美女が思わず一緒に温泉へ行きたくなるモテ車を解説する「週刊ポスト」連載の「死ぬまで カーマニア宣言!」。これまでにクルマを40台買ってきたフリーライター・清水草一氏(53)が、ガイシャなどいつものモテ車とはちょっと違う、「偉大なる平凡」カローラについて解説する。

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 ご同輩諸君。今回はうって変わってトヨタ・カローラだ。なぜなら当連載の読者様より、こんなお便りをいただいたのである。

「私は30年来カローラを乗り継いでいて、現在のクルマで4台目です。次もカローラを買おうと思っていますが、実際のところ、美女の評価はどうなのでしょう」(栃木県・60代男性)

 カローラと言えば、かつてはベストセラーカーの代名詞。2002年にホンダ・フィットに敗れるまで、33年間販売台数日本一の座を守り続けた。

 ところが、2012年に登場した現在の11代目カローラは、当初ハイブリッドモデルがなかったことから、ランキング8位(軽を除く)に転落。翌年ハイブリッドを追加したことで盛り返し、昨年は第4位に返り咲くも、トップはここ数年トヨタのアクアやプリウスに占められ、落ち目の印象はぬぐえない。

 が、海外に目を転じると、いまだカローラは世界一の座に君臨していた! たとえばアメリカでは第5位あたりで、他の国でも比較的まんべんなく上位にランクイン。トータルでは販売世界一に輝いている。なかでも東南アジアでは、カローラは憧れの的! あちらでは美女も入れ食いだとか……。いずれにせよ、世界一売れるクルマが悪いクルマのはずはなかろう。

 だが、実際に今のカローラに乗ってみると、愕然とする。かなりイマイチなのである。

 これはあくまでカーマニアの視点だが、ボディの作りやハンドリング、乗り心地など、どれをとっても平均点に届かない。かつて「偉大なる平凡」と言われたカローラだが、これでは平凡未満ではないか……。

 なぜ世界一売れるクルマが平凡未満なのか。実は日本で売られているカローラは国内専用車で、ベースはコンパクトカーのヴィッツなのだった。

 アメリカではもっとサイズが大きくて立派なカローラが売られているし、ヨーロッパやアジア向けもそれぞれ専用開発で、日本のとはまるで別物。国内では大きなカローラはイカンということで、特別にヴィッツをベースに開発し、5ナンバー枠に収めている。

 ヴィッツがベースだからダメというわけではないが、とにかく車体のデキはイマイチだ。

 一方パワーユニットは、販売の6割を占めるハイブリッドモデルでアクアと共通だが、アクアより車重がある分加速はやや鈍く、燃費も若干劣る。

 ルックスはどうか。今年3月にマイナーチェンジを受けて顔つきがアグレッシブになったが、全体のフォルムはそのままなので、特にセダンの「カローラ アクシオ」の場合、やはり平凡未満と言わざるを得ない。

■清水草一:編集者を経て、フリーライターに。「自動車を明るく楽しく論じる」がモットーの53歳。現在、フェラーリ・458イタリア、BMW・335iカブリオレ、トヨタ・アクアを所有。日本文藝家協会会員。

※週刊ポスト2015年7月31日号