「グルタミン酸」は脳神経伝達物質で、脳神経の活動を豊かにするとも言われている。
 1960年代、食料品の乏しい生活の中で、「まずいものが美味しく食べられ、頭まで良くしてくれる優れもの」として、日本中の人がグルタミン酸ナトリウムを大量に摂取した時代があった。
 こうしたブームの時には何も起こらなかったが、その数年後、グルタミン酸ナトリウムを空腹時に多量に摂取すると、灼熱感や顔圧迫感、胸痛、頭痛などの症状が起こることなどが学会で報告され、後に「中華料理店症候群(CRS)」と命名された。
 その流れの中でグルタミン酸は次第に消え、様々な公害事件などの報告と相まって“怖い化学物質”の調味料と位置付けられてしまい、今日に至っている。

 医療ジャーナリストの若木均一氏が言う。
 「食品による健康被害は大きく分けて3種類あります。毎年最も多い食中毒は、糞便系大腸菌群(加熱後摂取冷凍食品、乾燥食肉製品、生食用かきなど)が増殖している食品で、食中毒菌によるもの。二つ目は、マイコトキシンが入っている食品で、カビが生産する毒素で、発がん性、肝障害、腎障害などの原因となる物質。三つ目はフグ、キノコ、貝など毒性のある物質が入っている食品によるものです」

 若木氏によると、保存料無添加の食品は、添加された食品に比べると菌の増殖が早い。
 また、これからの時期は商品の輸送や陳列など温度変化が激しい環境にさらされるため、鮮度が保てずリスクが高まるという。
 「スーパーなどは『無添加』食品の期限前の廃棄量が増えており、経済的にも非効率です。また人工保存料の『ソルビン酸』などは体に良くないイメージがありますが、研究によって添加物でありながら栄養素と一緒に分解され、食塩より危険性が少ないことが分かっているのです」(食品衛生の専門家)

 こうしたことから、実は健康オタクの方が添加物を摂っている傾向が強いといわれる。
 また、添加物は意外にも「トクホ」(特定保健用食品)の素材としても非常に重宝されている。例えば「増粘多糖類」には、血糖値やコレストロール値を下げる働きがある。

 もう一つ加えておこう。塩分を必要とする食品は無添加によって味が薄くなってしまうため、うま味を出すために大量の昆布、かつおだしなどを使用しなければならない。だが、簡単にごまかせるのが塩。このことはしっかりと認識する必要がある。
 「街中のレストランなどのメニューで無添加を謳うところがありますが、大量の塩分で味を調整する店が少なくないのです。がん予防で減塩が提唱される世の中で、やみくもに無添加にこだわることが逆に健康を損ねている可能性もあるということ。現実に、高血圧、予備軍を含む糖尿病、メタボ、慢性腎炎などの人は、約6000万人を超えています。安全な食を作るためには、添加物も必須なのです」(同)

 知ってほしいことは無添加表示の食品だからといって、必ずしも安心・安全とは限らない。結局は、何をどの程度食べるかが大切ということだ。