Doctors Me(ドクターズミー)- 【DNA Diet and Lifestyle】vol.13: 生物間の遺伝子の交換

写真拡大

能力が移る?遺伝子の交換

これまで、「ヒトの遺伝子」の話をしてきました。
ところで、私達に関係しているのは「自分の遺伝子」だけではないのです。自然界には、遺伝子を交換しあったり、他の生物の遺伝子に潜り込んだりする遺伝子があります。

誰でも思い浮かぶのは受精です。ヒトも精子の遺伝子が、卵子に潜り込むことから生命が始まります。
また、ニュースなどで聞かれたことがあるかもしれませんが、近年、抗生剤がほとんど効かない「多剤耐性菌」という怖い細菌も増えています。

ある細菌の中で強いものが生き残って増えることもありますが、他の種類の細菌の強い遺伝子をもらって一瞬にして強くなることもあります。
例えれば、ヒトが鳥の遺伝子をもらって突然飛べるようになった、と言う感じです(あり得ませんが)。

遺伝子は干渉しあっている

ウイルスは基本的に自分では生きていけず、他の生物の遺伝子に潜り込みます。風邪やインフルエンザのウイルスも、エイズウイルスも肝ガンや子宮ガンのウイルスも同じです。

通常はウイルスが入り込んだ細胞はウイルスによって壊されたり、異常を察知した我々側の免疫に排除されます(風邪やインフルエンザのウイルス)が、すぐには壊されずに生き延びていくものもいます(肝ガンや子宮ガンのウイルス)。
ヒトの体には唾液腺のように、遥かなる太古に忍び込んだウイルスが体の機能として活躍していると考えられる場所さえあります。

つまり、遺伝子は日常茶飯事で干渉しあっているのです。
遺伝子治療というのはまさにこれを利用したものです。ヒトはヒトの遺伝子だけで生きているのではありません。

また、生物は明らかに共生しているものがあります。
例えば、コバンザメとジンベイザメ。
コバンザメは大きなサメにくっつき、他力本願で移動しているように思われがちですが、実は持ちつ持たれつの関係です。共生しているわけです。

ヒトの社会でも一緒です。一方的に寄りかかった関係は長続きしません。お互いに相手にためになることをし、そのお返しをもらっているのです。

ヒトは「細菌」と共生している!?

さて、ヒトの体内では、主な共生の相手は細菌です。
我々は体に色々な細菌を飼っています。特に腸内や皮膚にはこうした細菌がどっさりいます。

ヒトはヒトだけの力で生きているのではなく、共生している膨大な数の細菌との共同作業で生きているのです。
そんな細菌はもちろん我々と違う遺伝子を持っています。我々に都合のよい細菌がちゃんと働いてくれないと、栄養が吸収できなかったり作られなかったりして、ヒトの身体にたちまち影響がでてしまいます。お肌で言えば、たちまちカサカサになります。

体に入ってしまうものは、我々ヒトの遺伝子だけでなく、こうした他の生物の遺伝子にも影響を与えるのです。
細菌は顕微鏡がなければ見えないほど小さいのですから、我々にとってはほんの小さな量でも、微生物にとっては、病気になったり死滅したりするのに、充分な量であることも簡単に想像できますね。

〜医師:松本 明子〜