親知らずの抜歯は怖くない!静脈内鎮静法で心身の負担を軽減

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猛暑が続く時期に歯科医に来院する患者にはある傾向が

梅雨が明け、猛暑が連日のように続くこの時期に来院する患者さんには、毎年同じような傾向があります。それは「腫れもの」が多いということです。具体的には、「智歯周囲炎(ちししゅういえん)=少し埋まっている親知らずの周囲の歯茎に、バイ菌が入って化膿している状態」「急性の歯周炎=歯周病(歯槽膿漏)の炎症が急性化した状態」「歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)=上の奥歯の虫歯からバイ菌が入って生じた鼻炎」などの患者さんが顕著に増加します。

中でも、親知らずが原因で起こる智歯周囲炎の患者さんが一番多いかもしれません。「智歯周囲炎」とは、過労や寝不足、夏バテが体の抵抗力を低下させ、親知らずの周りを化膿させ、バイ菌に付け入る隙を与えてしまうために起こります。


親知らずを抜歯する必要はあるのか

こうしてほとんどの人が経験する「親知らずの痛み」ですが、虫歯が無い人でも、この時ばかりは歯科医院を訪れることになります。では、親知らずはどうして痛くなり、抜歯する必要があるのでしょうか。それは、「まっすぐ生えていないことが多い」という点に起因します。

曲がって生えていれば「上手く噛み合わない」、あるいは舌や頬に当たって口内炎のような傷になってしまうこともあります。しかも、奥歯のため歯磨きが行き届かず、食べかすや歯垢が溜まりやすいため、すぐに虫歯になり、先述の「智歯周囲炎」になって痛みを生じるのです。

また、親知らずを抜かなければならない大きな理由は2つあります。親知らずは一番奥なので、歯科医師が治療しようにもよく見えず、治療器具も奥まで届きにくく、ハッキリ言って不完全な治療になりやすいためです。仮に治せたとしても、患者さんが上手に手入れできなければ、すぐにまた虫歯になってしまいます。さらに、智歯周囲炎の場合、親知らずの存在そのものが周囲を不潔にしているため、抜歯することで清掃性が改善され、バイ菌の住み家が無くなり完治します。


精神的苦痛を軽減する診療オプションとして麻酔法が注目される

しかし、「埋まっている親知らずの抜歯なんかとんでもない」「そもそも歯医者自体が苦手」「あの削る音が嫌い」という人もいます。また、苦手どころの話ではなく、「歯科治療恐怖症」という人も。そんな患者さんの精神的苦痛を軽減する診療オプションとして、「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」という麻酔法があります。点滴で眠くなる薬をゆっくり静脈注射し、気分をリラックスさせ、眠っている状態を作り出す方法です。

最近では歯科だけではなく、吐き気を抑制する効果もあるため、胃カメラの検査にも用いられています。笑気ガスに比べて効果が安定しており、健忘(もの忘れ)効果があるため、処置中の嫌な思い出が残らないメリットもあります。歯科が苦手でなかなか治療に踏み切れない人は、試してみてはいかがでしょうか。
※実施している医療機関が少ないこと、クリニックによっては保険外診療(自費)になるので、事前にご確認ください。


【飯田 裕:医学博士・歯科医】


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