「連続テレビ小説 まれ Part2 」NHK出版 

写真拡大

朝ドラ「まれ」((NHK 月〜土 朝8時〜)7月28日(火)放送。第18週「親心ロールケーキ」第104話より。脚本:篠崎絵里子(崎の大は立) 演出:村橋直樹

希(土屋太鳳)はいろいろなひとから大悟(小日向文世)の隠された愛情を聞かされます。希がもう一度つくったロールケーキも「不味い」と言う大悟(小日向文世)でしたが、最終的には自分の大事なナイフを与え、「これでいつか世界一のケーキをつくれ、おれが食いに行ってやる」という言葉をはなむけにします。

世界はひとつだよ


大悟が厨房の作業台の下に隠れたり、ナイフを突きつけ希をギョッとさせたりするアクションについて触れる気も起りません(とか言いつつ書いてますが)。
それはともかく、横浜編が終わるので、いろんなひとが代わる代わる出て来て、希に名言を語りかけます。
久々に陶子(柊子)がやってきて「辞めないでしょうね、パティシエ。」
天中殺の料理長・珍さん(孫成順)は、
「世界はひとつだよ。」
「わたしと(日本と中国、離れて暮らしている)家族の愛情比べたら地球のほうが小さいよ。だから離れても大丈夫。」
輪子(りょう)は、
「(占おうと思ったがやめた理由に)あなたはきっと自分でどんどん変えてくひとだから」
大輔(柳楽優弥)
「怒ってるんじゃなくて泣きたいんだよあのひと(大悟のこと)は。」

陶子のセリフは、いろいろごたく並べず、辞めるな! って気持ちだけ伝わってきて、潔い。
珍さんは、いいセリフなんだけど、家族といっしょに生きてゆく決意をした希には微妙。いやまあ、家族だけじゃないすべての人間関係について言っいてるのでしょうけれどね。

今日の名言は「芯なきロールケーキはごみだ!」(大悟)
ドラマにも人生にも芯が大事。
希ちゃんの人生はまだまだ芯をつくっている途上で、再び能登に戻ったところからいよいよ芯ができていくのでしょう。

よき師匠・大悟をこんなにも残念がらせ、さっさと修業をお休みして能登に帰る罪な女・希ちゃんですけど、こういうことは世の中にたくさんあると思います。

あえてそう描いているんでしょう


このドラマの製菓指導をしている辻口博啓(辻のてんはひとつ)は、東京に出て来て洋菓子店で修業をはじめたものの、3、4ヶ月したころ、石川県の実家が営む和菓子屋が倒産しそうになったため修業先を辞めて実家に戻り、でもこのままではダメだと思い直し、また東京に戻ったそうです。それに比べたら希の3年は長いほう。
辻口のお父さんが借金の保証人になって、それが元でお店をひとでに渡すことになったという体験は、徹(大泉洋)が友人の保証人になったエピソードとかぶります。
実家に一回戻ったけどすぐまた東京へという体験は一子(清水富美加)のようでもあり・・・。
数多く出版されている辻口の著作から「パティシエ世界一」という本を読みましたら、上記のようなことが盛り込まれていました。
彼もなかなかの自由人ですが、芯の強さ、太さはすごく感じます。けっこう熱くて、生き抜くためにどん欲。生き方にスイーツ感がまったくありません。
希ちゃんにはそういうのが足りないけれど、あえてそう描いているんでしょうから、その狙いが花開くことを本当に祈っています。
(木俣冬)

エキレビ!にて月〜土まで好評連載中! 木俣冬の日刊「まれ」ビュー全話分はこちらから

いまひとつ視聴率が伸びないが、奮闘は讃えたい。NHK朝ドラ「まれ」おさらい(54話までを総括))