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アメリカの連邦最高裁判所で6月下旬に「同性婚」を認める判決が出たことをきっかけに、「一夫多妻も合法のはず」と主張する家族が現れて、話題になっている。

AP通信によると、米モンタナ州に住む男性、ネイサン・コリアーさん(46)がこのほど「2人目の妻」との婚姻届を裁判所に提出した。彼は2000年に1人目の妻ビクトリアさん(40)と結婚し、2007年には、2人目のクリスティーンさんと宗教上の式をあげたという。しかし、アメリカでは重婚が認められていないため、クリスティーンさんと正式な婚姻関係がない状態だ。

連邦最高裁で同性婚を合憲とする判決が出た際、ロバーツ最高裁長官が「同性婚を認めると、一夫多妻も同じ議論になる」と反対意見を述べたことから、コリアーさんは一夫多妻も「結婚の平等」にあたると思いついたのだという。コリアーさんが婚姻届を出した裁判所はいったんは受理を拒否。コリアーさんは、場合によっては訴訟を起こす構えもみせているようだ。

もし日本で、コリアーさんと同じように「一夫多妻」や「一妻多夫」の重婚の婚姻届を提出したらどうなるのだろう。また、「重婚を認めないのは憲法違反だ」という主張は認められるだろうか。田中真由美弁護士に聞いた。

●重婚は憲法の定める「両性の平等」に反する

「重婚とは、婚姻届出のある者が重ねて婚姻届を出す場合を言います。民法では『配偶者のあるものは重ねて婚姻をすることができない(民法732条)』と定めて、重婚を禁止しています。一般に、重婚したいと考えて窓口に婚姻届けを出したとしても、戸籍事務担当者による審査の段階で阻止されます」

では、実際に重婚の状態になる人は存在しないということだろうか。

「離婚後、別の人と再婚したものの、先の離婚が無効であった場合など限られた場合に可能性はあります。重婚は、後婚の取消原因となり(民法744条)、前婚については離婚原因となります(民法770条1項1号5号)」

では、今回のコリアーさんのように、「重婚を認めないのは憲法違反だ」という主張は日本でも可能だろうか。

「憲法は24条において、家族生活における平等を定めています。婚姻については、『法律は個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない』と規定しています。

一夫一妻も、一妻多夫も、夫婦互いに平等だといえるでしょうか。

たとえば、我が国の歴史上、奈良時代から江戸時代にかけての貴族階級は一夫多妻で正室と側室がいました。これは男系男子を維持したいという『男性優位』の社会で認められたものです。両性の平等には反しています。

今後、社会の常識が変われば状況も変わるかもしれませんが、両性の平等に反する重婚は現状では認められないと考えます」

田中弁護士はこのように話していた。

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
田中 真由美(たなか・まゆみ)弁護士
あおば法律事務所共同代表弁護士。熊本県弁護士会所属。「親しみやすい町医者のような弁護士でありたい」がモットー。平成26年度熊本県弁護士会副会長。得意分野は離婚、家事全般、債務、刑事事件、少年事件。
事務所名:あおば法律事務所
事務所URL:http://www.aoba-kumamoto.jp/