花王の男性用尿ケア用品「スマートガード」(同社HPより)

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 「憚り(はばかり)」「雪隠(せっちん)」「花摘み」など、「トイレ」を意味する言葉に敏感な日本人。子どもの頃の「おねしょ」や「おもらし」であれば誰もが経験することだが、そこまでの大事には至らなくても、軽い「尿漏れ」に悩んでいる大人は多い。

 ユニ・チャームの実施したインターネット調査(2014年)によれば、月1回以上の軽い尿漏れの経験者は、20代から存在するとのこと。「幼児や老人じゃあるまいし」などと侮ってはいけない。

尿道の長さは女性は3〜4cm、男性は20cm

 尿とは液体の排泄物のことだ。血液は全身に栄養や酸素を送る代わりに、老廃物などを集めて腎臓に運んでいる。この老廃物を濾し出したものが尿となる。

 尿は左右の尿管を通って膀胱に溜まる。このとき膀胱の筋肉は弛緩しているが、尿道は収縮している。そして、膀胱が尿で満たされると、脳がその情報を感知して尿意を発信。今度は膀胱が縮んで尿道が緩み、溜まった尿が排出される。

 ちなみに、尿意があってもトイレに行けないとき、排尿が我慢できるのは、「尿道を閉じろ」という別の情報が脳へ発信されているためだ。通常は漏らすことなく、意識的に排尿がコントロールできている。

 この尿道の長さは男女で違う。女性は平均3〜4cmだが、男性は平均20cmもあり、出口までに2カ所も折れ曲がっている。また、男性の尿道の周囲は前立腺という臓器に囲まれており、尿道を閉める筋肉である骨盤底筋は、女性よりも頑丈にできている。このような肉体的な違いから、尿漏れに悩む女性は男性の約2〜3倍という統計もある。

40歳以上の12.4%が排尿障害

 男女を問わず、尿漏れの一番の原因は、やはり「加齢」だ。年齢とともに筋肉が弱くなり骨盤底筋がうまく閉められなくなるため、尿のコントロールが難しくなる。また男性の場合、高齢になると尿道を囲む前立腺が肥大する傾向があり、このせいで尿道が圧迫され、排尿がしづらくなる。

 さらに加齢では、膀胱が尿でいっぱいになって膨れあがり、常に少量の尿が漏れてくる「溢流性(いつりゅうせい)軽失禁」や、尿の勢いが弱まったり尿のキレが悪くなったりといった「排尿困難」という状態になることもある。これらは、糖尿病や前立腺肥大症、神経障害などの病気が原因となっている場合もあるので、専門医(泌尿器科)への受診が望ましい。

 加齢の以外の排尿障害には、「過活動膀胱(かかつどうぼうこう)」がある。この症状は、急激に尿意に襲われる(尿意切迫感)、1日に8回以上トイレに行く(頻尿)、夜に何度もトイレに行く(夜間頻尿)、トイレまで我慢できず漏らしてしまう(切迫性尿失禁)などがある。

 このような排尿障害は、脳からの情報がないままに勝手に膀胱が収縮することで起こるのだが、その理由はまだ特定されていない。日本では、男女含めて実に810万人、40歳以上の12.4%が排尿障害をきたしているという(2003年・日本排尿機能学会誌)。こちらも専門医によって治療・改善が可能だ。症状によって処方は違うが、投薬や簡単な手術といったものから、筋肉強化のための通電治療や体操まで様々なものがある。

加齢や病気が原因ではない、男性ならではの"尿漏れ"

 排尿障害である尿漏れのほかに、「排尿後尿滴下(はいにょうごにょうてきか)」と呼ばれる尿漏れがある。これはオシッコをした後にごく少量の尿が漏れだす現象で、専門用語ではPMD(post micturition dribble)という。男性なら年齢に関係なく起こるもので、病気ではない。

 前述のように、男性の尿道は長く折れ曲がっている。用を足してペニスを振っても、尿道の奥、「尿道球部」に尿が残りがちで、それが後になって漏れ出してくるのだ。

 対処法は簡単だ。残っている尿を絞り出す「ミルキング」という方法で、陰嚢の裏側からペニスの根元までを大きくこする。この動作を何回か繰り返すと、残った尿が絞り出され、尿漏れを防ぐことができるのだ。

さらなる安心を求めるなら専用パッド&パンツを活用

 医師による治療にしろ、筋肉強化の体操をするにしろ、尿漏れが即座に改善するわけではない。ミルキングをしてもまだ不安が残るという人は、どうしたらいいか?

 ユニ・チャームは2014年春、男性用尿ケア用品「ライフリー」シリーズを発売した。これまで女性用の尿ケア商品はあったが、男性向けの軽失禁専用のパッドは初めて。同年秋には、花王からも「スマートガード」という同様の商品が発売されている。こちらはパッケージにもこだわり、男性が手に取りやすいよう見た目も工夫がされている。

 これらの商品は、いずれも3〜5伉度の薄さで、ブリーフやボクサーパンツにテープで張りつけて使用する。パッドの中には尿の水分を吸いこむ吸収ポリマーが配合され、活性炭や銀などを使った消臭効果もある。もし尿漏れが起こっても、このパッドが尿を吸収してくれる。

 パッドの装着が面倒であれば、専用のパンツを使うのもいいだろう。日本製紙クレシアの「男性用ポイズパンツ 肌着ごこち」は紙パンツ型で、多量の尿を吸水することができるうえ、見た目や使用感も肌着に近いよう工夫されている。長時間の外出や洗濯ができない旅行先での使用にはうってつけだ。同じく帝人の「ウェルドライ」は、股間部分に4層の吸水構造を持った布製のという尿漏れパンツで、抗菌防臭加工がされており、洗濯をして何度も使うことができる。形状は、トランクス型やブリーフ型、冬場にはステテコタイプも選ぶことも可能だ。

 パッドでもパンツでも特に注意すべき点は、ムレだろう。各社の製品はどれも通気性をうたっているが、当然、個人の使用差はある。尿漏れの量が多くなれば吸水のためのポリマーや繊維に重量感が増してくるし、いわゆる"おむつかぶれ"を起こすこともある。ニオイも心配だ。

 使用後はやはり交換が推奨されるが、ごく少量の尿漏れの場合などは、吸収量の多いパッドを選べば対応ができるだろう。小まめな交換で費用がある程度かかったとしても、吸水パッドや紙パンツは、医師の判断があれば医療費控除の対象として申請もできる。

 なお、使用後に交換したパッドなどは、トイレに流すことはできないのでご注意を。一般のおむつなどと同様、ほとんどの自治体で可燃ごみとして処理されるので、特に外出先などでは、きちんと持ち帰って廃棄するようにしたい。

 夏場の暑い時期。尿漏れが心配で水分を抑えがちになったりしては、熱中症などで倒れかねない。快適な毎日を過ごすために、すぐできるケアを取り入れてはいかがだろうか。
(文=編集部)