今季の女子メジャー第4戦となる全英リコー女子オープンが、まもなく開幕する(現地時間7月30日〜8月2日)。

 舞台は、スコットランドを代表するリンクスコースのひとつ、ターンベリー(・リゾート、エイルサコース)。女子の大会は、2002年以来、2度目の開催となる。男子は、直近では2009年に行なわれている。59歳のトム・ワトソン(アメリカ)が奮闘し、あともう少しでメジャー最年長優勝という状況まで迫りながら、プレーオフでスチュワート・シンク(アメリカ)に敗れたコース、と聞けば、記憶にある人も多いのではないだろうか。

 クライド湾を臨むスコットランドの西海岸に位置する同コースは、全英オープン開催コースの中でも、最も美しい景観のコースとして知られている。が、ひとたび海からの強風が吹き荒れると、とんでもなく難しいコースに変わって、選手たちを苦しめることになる。

 今大会の設定は、全長6410ヤード(パー72)。全体の距離は長くないものの、シンボルマークの真っ白な灯台を背にしてティーショットを打つ9番ホール(412ヤード、パー4)をはじめ、10番(407ヤード、パー4)、11番(175ヤード、パー3)の3ホールは、距離もあって、風が吹けば、最大の難関になるだろう。

 そうした難コースに挑む日本勢は9名。米ツアーを主戦場とする面々は、宮里藍(30歳)、横峯さくら(29歳)、宮里美香(25歳)、野村敏京(22歳)の4人、日本からは大山志保(38歳)、吉田弓美子(28歳)、笠りつ子(27歳)、成田美寿々(22歳)、渡邉彩香(21歳)の5人が参戦する。

 なかでも、最も注目されるのは、先のメジャー大会、全米女子オープン(7月9日〜12日/ペンシルベニア州)で5位タイと健闘した大山だ。あと一歩及ばなかったものの、最後まで優勝争いに加わっていた戦いぶりは光っていた。

「メジャー大会であそこまでのプレイができて、本当に幸せな時間だった。でも、勝てるチャンスがあったから、本当に悔しい。この悔しさを、全英女子にぶつけたい」

 そして大山は、全米女子オープンのあと、日本ツアーを欠場。この全英女子オープンに照準を合わせて、準備を整えてきた。

「(全米女子で浮き彫りになった)課題は、アプローチとパッティングだった。ここをしっかり調整すれば、もっともっと上位にいける。ただ、それ以上に重要なのが、メンタルです。全米女子でも、優勝を意識した瞬間にダブルボギーを叩いてしまった。だから、今週のテーマは"欲"を出さないこと。優勝争いに加われたら、ひと呼吸置いてプレイしたい。38歳ですけど、私のゴルフ人生はまだまだ長いですよ」

 大山の、再度の上位進出はもちろんのこと、メジャー大会になってからは日本人女子初となる全英女子制覇へ、期待が膨らむ。

 日本ツアー勢では他に、"飛ばし屋"ふたりの若手に注目が集まっている。ひとりは、大山の活躍に刺激を受けた、という渡邉だ。

「大山さんの活躍は、日本で見ていて、すごく興奮しました。私も、全英女子でがんばりたいと、かなりモチベーションが高まりました」

 もうひとりは、全米女子では予選落ちを喫した成田。今大会では、そのリベンジを誓う。

「『がんばるぞぉ!』って気合いを入れて全米女子に臨んだら、ボコボコにされてしまった。だから今度は、あまり気負わずに、ありのままの自分を出して上位を目指したい」

 今季も日本ツアーで勝利を飾って、成長著しい渡邉と成田。勢いに乗れば、優勝争いに加わってもおかしくない。

 一方、米ツアー組では、ショットが好調な宮里藍に期待がかかる。全米女子に出場できなかった宮里藍は、その間、オフを利用して今回の舞台となるターンベリーを訪れて、調整を行なっている。

「全英女子で(コースを)下見に来たのは、初めてです。そして、そのときはすごく風が強かったので、いい練習になりました。今週はまだ風が吹いていないけれど、今は"嵐の前の静けさ"といったところかも。試合が始まると強風が吹きそうなので、下見が役立ちそうです」

 ここ数試合、宮里藍は珍しくショットに不安を抱えていた。しかし先週、完全に復調。本番前の練習ラウンド終了後には、「今週のキーは、ティーショットをバンカーに入れないこと」と、にこやかに語った。その、終始リラックスした表情から、メジャー大会における久しぶりの躍進を匂わせた。

 全米女子で予選落ちを喫した宮里美香は、「まずはコースをどう攻略するか。(全米女子のリベンジは)考えていない」と語るが、かつて4位(2012年)という成績も残したことがある、得意の全英女子での巻き返しが見込まれる。今季は、米ツアーで平均パット数が2位。パッティングが重要視されるリンクスでは、その強みが一層生かされそうだ。

「パットの調子は悪くないです。今週は、ロングパットをする機会も多くなると思いますが、コースにしっかり対応していきたい」

 また、米ツアーメンバーとして、初めて全英女子に挑む横峯は、「もともと全英は苦手」と話すものの、「持ち味とする、グリーンを外してもパーを拾うゴルフでがんばりたい」と、上位進出へのモチベーションは高い。

「このコースには、いいところにバンカーがある(笑)。ティーショットをフェアウェーにしっかり打っていかないと、スコアにならない。また、今週は自分でいろいろと考えてやっていくことをテーマにしたい。今までは主人(メンタルトレーナーの森川陽太郎氏)に頼り過ぎていたところもあるから、(今大会では)これまでに自分で積み重ねてきたことを、しっかりやっていきたいと思います」

 近年は、女子ツアーも飛距離の出る"パワーヒッター"が有利な時代にある。しかし、強風が吹き、運・不運があるリンクスコースでは、飛距離だけで栄冠はモノにできない。全米女子に続いて、多くの日本勢が優勝争いを演じる可能性は十分にある。

武川玲子●文 text by Takekawa Reiko