昨夏プロテストに合格し、今季開幕から「大型新人」として注目を集めてきた堀琴音(19歳)。シーズンを半分終えて、プロ初勝利への足がかりをようやくつかみつつあるようだ。

 堀と言えば、まだアマチュアだった昨季前半戦の活躍が記憶に新しい。KKT杯バンテリンレディス(2014年4月18日〜20日/熊本県)を制した勝みなみ(17歳)をはじめ、ツアーで"アマチュア旋風"が吹き荒れる中、堀もそのひとりとして躍動。サイバーエージェントレディス(2014年5月2日〜4日/千葉県)で4位タイという結果を残すと、中京テレビ・ブリヂストンレディス(2014年5月23日〜25日/愛知県)、リゾートトラストレディス(2014年5月30日〜6月1日/兵庫県)でベスト10フィニッシュ(ともに8位タイ)するなど、何度となく上位争いに絡んできた。

 他にも、下部ツアーとなるステップ・アップ・ツアーのABCレディース(2014年7月2日〜3日/兵庫県)では、レギュラーツアー入りを目指すプロたちを抑えて優勝。将来を嘱望される存在として、大いに脚光を浴びた。

 プロテストに合格したあとも、ステップ・アップ・ツアーの京都レディース(2014年10月22日〜23日/京都府)で優勝。2015年シーズンのツアー出場をかけたファイナルQT(※)こそ45位と期待以上の結果は残せなかったものの、レギュラーツアーの大半は出場できる成績を残して、ツアー本格参戦となる今季に向けても熱い視線が注がれた。ツアー2勝の堀奈津佳(23歳)が姉ということもあって、その注目度は増すばかりだった。
※クォリファイングトーナメント。ファースト、セカンド、サード、ファイナルという順に行なわれる、ツアーの出場資格を得るためのトーナメント。ファイナルQTで40位前後の成績を収めれば、翌年ツアーの大半は出場できる。

 しかし、プロツアーは決して甘くはなかった。今季開幕直後の堀は、"プロの世界"という独特の雰囲気にのまれたのか、3試合連続で予選落ちを喫した。その後も、予選突破を果たしても、上位争いに顔を出すことはなかった。通算スコアがアンダーパーに届かない試合も多く、"プロの壁"に当たって、苦しんでいるように感じられた。

 そんな堀が、復調の兆しを見せたのは、およそ10試合を消化したあとだった。5月の中京テレビ・ブリヂストンレディス(5月22日〜24日/愛知県)で通算7アンダー、5位タイでフィニッシュ。それをきっかけにして、以降のトーナメントでは通算でオーバーパーを打つことがなくなった。6月のサントリーレディス(6月11日〜14日/兵庫県)でも7位タイと上位に名を連ね、後半戦ではいよいよ「大型新人」が爆発か、と期待された。

 そして実際、後半戦がスタートすると、堀は前半戦とは明らかに違う"勢い"を見せた。後半戦初戦のサマンサタバサレディース(7月17日〜19日/茨城県)では、最終的には21位タイに終わったものの、2日目終了時点では3位タイと優勝争いに加わった。続くセンチュリー21レディス(7月24日〜26日/静岡県)でも、初日はイーブンパー、53位タイと出遅れるも、最終的には通算4アンダー、25位タイと巻き返した。

 調子を上げてきた堀を直撃すると、当の本人は、中京テレビ・ブリヂストンレディス以降、オーバーパーを叩いていないことは気づいていなかった。

「えッ!? そうなんですか? 自分ではまったく意識していなかったので、その事実は知りませんでした。リゾートトラストレディス(5月29日〜31日/山梨県)では予選落ちしましたけど、それもイーブンパーでした。言われてみれば、確かに全体的なスコアのまとめ方はよくなってきていると思います」

 序盤戦とは一転して、成績が安定してきた堀。大きな要因は、パットにある。序盤戦の不振の原因も、すべてはパットにあったという。

「今年は、最初からショットは悪くないんです。結局、前半戦で結果がついてこなかったのは、パターがほとんど入らなかったからなんです。パッティングだけ、どうにかしたいという思いで、ここまでやってきました」

 そうして、ずっと悩んできたパッティングが徐々に上向き始めたのは、フジサンケイレディス(4月24日〜26日/静岡県)のときに、パターを変えてからだった。

「あまりにもパターが入らないので、ピン型からマレット型に変えたんです。それから、例えば10mくらいのロングパットでも、以前は3mくらいオーバーすることが多かったんですが、今ではそれがなくなって、それなりに距離感が合うようになってきました。あと、引っ掛けて押し出すこともなくなりました。前半戦は、1〜1.5mのパットを外すことも多かったんですけど、それもなくなって、(パッティングは)だいぶよくなってきました」

 パッティングが安定し始めて、成績が安定してきた堀。パーオン率は70.1923%で全体の5位(7月27日現在。以下同)と、もともとショットの精度は高いだけに、いまだ全体の58位という平均パット数(1.8508)の数字がさらによくなれば、上位争いはもちろん、ツアー優勝の現実味も増してくることだろう。

 また、3日間、4日間のトータルスコアがアンダーパーで回れるようになったのは、パッティングの向上だけでなく、ツアーに慣れてきた、という精神的なプラス要素もあるに違いない。出場試合が限られているアマチュアと違って、プロは毎週トーナメントがある。日曜日に試合が終われば、すぐに次の会場に移動して、練習ラウンドをこなして週末からの試合に挑む。その繰り返しである。

 慣れない環境で、そのルーティーンに適応していくことは、特にツアー1年目の選手が最も苦労する部分である。堀にしても、それは変わらなかったはずだ。

「開幕から1カ月くらいの頃に比べたら、ツアーの雰囲気にも慣れてきました。(プロでやっていく)自信もついてきました。今では、コースの"ロケーション負け"もしなくなって、思い切ってプレイできています。連戦続きで疲れたときは、体調を考えて、しっかり休むようにしています。休むときは、本当に何もしないんです(笑)。自分の部屋でゆっくりして、次の試合に備えるようにしています」

 そう言いながらも、これからは、「出られる試合はすべて出場します。休むことは一切考えていません」という堀。ツアーにも慣れた今、新人でもあり、19歳という若手でもある自分が、休んでなどいられないということだろう。

 そして、後半戦に向けての抱負を聞くと、堀は少し考えてからこう語った。

「やっぱり、早く優勝したいです」

 堀が続ける。

「優勝したら、来季のツアーにもすべて出られるようになるので......。でも、優勝するまでには、もう少し力がないといけない。私、最後の詰めが甘いんです。技術においても、気持ちにおいても......。これからは、もっと強い気持ちを持って、初優勝を狙っていきたい」

 近年、若手の躍進が目覚しい女子ツアー。堀も、その波に乗って、10代でのツアー初優勝を目論む。プロとして地に足がついてきた今なら、そのチャンスをつかんでもおかしくない。

text by Kim Myung-Wook