撮影=後藤秀二

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 社会現象化した「ラッスンゴレライ」「あったかいんだから〜」に続く、第3の波となるか? 『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の人気企画「パクりたい-1グランプリ」で「やっべぇぞ」がブレーク中のコンビ、コロコロチキチキペッパーズ。坊主にトックリセーターでただならぬ雰囲気を醸し出すナダルと、飄々カワイイ佇まいでナダルを操る西野創人。単なるフレーズ先行芸人と侮るなかれ。インタビュー中、いつも無口なカメラマン氏が思わず「本当に面白いですね……」と漏らすほどのトーク力を見せつけられた。来るべき東京コロチキ旋風に備えて、どこよりも早く日刊サイゾーが「やっべぇぞ」の裏側に迫る!!

――『アメトーーク!』以来、ちまたでの「やっべぇぞ」率は確実に上がっています。お2人の生活にも、変化はありましたか?

ナダル ありがたいんですが、特に僕らの生活は変わってないですね。

西野創人(以下、西野) いや、ナダルさん、初めて大阪のテレビ出させてもらった次の日、コンビニバイトでマスクしてましたよね?

ナダル 何? マスクしちゃアカンの?

西野 あれ……この人もう売れた気になってるの……早っていうか、ダサッ!! 

ナダル 喉をやられんように予防してただけや!

――(笑)。まずは、「やっべぇぞ」がどうやって誕生したのか、お聞きしてもいいですか?

西野 僕、カラオケ屋でバイトしてるんですけど、2年くらい前かな、ドリンクを運びに行ったら部屋にすごいギャル男がおりまして。注文したメロンソーダを見て「メロンソーダやっべぇ! やっべぇわマジで」って連呼してたんですよ。メロンソーダの何がやばいんやろって思いながら、あ、これネタにしたらどうかなと。ギャル男さんありがとう。

――では、ネタは主に西野さんが?

西野 僕が大枠を持ってきて、ナダルさんと相談しながら作っていく感じですね。

ナダル 僕も一応持っていくんですけど、西野のが圧倒的に採用率が高いんです。

西野 ナダルさんの出す意見は、ちょっと飛びすぎてるんですよ。この前は「原始人がオークションに出品したら」という、なかなか意味のわからないものをお持ちになって。で、僕が「ちょっと……」って言うと、スネるんですよ。

――ナダルっていう芸名も……あ、芸名ですよね?

ナダル 芸名です! あの名テニスプレーヤーのように、笑いのラリーを返したいという思いを込めて。

西野 って、本人は言ってますけど、ホンマは僕が「相浦英樹って名前覚えづらいから、なんかカタカナがええんちゃう? ナダルとかどう?」って決めたんですよ。でも8歳年下の僕に付けられたというのが、プライドが許さないらしくて。

ナダル エエやないか、もうそのことは。

西野 ナダルさん、そういうとこホンマにヤバイですよ。ね?

ナダル そうかな。

西野 「やっべぇぞ」言わへんし(笑)。でも「やっべぇぞ」をテレビでやってから、ちょっとナダルさんかわいそうなんですよ。ルミネ(theよしもと)のチケット売るのに外に出たら「『やっべぇぞ』言ってください」の行列が。でも、チケットは全然買ってくれない。

ナダル チケット買わずに、写真とやっべぇぞで2時間。

――芸人冥利に尽きるというか、なんというか……。そもそもお2人が芸人を目指したきっかけは、なんだったんですか?

西野 僕は中学生の時に友達と文化祭で漫才して、めっちゃウケて、それが今まで味わったことのない快感やったんですよ。でも、まさか自分が芸人にはなるとは思ってなかったです。小中高とやっていた野球を大学でもやりたいと思っていたら、親からきっぱり「大学は行かされへん」と言われました。家めっちゃ貧乏だから。それで、NSC受けてみようかなと。大学行ってたら、たぶん絶対考えなかったですね、芸人という生き方は。


■漬物屋から芸人へ

ナダル 僕もですよ。めちゃめちゃ真面目に育てられてきました。

西野 ナダルさんは、生き方がブレブレだから(笑)。

ナダル 僕の地元は京都に一個だけある村で、すごい自然が豊かなんですよ。で、昔から生き物が好きで、動物園の飼育員になりたいと思っていたんです。魚とか、ペンギン系の。

西野 ペンギン系って何よ。

ナダル だからペンギンとか、カメとか。だけど、飼育員さんってすごい人気高くて、早々にあきらめました。僕は、近畿大学の水産学部に通っていまして。

――あ! あの近大まぐろの!

ナダル はい。でも、僕は“とらふぐ”やっちゃってたんですよ〜。まさか、クロマグロがあんなブレークするとは思わなかったんでね。で、食品つながりで最終的には漬物屋さんに就職しました。神戸で有名な奈良漬屋さん。

西野 神戸で奈良漬っておかしない?

ナダル おかしない。奈良漬業界では、ごくごく普通。奈良漬の生産量全国1位が兵庫県だから。

西野 知らんがな(笑)。

ナダル で、仕事していたんですけど、ここで新たな夢が登場します。それが消防士です。

――突然、ブッ飛びますね。

ナダル 勉強もめっちゃしたし、走り込みも筋トレも。筆記試験も体力検査も面接も通過して、あとは小論文だけ……それなのに、小論文で落ちちゃって。しかも、それが2回続いて。

西野 何書いたら、そんなふうになるのよ。

ナダル これはもう「神様が消防士をやめておけ」と言っているのかなと、僕の中で判断したんですよ。

西野 見事に、自分のミスを神様のせいにしたな(笑)。

ナダル その時にね、一緒に風呂入っていた友達に「おまえ、何がしたいんや。一回自分の本当にやりたいことやれや」って言われて、目が覚めた。正直ね、今までも結構笑いを取ってきたんですよ。だから、さっき西野が言ってた「味わったことのない快感」っていうのは、日常的に味わってきたんですよね。

西野 ホンマおそろしい人やな……。

ナダル で、みんなの前で「僕、芸人になります!」って宣言しました。一番の難関は、母親でしたね。

西野 その時、いくつよ?

ナダル 26。

――……結構なイイ年齢ですね。

ナダル 思い切って「実は仕事辞めて、芸人になろうと思ってる」と言ったんですよ。そしたら母親、ガタガタガタガタ震えだして「アンタをそんなふうに育てた覚えはない」って。「お母さん明日から韓国旅行なのに、どうやって飛行機の中とか楽しめばいいの!?」とキレて。

西野 飛行機の中だけなんか(笑)。

ナダル でも、帰ってきたら「アンタの人生やから、やりたかったらやったらええ。ただずっとやるほど甘くないから、ちゃんと時間を決めてやってほしい」と。


■「ナダルさんの人間性を世に広めるのが僕の指名」西野

――そんな2人が出会って、コンビを組んだと。

西野 ナダルさんは、僕にとっての「イジれるお兄ちゃん」でした。NSC卒業してお互いコンビ解散して、組んでみよっかってなったんですけど、この人、その1週間後くらいに「俺、お笑い辞めるわ」って言いだしたんですよ。

ナダル (ため息)1カ月くらいちゃう?

西野 なんでも、先輩から「お前は、お笑い芸人になるスピリットがない」って言われたらしいんですよ。それも酔った勢いで、ちょっと言われただけで。メンタルどんだけ弱いねん。

ナダル 丸2年、自分の中で結果出せなくて、初めて絡んだ先輩に「お前、ほんとバイトばっかりしてるやん。芸人って、いっぱいしゃべって何十万と稼ぐ仕事ちゃうんか。辞めたほうがええよ」って言われたんですよ。図星すぎて、胸が痛くて……。俺、西野のことめっちゃ面白いと思ってて、そんな西野に迷惑かけてるんじゃないかと。それで電話した。「辞めようと思う」って。そしたら、めっちゃ反対されました。西野がうちに来て、5時間くらい話し合って。そこで「俺が英さん(※ナダル)売れさすから」って言われたんです。

西野 それ、売れて特番とか組まれて披露するなら、カッコイイエピソードやけどな。

ナダル でも、俺はめっちゃうれしかった。それがあるから、今があるんだから。

――西野さんは、どんな気持ちだったんですか?

西野 僕は、とにかくナダルさんの人間性が面白いと思っていたんで、フタ開けたら案の定ヘンやったんで、これで辞めたらもったいないって。ナダルさんのお茶の間での評価は「いい声の人」かもしれませんが、この人の人間性を世に広げるのが今の僕の使命だと思っています。

――ナダルさんの、ヘンなエピソードが聞きたいです……。

西野 基本的にこの人、先輩にめっちゃ失礼なんですよ。

ナダル 基本?

西野 先輩に「ご飯行こう」って。コンビで誘ってもらった時のことです。「どこ食べに行こか」って街を歩いていたんですよ。そしたら、僕らの横を同期の芸人が通った。「おお!」って挨拶して通り過ぎればいいものを、この人「今から飯行くけど、お前も来る?」って言いだしたんですよ。

ナダル 確かに、あれはアカンかったな。

西野 その先輩が器のおっきい人やったから、笑って「ええよ」で済ませてくれましたけど。でも、それでは終わらなかった。次に、後輩の3人組が通ったんです。

――まさか……。

西野 今度こそ、何事もなくすれ違ってくれよと願っていたら「お前ら何してんの? 飯行く?」と。

ナダル もうやめてよ。

西野 さすがの先輩も「俺はええけど、ほかの先輩にやったら殺されんで」って。

ナダル その時の僕は「みんなで一緒にご飯食べたら楽しいだろな」っていう気持ちだけだったんですよね。だけど、それからは一切やってないですから、信じてください。なんなら、そういうのがダメだぞっていうのを後輩に伝えていくのが僕の役目かなくらいに思っています。

西野 後輩への説得力ゼロでしょ。8.6秒バズーカーにもめっちゃエラそうなんですよ。「お前ら、これからやぞ。ここからが踏ん張りどきやから」とか、誰が言うてんねん!

ナダル 俺は心配なのよ、あの2人が。何も知らないまま売れちゃったから。

西野 8.6秒の2人も、「ナダルさん、ナダルさん」って、めっちゃイジってくるんですよ。それに対しては「後輩が俺をイジんな。それで面白くなるんか」とか言う。こんな人、イジるに決まってるじゃないですか。坊主でトックリ着て、変な声のおっさんなんだから。ナダルさんは、もともとはイジりたい側の人。くりぃむしちゅーの上田晋也さんに憧れてこの世界に入ってきたから。

――本当は仕切りたい。

西野 それが、全部化学反応でおかしなことになってて。

ナダル 後輩だけの時は、僕めっちゃ仕切るんですよ。ただそこに先輩が入ってくると、僕のほころびを全部突いてきて、そこに後輩も乗っかってくるから、もうニッチもサッチも。

西野 ニッチもサッチもやなくて(笑)。ライブの時もそうやで。先輩がネタやってる時に袖のモニターで腕みながら見てて、なんか言ってるでしょ。

――なんて?

西野 「はぁ〜、成長してんな〜」

ナダル そんな言い方してない。「目に見えて伸びてる」とは言った。

西野 その言い方のほうがアカンやろ(笑)。

ナダル すごい面白くて、「成長してんな」って思うのの何がアカンのですか?

西野 悪気はない。悪気はないのが本当に悪い。


■プチブレークに、“あの人”が「待った!」

――今では8.6秒バズーカーさんをしのぐ勢いで、「やっべぇぞ」がキテますが。

西野 ナダルさんは「『やっべぇぞ』の人だ!」って顔さされることが多くなったし、僕は僕でたまに「やっべぇくねぇ人だ」って言われたり。ただ一人だけ、このプチブレークに不満を漏らしている人がいるんですよ。

――それは……?

西野 僕のおばあちゃんです。おばあちゃん、ものすごい僕のことかわいがってくれて、いつもカワイイカワイイ言うて。それで『オールザッツ漫才』(MBSテレビ)にも出ました。「この子は神の申し子」って言った(笑)。

ナダル 一度おばあちゃんが単独ライブに来た時に、僕を呼んで「ナダルさん、もうちょっと(西野)創人のセリフ増やしてもらっていい?」って言われましたよ。

西野 「創ちゃんのセリフ少なくて、おばあちゃん寂しい」(笑)。で、「おばあちゃん、ごめんな。でも、これはわざとなんやで。ナダルを目立たせるために、わざとそうしてんねんで」って言ったら、「そうなんか。おばあちゃん、吉本に電話するとこやったわ」って。

――おばあちゃん面白すぎます(笑)。

ナダル うちの母親も、僕がドッキリにかかったりするの、よく思ってないんですよ。

西野 そういう時、おかんになんて言うんやっけ?

ナダル 「ピエロやってます」って。そしたら母親は「ピエロやってたんや〜」と。

西野 なんなん、その会話(笑)。

――おばあちゃんのためにも、お母さんのためにも、これからガンガンいかないとダメですね。

西野 「やっべぇぞ」で、ようやくスタートラインに立てた感じですね。いつまでもダラダラしているわけにはいかないんで。これからどうするかですね。とにかく、ナダルさんの個性をどうアピールしていくか。ドッキリ、催眠術、密着、なんでもこいの人ですよ。

ナダル まぁ西野はまだまだ子どもやけど、こいつのわかってない部分を僕が補っていかないとな、と。コンビってそうやろ? 補い合いしやろ?

西野 “補い合いし”って、なんやねん(笑)。

ナダル ほんまこいつね、うちに来てご飯食べても、絶対ゴミ捨てないんですよ。

西野 ちっちゃいなぁ、なんやこの話。

ナダル あとお前な、飲み物飲むんなら最後まで飲んで、お願い。あれ、最後全部流しに捨てるん俺やから。あと、お前俺のうんこ臭いとか言うけど、絶対にお前のうんこも臭いはずやから。あと……

西野 めちゃめちゃ言う割には、いつもワケわからない感じで終わる(笑)。
(取材・文=西澤千央/撮影=後藤秀二)

●コロチキ出演情報
『大阪よしもと漫才博覧会2』
日程 2015年8月6日(木)〜 7日(金)
時間 開場18:30/開演19:00
場所 ルミネ the よしもと
チケット 前売2,500円/当日3,000円
<http://manzai-hakurankai.com/>