マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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歴史を刻む一打も「少しコメディがありました」

 マーリンズのイチロー外野手が、29日(日本時間30日)の本拠地ナショナルズ戦で今季11度目のマルチヒットをマークした。第1打席では左翼線への先制タイムリー二塁打を放ち、これがメジャー史上38人目の通算2900安打目となったが、地元メディアは歴史を刻んだ記念球が紛失危機に陥った一幕を伝えている。

 0−0の2回、イチローは2死一塁でマリナーズ時代の元同僚フィスターからレフト線を破るタイムリー二塁打を放った。試合を中継していた地元テレビ局「FOXスポーツ・フロリダ」は、この一幕をこう説明している。

「イチローにとっては今季初の二塁打でしたが、少しコメディもありました。ヒットを打った後、マーリンズのベンチはボールを取り戻すようにお願いをしました。というのも、サードのエスコバー(ナショナルズ)がボールを客席に投げてしまいました。マーリンズのダグアウト全員が『なんてことを』というリアクションでしたね」

 レフト線ギリギリに落ちたボールは外野の隅まで到達した。左翼手のワースが処理し、三塁手のエスコバルに返球した際には、すでに一塁走者のディエトリッチは生還。イチローも二塁で悠々、セーフとなっていた。

ハリス三塁コーチの交渉で最後は「みんなハッピー」に

 しかし、マーリンズ・パークのファンから拍手が沸き起こる中、何も知らなかったエスコバーが三塁側のスタンドに記念球を投げ入れ、プレゼントしてしまっていた。

 悪気のないファンサービスだったが、マーリンズのベンチではナインが呆然。レニー・ハリス三塁コーチがボールをゲットしたファンと慌てて交渉し、別のボールと取り替えることで話がついたという。

 実況が「レニー・ハリスがボールを取り戻すことができました。そして、ボールを戻してくれたファンに別のボールをプレゼントしました。イチローは3000本まであと100本です」とマーリンズベンチの安堵の様子を伝えると、ハリス三塁コーチからベンチにいた二塁手のゴードンが大事そうに記念球を受け取った。

 最後、解説者は「ゴードンがボールを取り替えました。ファンもボールをゲットできて、みんなハッピーですね」とまとめていた。