女性がハマる官能漫画TL。いじめられOLが次々とイケメンに…
 みなさん、ティーンズラブコミック(TL)を読んだことはありますか?「エッチな漫画でしょ?」って? はい、そのとおりです。でも「ティーンズ」と名前がついていますが、10代向けの漫画ではなく、大人向けの官能漫画です。

 2000年代に生まれたばかりのジャンルですが、才能ある作家を何人も輩出しています。中には、ジャンルを変えてプラトニックな少女漫画を描くようになり、アニメ化されたりミリオンセラーの作品を描くようになった作家さんもいます。

 そんなTLの中からお勧め作品をご紹介しましょう。「お勧め」とはズバリ、お話としてもおもしろく、かつヌルっとエッチな作品です! キリっ!

◆次々と言い寄られる逆ハーレム

その第1弾は『甘やかな花の血族』(冬森雪湖)。大爆発人気シリーズです。

 簡単にストーリーを説明しますと、普段は別にサカってないのに、主人公の朝霞に対してはどうしてもムラムラしてしまうイケメン一族の話です。

 朝霞は平凡でちょっといじめられてるOLです。そこへ現れたイケメン大会社社長・東吾さんから突然食事に誘われ、プロポーズされます。平凡な女子が不釣り合いなほどデキのいい男から言い寄られる……女の人生第一希望ですね。

 で、その食事の場でいきなり朝霞は薬を飲まされ眠らされ、誘拐されてしまうのです。 はい、ここもう女子萌えですね。イケメンに誘拐されて「俺のものになれ」とか言われる……実際やられたらたまったもんじゃないですが、妄想なら都合のいいようにいろいろ補填するので大丈夫、むしろしびれるくらいの萌えです。

 しかしなぜ東吾さんは朝霞を誘拐したのでしょうか。そこがこの作品の謎の1つであり、キモの部分でもあります。

 で、イケメンが主人公を誘拐したらあとはご期待通り、せっせとご奉仕をしてくれます。ここが男性向けのエロ作品と違うところですが、東吾さんは朝霞に敏感になる薬を使ったり、おもちゃを使ってみたり、もうこれでもかというくらいの大サービスしてくれます。なぜわざわざ東吾さんは朝霞にそんな薬を使うのか、これはもう親切としか思えません。

 そして東吾さんには千早さんというイケメン秘書がいるのですが、彼に東吾さんがひどい仕打ちをするのにも、実は理由があります。二人の間には隠された過去があるのでした。ここも作品中に明らかになっていきます。

◆優秀なTLはちゃんとドラマがある

 優秀なTLは、サービスシーンをただダラダラ描くのではありません。ふたりがイタす理由がきちんとあり、そこにドラマがあって、感情移入ができるように作られています。感情が存分に高まったところでサービスが始まるから、気持ちがいいんです。女は、結果ではなく結果に至る理由とか段取りが大事なんですよね。

 朝霞が「ちょっとトラウマがあってアンニュイなイケメン」から次々と言い寄られ、身体をねらわれる『甘やかな花の血族』。ちょっと民俗学っぽい臭いがするところも高尚です。

 そして本編があまりに人気だったためか続編が出ています。『甘やかな花の血族〜紅蓮』です。

 こちらは舞台が戦時中で、これまた民俗学な匂いがぷんぷんします。しかしあまりに高尚にしすぎたために、単行本1冊のうち、サービスシーンが数回しかでてきませんでした。

 そこがTLのジレンマですが、あまりに話を深く高尚にするとサービスシーンを入れにくいんですが、逆にサービスシーンばかりでは女は萌えません。新しいジャンルだけに、そこらへんのバランスはまだまだ模索中なのかもしれないですね。

 作者の冬森雪湖さんは、そんなTLにものすごくでっかく高尚なネタを詰め込むというチャレンジをしていて、どの作品も刺激的です。また、彼女の作品には必ず「背徳感」「トラウマ」そして「愛が生まれ癒やしになること」がテーマにあります。トラウマを持ったアンニュイイケメンがオラオラ言いながらひたすらご奉仕してくれるので、Mっ毛のある女性にお勧めです。

 現在、『甘やかな花の血族〜金剛』1巻が発売中で、続きを『Young Love Comic aya』で連載中。これは朝霞の娘の代のお話です。

 年取った朝霞や東吾さんが出てくるんですが、エロの主役は娘です。影でめちゃくちゃイケメンからサービスされている娘を見て朝霞は「あら、私も昔はこんな経験していたわ」なんて察したりしてるのかなとか想像するのもまた一興かと。

<TEXT/和久井香菜子>

【和久井香菜子(わくい・かなこ)】
ライター・イラストレーター、少女漫画コンシェルジュ。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。ネットゲーム『養殖中華屋さん』の企画をはじめ、語学テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。街で見かけたおかしな英文から英語を学ぶ「Henglish」主宰。