このような考え方から、想像以上の人気になっている「Rady」については、依然として前年比150%で売上拡大が続いていますが、これ以上に規模の拡大を追うことを止めました。意識的に出荷数量を抑えています。
 
 一方で、身長150cm台の小さな女性を対象にした「michell Macaron(ミシェル マカロン)」は売上が前年比200%で拡大しています。また、ファッション小物雑貨の「HOTEL LOVERS(ホテル ラバーズ)」の売上は前年比300%になっています。この春に後藤真希さんを起用したカラーコンタクトを売り出したのも「HOTEL LOVERS」からで、タレントさんも積極的に起用してブランド認知の拡大を図っているところです。
 
――SMbrandは、創業から8年で売上高100億円を突破し、「Rady」をはじめ、「michell Macaron」、「HOTEL LOVERS」など新しいブランドも次々にヒットして、まさに急成長を遂げています。今後の展望は?
 
 私は19歳の時に沖縄から上京し、23歳で何の縁故も、また、経験もない中、ゼロから起業しました。アパレルブランドを興す時に、いくつかのアパレルメーカーの話を聞きましたが、どの話を聞いてもピンと来るものがありませんでした。もっと、自分たちの感覚に合った、自分たちが楽しめ、はまってしまうようなファッションブランドを作りたい――そうした思いだけで、その都度、できることを精一杯にやって、全速力で走り続けてきました。
 
 「SMbrand」という会社には、いい意味で「芯」がありません。こうあるべきとか、こうでなければならないという制限がないのです。 「安定」するのが一番ダメだと思い、常に時代に合わせて変化し続けることが大事だと思ってやってきました。
 
 その結果、主力ブランドの「Rady」は10代後半から30代までの女性に圧倒的に支持されるブランドになりました。ちょうど私たちと同世代の人たちに支持していただいているのは、私たち自身が楽しめ、夢中になれることをカタチにして提供してきたからだと思います。
 
 「Rady」は、今年の冬に海外に出ます。すでに香港への進出が決まっています。ここ最近、日本のファッションが海外で成功したという事例を知りませんし、「Rady」も受け入れられるかどうかわからないのですが、「日本の人気ファッションブランド」として海外から認められ、少しでも日本の価値を上げられると嬉しいです。当面は香港に集中しますが、そこで成功すれば、アジアへ、そして、世界へと羽ばたくことができます。

 今、ASIAに進出し当てようとしているブランドが多い中、日本で一番勢いがある私たちが海外へチャレンジしないのは失礼かと思い決断いたしました。香港進出を機に、これまでの成長を一段とスケールアップしたいと思っています。(編集担当:風間浩)