前回大会では柿谷、原口らの活躍で優勝を飾った日本。今大会はどんな選手が台頭してくるだろうか。(C) Getty Images

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 8月1日から中国・武漢で開幕する東アジアカップ。大会に向けて韓国代表も7月27日に招集され、坡州(パジュ)NFC(ナショナルフットボールセンター)で強化合宿をスタートさせた。韓国国内の各メディアもこぞって東アジアカップの話題を取り上げ、次のような見出しで報じている。
「シュティーリケ号、7年ぶりの優勝目指して始動」(通信社『聯合ニュース』)
「東アジアカップ、サッカー“四国志”がやって来る」(一般紙『中央日報』)

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 強化合宿初日を迎えた選手たちの口からも威勢のいい言葉が飛び出している。Jリーグの長崎に所属するイ・ヨンジェが「ほかの試合も勝つことが重要だが、日本でプレーしているので日本戦は必ず出場したいし、必ず勝つ」と語れば、今回がA代表初招集となるFWキム・スンデは「日本はパスが精密。日本の試合映像を勉強したあと、自分の長所を発揮できるよう努力する」とコメント。
 
 GKのキム・スンギュは「日本の宇佐美をACLで見たが、競争力がある」とし、イ・ジェソンは「優勝のためには日本戦が最も重要な試合」としたほど。
 
 今大会で韓国代表最年長となるFWキム・シヌクに至っては、日本代表を率いるヴァイッド・ハリルホジッチ監督についても言及。
「1年前のブラジル・ワールドカップのアルジェリアは、モチベーションと競技力を備えた良いチームだったが、日本がアルジェリアほどの個人能力を備えているとは見ていない。個人的には、過去に出場した日本戦は交代出場で何もできなかった。今大会では かならず勝ちたい」
 こう語り、意欲を示した。
 選手たちの意欲満々のコメントもあって、メディアも
「シュティーリケ号、韓日戦勝利に自信」(ネットニュース『エクスポーツ』)
「東アジアカップで“打倒日本”を叫ぶ」(一般紙『世界日報』)
と、日本とのライバル対決を盛り上げている。
 
 ただ、見出しや記事だけを見れば、まさに「優勝必至、不退転の覚悟で日本戦に挑む」ような気配にも映るが、実情は決してそうでもないらしい。語るのはサッカー専門誌『Four Four Two KOREA』のユン・ジンマン記者だ。
 
「日本戦となると盛り上がる国民感情を刺激して関心を集めようと刺激的な記事が増えているだけであって、今大会の優勝が至上命題になっているわけではありません。シュティーリケ監督は結果よりも経験の場として今大会を位置づけているようですし、実は我々メディアもそう見ている。選手たちの顔ぶれもフレッシュで、代表に選ばれたことにぎこちなさを感じているように映るくらいですから」
 
 主力の欧州組を招集せず、KリーグやJリーグ、中国リーグでプレーする選手で構成された今大会の韓国代表の平均年齢は24.3歳。1990年生まれ以降の選手が大量に抜擢され、Aマッチ未経験者は7名にもなる。
 
 代表経験が最も多いのはAマッチ36試合出場のキム・ヨングォン(広州恒大)で、Aマッチ出場10回にもならない選手は17名にも及ぶ。若くて経験の少ない選手ばかりなのだ。
 
 ユン・ジンマン記者は言う。
「2年前の東アジアカップも国内の若手中心でしたが、こんなにも若くて経験の浅い選手で構成された代表は初めて。Kリーグを熱心に視察しているシュティーリケ監督の目に適った彼らが、ワールドカップ予選に向けた新戦力になれるか、否か。実はそこに我々メディアも注目しているし、シュティーリケ監督も期待している。監督は“3試合でほとんどの選手を起用する”と公言しているくらいですから」
 もっとも、若い国内組中心のチーム構成なのはハリルホジッチ監督率いる日本代表も同じこと。その日本代表を韓国はどう見ているのだろうか。ユン・ジンマン記者は言う。
 
「日本も国内組中心の選手構成ですが、山口、柴崎、槙野、森重など我々韓国メディアも知っている選手たちが多い。さらにACLで強烈な印象を与えた宇佐美もメンバーに入った。同じ国内組でも日本は韓国以上に人材資源が豊富な印象です。
 
 シュティーリケ監督もハッキリとは口に出していませんが、『日本の豊富な(人材)資源が羨ましい』といったニュアンスのことを言っていました。ただ、韓国の好材料といえば、昨年のアジア大会優勝メンバーが多いこと。彼らは準々決勝で日本にも勝っている。今回の韓日戦はさしずめ、互いに試されている選手たちによる“模擬テスト”の性格が強い試合になるのではないでしょうか」
 
 韓国の一部メディアでは、「KリーグとJリーグの代理戦」(ケーブルテレビ局『JTBC』)とも言われている東アジアカップの日韓戦。どんな結果になろうとも、韓国メディアが刺激的な論調で報じることは間違いなさそうだ。
 
取材・文:慎 武宏(スポーツライター)