2人でつかんだ今季初優勝、抱き合って喜んだ(撮影:ALBA)

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<センチュリー21レディスゴルフトーナメント 最終日◇26日◇伊豆大仁カントリークラブ(6,531ヤード・パー72)>
 今年で2回目の開催となった国内女子ツアー「センチュリー21レディス」。その第2回目のチャンピオンに輝いたのは“ミセス”アン・ソンジュ(韓国)だった。

 結婚後初優勝は決して楽なものではなかった。この日2位に3打差をつけてスタートしたものの前半は2番でのバーディ1つのみ。ボギーは無かったものの、優勝争いの緊張の中で伸ばせずに停滞。折り返してからも次のバーディが奪えず我慢のゴルフとなった。そんなアンを尻目に回りは着々と伸ばしていきた同組のぺ・ヒキョン(韓国)に、14番で並ばれてしまう。
 だが、アンは慌てなかった。15番を共にパーとして迎えた16番パー5。「ここはチャンスだし獲れると信じた。残り3ホール、1つもミスしないように行こう」とギアチェンジ。言葉通り、2打でグリーン横ラフまで持っていきアプローチをしっかり寄せてバーディ。もう一度頭1つ抜け出すと、残り2ホールをパーでまとめてツアー19勝目をもぎ取った。
 最後のパットを決めたとき、これまでのような手を掲げるようなガッツポーズは出なかった。タップインして静かに左の拳を握り笑顔を浮かべただけ。「パーパットを打つ前に今までの怪我したことや苦しかったことが頭に浮かんできて…打つ前に手は震えて、すでに泣きそうになっていました」。優勝を決めたアンを、キャディが抱きしめると張り詰めていたものが解け、一気に感情があふれ出た。
 今大会のキャディはコーチであり夫でもあるキム・ソンホさんが担当。過去韓国の試合や昨年の日韓対抗戦で務めたことはあるが、国内ツアーでは先週から担ぎ、これで2戦目。国内ツアーで担ぐことはソンホさん自身からの申し出だったという。オープンウィークに男子ツアーの「セガサミーカップ」を見た後食事しているときだった。
 「“あなたはゴルフが下手だから僕がキャディとして横で助けてあげたい”と。私はそのとき“あなたよりは下手じゃないから大丈夫です(笑)”と答えました。だけど本当は“助けてあげたい”という気持ちがとても嬉しくって。それにゴルフ面で考えても、2週間空いて試合感覚を取り戻すまでの間、一番近い場所でスイングを見てもらえるのは心強いなと思い決めました」。
 ソンホさんの体力を考慮し2週間限定で「サマンサタバサレディス」からスタートした新コンビ。初日から番手選びで揉めたり、暑さからソンホさんがイライラしたりとプレー以外の面で悩まされたことも今じゃ笑い話。ソンホさんが初となる最終日最終組で緊張し「もし私が緊張してたら面白い話でもしてねって言ったのに、彼は私以上に話さなかった。それで余計に緊張してしまった」と最後まで夫婦漫才のようなやり取りもお互いを理解しているからこそ。最後まで2人で手を取り合って今季初勝利を掴んだ。
 昨年の大晦日に結婚してから今シーズンはここまで未勝利。それだけに嫌なことも聞こえてきた。「“結婚してからゴルフが悪くなったんじゃない”という声は耳に入っていました。私も辛かったけど、旦那は余計に辛かったと思います」。それだけに二人三脚で手にした今日の勝利は今までとはまた違う価値がある。「旦那がキャディを務めてつかんだ優勝。とても意味があると思います」。周囲の雑音を“愛の力”でかき消し、とびっきりの笑顔で会場を後にした。
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