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「シネマスコープ」サイズ、と言ってもピンとこないひとも多いかもしれない。

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映画『HERO』は、ハイビジョンサイズのTV画面を見慣れた目からすると、グッと横長のワイドなスクリーンサイズで上映されている。

ちなみに、いま、日本映画も含めてもっとも一般的な映画のサイズは「アメリカン・ビスタ」といって縦横の比が、1:1.85。ハイビジョンは1:1.78(9:16)なので、この「アメリカン・ビスタ」とほぼ同じ。

なので、わたしたちは普段、画面サイズ比率のことだけで言えば、TVをソファで眺めるのと同じ感覚で、映画館のシートに座っている。

「シネマスコープ」の映画には、「アメリカン・ビスタ」の映画にはないダイナミズムがある。実は、劇場版としては前作にあたる2008年版『HERO』も「シネマスコープ」で撮影されていた。

ただ、前作の『HERO』には、韓国でロケしたり、クライマックスが法廷シーンだったりと、わかりやすい「映画らしさ」が満載の、いわば番外編的な趣があった。

逆に言えば「TVとは違うよ」という意志表示としての内容と共に「シネマスコープ」があった。だが、2015年版にはシリーズの原点を見せるような、正統派『HERO』の真髄がみなぎっている。地道にコツコツひたむきに事件を追う、検事や事務官の姿が描かれている。

映画仕様の派手さがあるわけではないからこそ、「シネマスコープ」画面が映えるという仕掛けになっているのだ。

たとえば、見慣れているはずの城西支部が、どこか違って見える。横長の視界で切り取るとこうなるのか、という発見がある。メンバーたちの動きや動線も、「シネスコ」(「シネマスコープ」の略称)だからこそ、一望できるヴィジョンたりえている。

そして、それぞれの部屋の開け閉めがかつてないほど、何度も繰り返され、そのドタバタコメディのノリが、やがて、今回の事件のキーアイテムである、大使館の扉へとさり気なく連結されていく呼吸はたまらなくリッチだ。

また、ゲストの佐藤浩市扮する、外務省の松葉圭介が、久利生公平を呼び出し、対峙する場面では、「シネマスコープ」画面が思いきり威力を発揮。

画面の端と端に座ったまま、お互い遠くから相手を見据える久利生と松葉。両者の視線の激突を、あえて真横から捉える大胆なアングルは、これまでにもドラマ「プライド」などで共演しており、リスペクトしあっている木村と佐藤だからこそ成立したものだろう。

むしろ、その距離感が、それぞれの目力の強さを浮き彫りにする1シーンである。