マンモグラフィーは有効か意味が無いか? shutterstock.com

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 マンモグラフィーによる定期的な乳がんスクリーニングが「過剰診断」の原因となり、一部の女性が不必要な治療を受けている可能性のあることが、米ハーバード大学およびダートマス大学による研究で示され、「JAMA Internal Medicine」7月6日号に掲載された。

 この知見に対し、米国がん協会(ACS)のRichard Wender氏は、マンモグラフィーの必要性に疑問を抱く女性が増えることに懸念を示している。同氏によると、これまでの研究ではマンモグラフィーによって40歳以上の女性の乳がんによる死亡率が少なくとも20%低減することが明らかにされており、その効果については議論の余地はないという。

 一方、米ダナ・ファーバーがん研究所(ボストン)のHarold Burstein氏は、あらゆる女性が毎年マンモグラフィーを受ける必要があると反射的に決めつける前に、マンモグラフィーによってできることとできないことについて、議論を続ける余地があると指摘する。

 米ワシントン大学(シアトル)のJoann Elmore氏は、今回の知見から、危険な乳がんと即時に治療する必要のない乳腺腫瘍をさらに正確に区別するための研究の必要性が浮き彫りにされたと述べている。

マンモを受けても受けなくても死亡率は変わらない!?

 今回の研究では、米国立がん研究所(NCI)が管理するSEERがん登録簿を用いて、547郡に居住する40歳以上の女性1,600万人の医療データを調べた。このうち2000年に乳がんと診断された5万3,207人を10年間追跡し、各郡のマンモグラフィー実施率と、2000年時点での乳がん発症率および追跡期間中の乳がんによる死亡率を比較した。

 その結果、スクリーニングの実施率が10%増加すると、乳がんの診断数が全体で16%増加し、2 cm以下の小さな腫瘍の診断数は25%増加した。しかし、乳がんで死亡する女性の数には有意な低減は認められなかった。

 この研究では、最近2年以内にマンモグラフィーを受けた女性だけに着目し、3〜4年おきに受けている人や全く受けていない人を対象にしていないため、それが結果に影響をもたらした可能性があるとBurstein氏は指摘する。また、追跡期間の長さも十分とはいえず、小さな腫瘍については15〜20年経過しないと死亡率への影響が表れないこともあるとWender氏はいう。また、この研究は大規模なデータセットに基づくものであり、個々の患者に関する情報はあまり得られないと、Burstein氏は述べている。
 日本でもマンモグラフィーに関する不要論や効果を疑問視する声がある。米国でも乳がん検診のマンモグラフィー検査が実際どの程度優れているのかは長年の論争であった。しかし、米国癌協会(ACS)は2013年12月11日、「乳癌死亡率に対するマンモグラフィー検診の効果をめぐる論争の大部分は作り物」との見解をBreast Cancer Managementに掲載した。

 この見解では、乳がん検診に関する研究・論文が対象とする女性の数、調査期間、対象年齢の違いなどについて検討している。検診のリスクの一つである過剰診断についても言及している。それによると。乳がんは長い時間をかけて発症するという傾向があることや早期に乳がんと診断され治療が可能になっている症例があることなどから、過剰診断といえる症例の割合は比較的低く10%以下であるとしている。
 
 果たしてこの10%は低い数字なのか高い数字なのか?全体で10%であると言われてもその個人にはゼロか100%だ。医学的な確率には常にこの現実が付きまとう。
(文=編集部)