ハリルホジッチ監督が求める要素のひとつは、縦への速さだ。「自分の良さはそういうところ。裏に出たり、仕掛けたりを意識したい」という武藤は、指揮官の求める資質を備えている。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 国内組のテストと位置付けられた東アジアカップの初戦で、浦和の新星が代表デビューを飾りそうだ。任されるポジションはトップ下。長らく代表で10番を背負ってきた香川の代役である。
 
 北朝鮮戦のスタメンと思われるビブス組に割り振られた武藤は、約20分間の紅白戦で精力的にプレー。「今日は一応初めてですし、周りの選手も初めてだったので、なかなか難しいところはありました」と戸惑いを見せながらも、周囲とのコンビネーションを確認した。
 
 本人によれば、「しっかりしたトップ下(の経験)はない」そうだが、「2トップの下がり気味でプレーしたことはあるし、(浦和での)シャドーもトップ下に近いので、そこまで困らないと思う」。また、「ただ、細かいところは分かっていない部分もあると思うので、ミーティングでしっかり理解して試合に臨みたいと思います」とチームメイトとのコミュニケーションも密に取るつもりだ。
 
 今季のJ1では、21試合で9得点。印象的なゴールを量産し、浦和の第1ステージ制覇に大きく貢献した。そうした勝負強さや得点力が認められての代表入りだと理解しており、本人もゴールに対する想いは強いようだ。
 
「最初の(全体)ミーティングで(チームとして)ゴールが足りないってことを言われました。ゴール前での落ち着きだったり、そういう部分を上げて行こうと。前の選手はもっとゴールを取らなきゃダメだという話もあったので、そういうところを表現できれば良いと思います」
 
 ここまでハリルホジッチ体制下で行なわれた4試合では、本田と岡崎がともに2点ずつとまずまずの成績を残している一方、トップ下の香川はノーゴールと思うような働きができていない。代役として期待される武藤が結果を残せば、序列を覆す可能性はあるだろう。
 
 今季の浦和移籍後、瞬く間にスターダムにのし上がったアタッカーのポテンシャルは、まだまだ底が見えない。Jリーグとの連戦でコンディションは万全ではないが、「今できる100を出すのが選手。自分の持っているものを100パーセント出したい」と死力を振り絞って、トップ下の座を奪いに行く。
 
取材・文●五十嵐創(サッカーダイジェスト編集部)