まずは戦術理解度の高いメンバーが先発に名を連ねそう。フィールドプレーヤーの“新顔”がトップ下の武藤と右SBの遠藤で、怪我明けの柴崎と太田はベンチスタートが濃厚。

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 武漢の日差しは強い。日中は肌がジリジリと焼かれるようで、日本よりも太陽を近く感じる。しかし、日が落ちてくると、湿度の低さや心地良い風も相まって、グッと過ごしやすい環境に変わる。日本代表の前日練習は、そんな夕暮れが迫る17時過ぎに始まった。
 
 メニューは恒例のものだ。ランニングに始まり、サーキットトレーニングを経て、パス練習に入る。その後は、ピッチサイズを狭くした紅白戦を行ない、最後はシュート練習で締めた。
 
 欧州組が不在の今大会は、国内組の絶好のアピールの場。7月29日にJリーグ5節を終えたばかりの選手たちに疲労は残っているが、彼らの表情からは“代表サバイバル”に懸ける強い意気込みが感じられた。
 
 北朝鮮戦を占ううえでの参考資料となる紅白戦では、スタメンと思われる選手たちがビブス組でプレーした。GKに西川。最終ラインは、右から遠藤、森重、槙野、藤春と並び、2ボランチには谷口と山口。トップ下は武藤で、前線の3枚は右から永井、川又、宇佐美だ。
 
 ハリルホジッチ監督が「トレーニングを見た後で決める」と語っていたとおり、ビブス組がそのまま先発起用されるかは分からないが、最有力候補なのは間違いないだろう。
 
 気になるのは、怪我で参加が危ぶまれていた柴崎と太田の状態だが、彼らは大事を取ってベンチスタートの可能性が高そうだ。トレーニング後にハリルホジッチ監督と個別に話しており、おそらくその旨が伝えられたと思われる。
 
 ビブス組の顔ぶれは、ほとんどが現体制下で出場経験のある選手たちで、まずは戦術理解度の高いメンバーで挑もうという意図がうかがえた。そんななか、フィールドプレーヤーの“新顔”としてスタメン起用されそうなのが、トップ下の武藤と右SBの遠藤だ。
 
 いずれも本職のポジションではなく、なおかつ今回が初のA代表招集。初めて尽くしのふたりにとっては、やや高いハードルを設定された印象もある。
 
 とはいえ、このチャンスに対する彼らの意気込みは高く、武藤は「2トップの下がり気味でプレーしたことはあるし、(浦和での)シャドーもトップ下に近いものがあるので、そこまで困ることはないと思う」。湘南で3バックの右を務める遠藤も、「ポジションはどこでも構わない」と語っており、気持ちの整理はできているようだ。
 
 他のポジションに目を移すと、注目すべきはボランチの組み合わせだろう。
 
 ハリルホジッチ監督がメンバー発表会見で語っていた「デュエル(競り合い)」の強さを備えた谷口と山口を並べており、ロングボールを多用してくる北朝鮮対策と見ることができる。前回大会でMVPに輝いた山口は、暑さや劣悪なピッチ状態を経験しているのもメリット。競り合いに強く、運動量豊富なふたりがセカンドボールを拾い、素早く前線につなぐ。そんな展開が期待できそうだ。
 
 前線では、代表での立ち位置を確立した感のある宇佐美だけでなく、名古屋で好連係を披露する川又と永井のアピールも見ものだろう。
 
 ハリルホジッチ監督は、今大会に挑むに当たり、「点が取れる選手が必要だ」と声を大にして語っていた。7月23日のメンバー発表会見では、スコアレスに終わったワールドカップ予選のシンガポール戦に触れ、「川又のようなフィジカル能力の優れた選手がいたら、状況は変わったかもしれない」と発言している。名指しされた川又にとっては、代表での定位置を狙う絶好のチャンスになるはずだ。
  
取材・文●五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)