東アジア杯は選手の“見極め”機会…勝負にこだわった起用はもったいない

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文=戸塚啓

 結果とテストを両立しようとすると、こういった顔ぶれになるのだろう。8月1日開幕の東アジアカップに臨む日本代表が、7月23日に発表された。

 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督がリストアップした23人には、6月のワールドカップ予選に先発した槙野智章、太田宏介、柴崎岳、宇佐美貴史の4人が含まれている。シンガポールと引き分けたその試合にベンチ入りした西川周作、東口順昭、森重真人、丹羽大輝、谷口彰悟、山口蛍、永井謙佑も、中国へ向かうメンバーに名を連ねる。海外組を交えたチームで構想下にある国内組は、漏れなく選ばれたわけだ。

 もう少し思い切った選考を、個人的には望んでいた。2年前の東アジアカップでは、実に13人が国際Aマッチデビューを飾っている。今回もAマッチ出場が2ケタ以上なのは西川、槙野、森重、山口、興梠慎三の4人で、Aマッチ出場のない選手が7人いる。国際経験という意味では「少ない」選手が多いものの、「若い」選手は意外なほど多くない。

 予備登録というプロセスがあったため、最旬の選手を呼ぶのは難しかったかもしれない。ただ、槙野と森重がいるセンターバックには、水本裕貴と丹羽ではなく岩波拓也と植田直通を招集してほしかった。予備登録入りしたU−22日本代表のふたりに経験を積ませるには、将来的にフル代表の利益にもつながると考えるからだ。

 結果重視で挑むとしても、テストに軸足を置くにしても、ディフェンスの安定は前提条件だ。守備からゲームのリズムを作ることで、アタッカー陣の適性を見極めることができる。だとしても、槙野と植田、森重と岩波といったコンビで最終ライン中央を組むことが、リスクの大きな冒険とは思えない。

 ハリルホジッチ監督は「勝つためのトライをする」と話しているが、スタメンと控えを分けるような選手起用には反対だ。中2日または中3日の3連戦というスケジュールを踏まえても、フィールドプレーヤーは漏れなく使っていい。それによって結果が出なくても、僕自身は批判材料にならないと判断する。

 今回のメンバーでもっとも旬な選手を探せば、武藤雄樹になるだろう。移籍1年目の浦和レッズで決定力を開花させた26歳は、Jリーグで自信を膨らませている。東アジアカップで手ごたえをつかめば、彼が宿す自信はさらに太く、さらに強くなる。

 U−22日本代表から選出された遠藤航と浅野拓磨も、東アジアカップをさらなる成長の機会にしてほしい選手だ。彼らの活躍は個人の財産にとどまらず、リオ五輪出場への可能性を拡げることにつながる。先行するふたりの存在を刺激として、U−22日本代表全体がレベルアップしていく。

 予備登録でMF登録だった遠藤は、今回の発表ではDFに変更された。所属する湘南ベルマーレで3バックの一角を担い、U−22日本代表ではボランチが定位置の彼は、複数のポジションでプレーできる。湘南では追いかける展開のオプションとして、トップ下や最前線で起用されることもある。

 3月のリオ五輪アジア1次予選で、遠藤は中1日で3試合に出場した。心身ともにタフな選手だけに、大会のキーマンに指名したいほどである。

 7月29日にJ1リーグを消化する選手たちは、翌30日の夕方に開催地の中国・武漢に到着する。2日後にはもう、北朝鮮との開幕戦を迎える。

 ぶっつけ本番のスケジュールだけに、チームとしての練度は求めにくい。1試合目より2試合目といったように、試合を重ねることでの変化が読み取れれば及第点である。

 ピッチ上においては、個々のクオリティが問われる。練り上げたコンビネーションやあうんの呼吸を望めない以上、サッカーの原理原則を土台とした個人の対応能力が浮き彫りになる。そういう意味では、選手の見極めに適した機会だ。勝負にこだわった選手起用は、それだけにもったいない。