体脂肪8%の肉体美を披露した映画『HK/変態仮面』

写真拡大

 短期間で体重を30キロ増やす――。映画『俺物語!!』(2015年10月31日公開予定)で主演を務める鈴木亮平が、体重を30キロ増量して新作に挑む。その役者魂に対して、賞賛の声があがる一方で、鈴木の体を心配する声も寄せられた。

 鈴木亮平といえば、映画『HK/変態仮面』や『TOKYO TRIBE』で肉体美を披露した"肉体派俳優"として有名だ。『HK/変態仮面』(2013年)では、一度15キロ太ってから脂肪だけを落とし体脂肪8%に。見事な筋肉に覆われた肉体は、映画公開時に話題を呼んだ。

 TBSテレビ60周年特別企画・日曜劇場『天皇の料理番』では、病に冒される役作りのため、体重76キロを半年で20キロ減量(鈴木は身長186cm)。「プライベートな時間を削って、すべてを減量に捧げました。この物語だったら、自分の半年を捨ててもいいと思えた」とコメントしている。

 今年4月、東京・上智大学内で開催された留学応援トークイベントに登壇した鈴木は、「76キロから20キロ減量して56キロだったのが10日前。いま76キロ。このリバウンド、絶対に真似しないで」と客席に呼びかけている。

 今回の『俺物語!!』の撮影は、『天皇の料理番』のクランクアップから約1カ月後にスタート。同名の少女漫画が原作の映画で、主人公の男子高校生・剛田猛男を演じる鈴木は、原作での設定「身長2メートル」「体重120キロ」に近づけるため、徹底した食事とトレーニングで30キロ増量したという。

 「20キロの減量から1カ月で30キロの増量」。確かに、短期間で体重増減を繰り返す役作りに対して、体を気遣う声が上がるのは当然かもしれない。実際、鈴木のブログのコメント欄には、多くのファンからは心配の声が寄せられた。

役作りにかける俳優たち

 だが、俳優が役作りのために、体重を増減させるのは珍しいことではない。古くは、俳優ロバート・デ・ニーロの貪欲な役作りが有名だ。常軌を逸した役作りは、映画界では「デ・ニーロ・アプローチ」と呼ぶ。
 
 デ・ニーロは、映画『レイジング・ブル』でボクシングのチャンピオンにまで上り詰めた鍛え上げられた肉体と、引退後の肥満体型を表現するために体重を27kg増量。映画『アンタッチャブル』では実際に頭髪を抜いて、アル・カポネを演じた。

 近年では、マーク・ウォルバーグが映画『The Gambler』のために約27キロ減量。197ポンド(約89kg)だった体重をわずか6週間で137ポンド(約62kg)に落とした。真面目でスレンダーなイメージのクリスチャン・ベイルは、ドラマ『アメリカン・ハッスル』で19.5キロも体重を増やして世間をあっと驚かせた。

体重を増やすにはとにかく食べればいいのか?

 では、彼らはどのようにボディコントロールしているのだろうか。
 
 クリスチャン・ベイルは、映画『マシニスト』(2004年)では、1年間不眠の主人公を演じるために1日ツナ缶1つ、リンゴ1個だけの食事を過ごし、最終的に63ポンド(約30kg)減量して体重54キロまで減らした。さらに、そのすぐ後『バットマン・ビギンズ』の撮影のため、大量のアイスクリームなどを摂取して6カ月で体重190ポンド(86kg)まで増量する過酷なトレーニングをやり遂げた。

 一方、『アメリカン・ハッスル』では、いかがわしい詐欺師役のために、チーズバーガーやドーナッツなどのジャンクフード、目につくものを手当たり次第になんでも食べまくったという。

 一般的には、「体重増やすだけなら、とにかく食べまくってカロリー摂取をしまくればいい」と思いがちだ。ところが、近年では単純な「高カロリー食=肥満」の図式は崩れつつある。日本でも昨今、ブームとなった「炭水化物(糖質)は控えたほうがいい」という「糖質制限」。これを主張してきた医師の多くは、高カロリー食を否定せず、むしろ動物性タンパク質や脂質などを積極的に摂ることを勧めている。

 糖質は摂取すると血糖値が上昇し、それを抑えるためにインシュリンが分泌される。インシュリンは、余った糖質を中性脂肪に変えるという働きがあるため、糖質を制限するとインシュリンの分泌も抑えられ、脂肪が蓄積されにくくなるのだ。

鈴木亮平はパンを食べて太った!?

 鈴木亮平も、体重を一気に増やす方法の一つとして「主食をパンにした」という。実はパンは高GI値食品。「GI値」とは「グリセミック・インデックス(Glycemic Index)」の略で、その食品が体内で「糖」に変わり血糖値が上昇するスピードを計ったものだ。

 たとえば、炭水化物のなかでも、白米(100g)はGI値が81。一方、フランスパンは93、食パンは91。ちなみに、フランスパンや食パンよりもカロリーが高い、ロールパンは83、ベーグは75、クロワッサンは70。さらに高カロリーでも、肉(牛、豚、鶏など)はいずれもGI値55以下で、ダイエットにお勧めだ。

 そのため、ジャンクフードもカロリーより高GI値が肥満の要因になる。日本人俳優は、契約期間の問題などで、鈴木ほどの体重増減による役作りは難しいといわれている。短期間での大きな体重増減は、血糖値の乱高下を引き起こし、糖尿病や血管性の疾患を招きかねない。まさに"身を削る"努力を惜しまない鈴木だが、将来ドクターストップがかからないことを祈りたい。
(文=編集部)