まずは、そもそも日本食品添加物協会などが言う「優良誤認」とはどういうことなのか。ある医療関係者が説明する。
 「『無添加』と表示された商品が特に他の商品と差がないのに、さも優良であるかのように表現される。それを指しているわけですが、我々に言わせると、無添加は『優良誤認』どころか、本来、消費者が添加によって得られるはずの利益を失わせ、さらに言えば大きな不利益をもたらしているのです。化学調味料が使われているかどうかに限らず、定着しつつある“無添加思想”は、少なからず誤解をもたらしていることは明らかです」

 添加物に関しては、'95年の食品衛生法改正で、安全性はリスク管理の観点から確保されたと考えられている。
 例えば、厚生労働省が安全試験を義務付けている指定添加物に関しては、これまで使用禁止になった例はない。
 「過去には水俣病やイタイイタイ病などの公害病による食中毒や、添加物『チクロ』『バターイエロー』と次々に発がん性が指摘され消えていきました。ですから私も添加物=危険な化学物質というトラウマがあります。昭和世代の消費者は猛烈な添加物排斥運動を行っていた。そのため慌てて、食品産業が食品の『無添加』表示にシフトした経緯があるのです」(同)
 このように日本では、添加物排斥の時代から、それに代わるような無添加思想が生まれ始め、国民に及ぼす健康への弊害について論じられてきた。

 2年ほど前、女子栄養大学で第62回日本栄養・食糧学会における「うま味の基礎研究から高齢者のQOL改善への利用」というシンポジウムがあった。内容は、いわゆる化学調味料といわれ、食の安全を考える上で一部の否定論もある「うま味調味料」に対する多角的な議論の場なのだが、参加者の一人は「病院から出される病院食で、栄養価の摂食量の低下が原因で栄養状態が悪化している高齢患者が見つかっている」と報告している。
 その治療対象者への病院食は、一般的に使われるだしの素、漬物、かまぼこなどに含まれるうま味成分の「グルタミン酸」濃度が通常の半分程度だったという。不足の原因の一つとして、病院が出す食事は「化学調味料はいけない」といった考え方があった。

 入院患者によっては病院食に対し“まずくて食欲がわかない。ついつい残してしまう”といった不満を持っているのも事実なのだ。
 「これも実証されていますが、栄養不足と言われる高齢の患者に不足したうま味と栄養価を高めるグルタミン酸を食事に添加する形で投与したところ、1カ月後、血液検査及びビデオ画像観察による検査結果で改善が見られた。加えて血液中のリンパ球の増加、血清亜鉛の上昇も認められ、ほかにも認知スコア、食行動、意欲の表現、言葉による意思疎通の向上も認められ、症状が改善しました。もし、健康食品会社などがこの効能を体験談として宣伝広告にすれば、爆発的な売れ行きを示す結果になりますよ(笑)」(ある専門医)