

↓前半43分、永井さんはこの日最大の決定機をつかむも、シュートはDFへまっしぐら!(4分40秒過ぎから)


いっそ、縦にドリブルしても面白かった!

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このような攻めがつづき、守りでも危ないシーンがいくつかあるということで、本来ならベンチも荒れ模様となるところ。しかし、あくまでも新戦略発掘を意図するハリコJAPANは落ち着いたもの。ハルウララ監督は「水を飲ませろ」と執拗に抗議をするのに忙しく、采配どころではありません。さらにベンチでも和やかに談笑する様子が見られるなど、殺伐としたタイトル争いという空気は微塵もありません。先制している余裕、感じます。

↓10番を背負ったプレッシャーとか4年ぶりの代表戦出場の緊張とかは特になく、ベンチで元チームメートと談笑をする興梠さん!

こないだどこかのテレビで中村俊さんと香川真司さんが「10番の重み」っていうテーマで対談してたぞ!

何だこの「10番?」「9の次で」「11の前っすかね」という無頓着感は!

世間の風に一切流されない無頼派の男だ!

日本は後半に入ると、早々に柴崎岳を投入し、テコ入れを図ります。しかし、代わって下がったのは宇佐美。1人増えて、1人減ったという感じの交代で、日本は谷口をアンカーに置いた4-3-3へとシステムを変更します。これによって攻撃面では明確な球出し役ができたことで「とりあえず岳さんに渡して考えてもらう」という戦術が生まれます。一方で、守備に関しては「その辺、谷口に任せたぞ!」「セカンドボールしっかり拾えよ!」「え!?え!?俺すか!?」という若干の混乱を生じ、特にDFラインで跳ね返したボールを奪うことができなくなります。

北朝鮮も後半21分に20番のパク・ヒョンイルを投入し、試合を動かしにきます。身長は不明ですが、見た感じ明らかにデカい。その高さを活かし、北朝鮮の攻撃は露骨に20番を狙って高いボールを蹴ってくるようになります。DFラインから長いボールを蹴っても、20番はそれを攻撃につなげてしまうゴール前で競り合いになっても、20番は日本のDFをスクリーンアウトするように背中で押しのけてしまう。この20番を狙われつづけるとヤバイ。並行世界から連れてきたやる気のある平山相太みたいな感じだ。そんな危機感がフツフツとたぎってきます。

そして、試合が動いたのは後半33分でした。相手陣内からの遠めのフリーキック。特にピンチという場面でもないところで、北朝鮮はまたも20番に合わせてロングボールを蹴ってきます。森重はコレにまったく競ることができず、バンザイしながらヘッドですらすのを見送るだけ。さらにこぼれたところをカバーしに行った槙野は、これを触ることができずにシュートを許す。GK西川はもちろん触れず。痛恨の同点弾を許します。

↓よくやられるパターンの再現みたいな感じで、狙いどおりにやられたぞ!(1分30秒過ぎから)


CB1:「相手がでかいから仕方ない」
GK:「俺がシュートに触れないのはいつものこと」
CB2:「みんな落ち着け!落ち着け!!」
CB2:「まだ同点だぞ!落ち着け!!」
CB2:「今こそ心をひとつに!勝利を目指すぞ!」
CB2:「さぁ、上がれ上がれ!!」
CB2:「俺たちは強い!絶対に勝つ!」
CB2:「落ち込んでいるヒマはないぞ!」
CB2:「ミスを引きずるな!!」
CB2:「日の丸を背負った誇りを見せろ!」
CB2:「ヘイ!ヘイ!ヘイ!ヘイ!」
CB2:「カモン!カモン!カモン!カモン!」

おぉ、よく見る感じの失点!

ノーチャンス、この1点はノーチャンスだった!

止めるチカラを持った選手は、その辺にはいない!

勢いに乗る北朝鮮は、19番の選手が「空中に飛び上がって足刀でボールを蹴ろうとするも空振りし、背中から落下すると、その際に自分のヒザが自分の顔面に入って負傷交代」というハッスルプレーを見せるなどノリノリです。何が起きたか文章だけ読んでもよくわからないと思いますが、それぐらいノリノリです。逆に日本はアンカーの位置の谷口が「どうしてもアンカーの横にスペースが空くな」「そうだ、俺がもっと下がって」「DFラインに吸収されればいいんだ」という画期的解決法を見い出すなど、押し込まれたところからの反発力がなかなか生まれてきません。

そして、再び試合が動いたのは後半43分、動かしたのはまたも北朝鮮の20番でした。何だでもないスローインからゴール前に水沢アーリークロスを蹴り込まれると、槙野は20番をつかまえることができず、ていうか、軽く手でつかみにいったのに跳ね除けられ、そのままヘッドでズドン。「まさか」というにはあまりに順当な、この20番がいて同じことをやられたら何度でも再現されそうなプレーで、日本は逆転を許します。

↓これは戦術とかシステムとか何も関係ない、どうしようもない失点!(1分50秒過ぎから)


相手がデカい!そしてコッチは槙野!

「GKとCBとCFWは190を揃えろ」という大原則を改めて痛感させられる失点!

自分より大きい相手を止めるのは難しいという当たり前の事実!

日本、痛恨の逆転負けです!

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もちろん、決めるべきときに決めていれば勝った試合でした。十分にそのチャンスはありました。しかし、20番の高さを日本は封じることができなかったのも事実。あの辺で競り合う西川・森重・槙野という面々は、新戦力でも何でもなく「主力」と言える顔ぶれです。ロングボール一発でくる場合、日本の前線に本田△がいようが香川真司がいようが関係ありません。「次やっても、何点かは取れる」という確信を持って、北朝鮮は引き上げたことでしょう。完敗です。

しかし、気に病むことはありません。ドッコイドッコイと思ってもらうこと自体は歓迎ですし、コチラの落胆も心の芯に響くほどではありません。不幸中の幸いですが、この試合の責任は槙野さんがひとりで背負ってくれました。実際はひとりの責任であろうはずがないのですが、槙野さんが絡めば「槙野だな」「槙野が戦犯」「見てないけど槙野がクソ」ということで国内の意見は一枚岩となります。

「槙野を殴って平和解決」

コレで2018年までいきましょう。いいときは自分たちのチカラ、悪いときは槙野のせい。槙野さんにはそうした責任を背負うチカラがあります。それこそが、彼の「一芸」です。すべての試合で「戦犯」というポジションを占め、チームの全ダメージを受け止める。その仕事をできるのは、槙野さんしかいません。吉田麻也さんがプレミア風を吹かせる今となっては、これは槙野さんしかできない仕事です。「ドッコイドッコイ」より下にまでへりくだるような落ち込み方は止めて、不安になったら心の中の槙野さんを思いっきり殴ってください。気が済むまで。そして、また元気を出して応援していきましょう。

頑張れ、ハイルキガシナイJAPAN!!

韓国戦で負けると腹立たしいので、次戦は槙野1人で戦わせてください!