撮影:源賀津己

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『HERO』のオリジナルメンバーである八嶋智人と、シーズン2からの吉田羊。

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共に舞台出身であり、またこのシリーズでお茶の間での認知がブレイクしたふたりでもある。

だが、遠藤賢司事務官と馬場礼子検事は劇中でもコンビを組むことはほとんどない。貴重な2ショットから見えてくる、『HERO』の世界。

──このおふたりは新鮮な顔合わせかなと思いまして。 

吉田 ふたりだけで対談というのはないですよね? 

八嶋 僕はもう光栄ですよ、そりゃ。だって羊ちゃん、美人じゃないですか? いま、吉田

羊、(業界では)取り合いですよ! 

吉田 悪意がある!(笑) 

八嶋 ないっつーの(笑)。その魅力を“あますところ”出してるのが『HERO』かなぁと。 

吉田 “あますところなく”! 

八嶋 さすが! 頭もいい!(笑) 

──吉田さんはこの組み合わせはどうですか?

吉田 ものすごい新鮮ですね。このふたりがコンビを組むなんてことはドラマの中では一回経験して、もう今後はないなと思ったので。 

八嶋 なんで? なんでよ! 

羊ちゃんはパスの返しがものすごく速い

吉田 主張が強いから、(検事と事務官のコンビとして)取り調べになんないだもん。私(馬場礼子検事)が言ったことに対して、遠藤(賢司事務官)さんが「それはさぁ」って返して、どんどん引っ掻き回していくの。どんどんアドリブ増えていってね。 

八嶋 取り調べのシーンじゃないよ。ふたりの部屋の中でのシーンだよ(笑)。でもやっぱり、羊ちゃんはお芝居がやりやすいです。何かこっちが投げたりしても必ず返してくれるし。

『HERO』って、全体的なグルーヴがものすごい大事だから。サッカーみたいなパスをたくさんノントラップで出して行きたいっていうのが好みだとして、途切れなく行きたいというときに、女優さんの場合、という言い方は失礼かもしれないけど、一度球を止めて自分で持つっていうこともあると思うんですね。

吉田 あぁ、持ち続けてしまう。 

八嶋 一回ちゃんと(ボールを持ち)直してからパスを出さないと不安だっていう方が多いと思うんです。そういう意味では、羊ちゃんはパスの返しがものすごく速いですよ。いろんな種類のパスを持ってらっしゃる。美人なのにバカみたいなこともできるって、これ大きい。羊ちゃんの場合、トリッキーな瞬間もすごくあるから、それは気持ちいいですよ。 


──馬場礼子さんって、振幅がある人ですよね。 

吉田 フフフ、そうですね。 

八嶋 昼と夜もそうだし、お酒のあるなしもそうだし。 

吉田 ギャップがあるんですよ。 

──見せてるところは全部じゃないって感じがします。 

遠藤事務官は八嶋さんですね。そのまま(笑)

吉田 『HERO』が15話、20話あったら、もっと違う面が出て来るかもしれないですけどね。 

八嶋 描きたくなるんだと思います、作家の人が。でもそれがちゃんと描かれてなくても、奥行きがあって、かと言って全部さらけ出してるわけじゃないから、ミステリアスなところもある。そのさじ加減が、絶妙なんじゃないですかね。 

──逆に遠藤賢司という人は?

吉田 遠藤事務官は……八嶋さんですね。そのまま(笑) 

八嶋 (志村けん風に)そうデス!!  

吉田 「そうデス! 私が八嶋です!!」?(笑) 本当に前室(控室)で八嶋さんとしゃべってるその延長戦上で現場に入って、八嶋さん風の……違う、遠藤風の八嶋さんとしゃべってるっていう感じです。 

──八嶋さん風の遠藤ではなく。

吉田 そうそう、もちろんお芝居としては遠藤さんなんですけれども、遠藤風ですね。それぐらい、いい意味で全然変わらない。 

八嶋 逆に言うと、すごくないですか? 八嶋と吉田でしゃべっていて、そのまま行って僕は遠藤風の八嶋なのに、ちゃんと羊ちゃんは礼子になって対応しているっていう。そりゃすごいですよ。思わず引きずられて前室(控室)の感じになっちゃわないっていうね。

吉田 「八嶋さん」って言っちゃわない(笑) 

八嶋 まぁコヒ(小日向文世)さんはありましたけどね。芝居で「八嶋」って。あまりにシンクロしすぎたんでしょうね(笑) 

吉田 あった、あった。「(久利生公平に)木村(拓哉)くん」とか言ったりね(笑) 

八嶋 そう、だからそれレベルにシンクロしてるってことですね。木村拓哉と久利生公平がシンクロするように? 八嶋と遠藤も? シンクロする的な!?(笑)  

遠藤なんてあんまり意味あるセリフはないんですよ。

──『HERO』って、演劇的なものをメジャーフィールドに導入した意味でも画期的だったと思うんです。劇団『HERO』といった雰囲気で。

八嶋 たぶんいちばんの醍醐味になっているのは(城西支部の)フリースペースだと思うんですよ。あれが『HERO』だ、みたいなところもあって。そこは鈴木(雅之監督)さんが作り出したミザンス(=役者とセットの全体の配置)でもあって、それを感じながら僕らもやってるわけです。プラス、(脚本家の)福田(靖)さんのテンポ感のあるセリフ。

ただ、遠藤なんてあんまり意味あるセリフはないんですよ。この過去14年間見ても、ほとんどない(笑)。ありますよ、いいセリフも。でも14年分全部足しても、たぶん5分もいかないくらい(笑)

吉田 (笑)

八嶋 でもそんなセリフも活きてるんですよね。鈴木さんも、「あっちでメインのセリフがあっても、こっちでもしゃべってもいい」って言うんですよ。テクニカル的にも相当面倒くさいことなのに、音声さんたちもきちんと録っていて、この映画でもちゃんと作品に反映されてる。どっか欠けてもそれは結実しない。映画の画面にそれが結実してると思えるのは、スタッフ、キャストみんながそれぞれ一生懸命普通にやったらこうなった。すごくそう思いますね。

演劇的ってことで言うと、現場でやったライブ感みたいなものを、編集っていう神様がさらによくしているんですよ。ときには鈴木さんが僕らのセリフの頭の間を0コンマ何秒で削っていて、僕らのパス回しより速くなってたりする。それによってライブ性が増したりする。ライブ性みたいなものをみんなに大事にしているっていう結果なんじゃないかなって思いますね。ね? 

吉田 ね! 

──吉田さんはそのへんどうですか? 

吉田 十分じゃないですか! 私がしゃべることはないです。付け加えることはないですよ。 

八嶋 おいおいおい、「吉田羊、全然しゃべってねぇじゃん」ってなっちゃうから! 

吉田 それでいいんですよ。「吉田羊(笑)」で(笑) 

八嶋 いま、世の中の人は吉田羊の話を聞きたいんですよ! でも、このところバーッと(出演)映画が公開されてるけど、その中でもやっぱり『HERO』でしょ!? 

吉田 何、何? 

八嶋 いちばん面白いでしょ? 

吉田 面白いよ? 

八嶋 言った、言った! ほかの映画に失礼だよ!! 

吉田 えっ? どういうこと!? いや、どれも面白いですよ! 

──八嶋さん、何、無理矢理言わせてるんですか(笑) 

八嶋 失礼しました(笑)

吉田 これですからね〜(笑)

八嶋智人
1970年生まれ、奈良県出身。'90年、主宰の松村武と共に“劇団カムカムミニキーナ”を旗揚げ。以後、舞台とあわせ、ドラマ、映画、バラエティ、CM、ラジオなど幅広い活躍を見せる。近年の主な映画出演作に、『つむじ風食堂の夜』(09)、『映画 怪物くん』(11)、『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(14)などがある。

吉田羊
福岡県出身。舞台出演を機に、女優の道へ。2007年、『愛の迷宮』(THK系)でドラマデビュー。最近の主な映画出演作に、映画『ビリギャル』、『脳内ポイズンベリー』、『愛を積む人』ドラマ『ウロボロス』(TBS系)、『ドS刑事』(NTV系)など。7月スタートの連続ドラマ『恋仲』(月曜夜9時・CX系)にレギュラー出演。