「最初の16分で4点を取られた時点で、事実上、勝負は決していました。しかし、彼女が途中出場してから大きく流れが変わり、見応えのある試合になりましたよね。もしスタメンで起用されていたら――。そう期待させるに、十二分なパフォーマンスだったと思います」

と、スポーツ紙サッカー担当記者を唸らせたのは、澤穂希(ほまれ)(36)。カナダで開催され、7月5日(現地時間)に終了したサッカー女子ワールドカップ(W杯)に、実に6大会連続で出場した女子サッカー界の"レジェンド"である。

ご存じの通り、日本代表のなでしこジャパンは、決勝戦で米国に5−2と大敗。悲願の2大会連続優勝は果たせなかったが、「これが最後のW杯」と公言して大会に臨んだ彼女の動きが実に素晴らしく、再評価の機運が高まっている。長年、なでしこジャパンを取材するスポーツライターの上野直彦氏も、今大会の澤のプレーには大いに驚かされたという。

「危機を察知し、相手の攻撃の起点を潰す"火消し"の能力がズバ抜けていましたね。また、勝負どころでの縦の動きにも素晴らしいものがあり、いざとなれば、ケガを恐れず身体を投げ出す姿勢も、若い選手には大いに学ぶものがあったと思いますね」

MVPと得点王に輝いた前大会のあと、良性発作性頭位めまい症を発症。一時は、限界説まで囁かれた。

「しかし、この1年、所属のINAC神戸でのプレーでは、フィジカルの強さとキレの良さ、状況判断など、すべてが4年前と同レベルに戻っているように見えました。W杯にきっちり合わせてくるのは、さすが。超一流の証です」(上野氏)

澤本人は帰国会見で、

「悔いはなく、自分自身はやり切ったと思います」

とスッキリした表情を見せ、引退を匂わせた。だが、そうは問屋が卸さない。

「サッカー関係者の間では、"来年のリオ五輪は当然で、4年後のW杯、5年後の東京五輪も目指してほしい"という声が上がっています。加えて、日本サッカー協会が開催国に名乗りを上げる2023年の女子W杯の招致活動にも"世界のSAWA"の存在は大きい。こちらでも活躍が期待されてます」(前出の記者)

そこで気になるのは体力の衰えだが、

「落ち着き、試合を作る展開力などは、4年前よりすごい。スピード感は目減りしようと、澤の実力は、まだ進化の途上にあります」(同記者)

澤が敬愛する、"キングカズ"こと三浦知良も、

「本人の強い意志があれば向かっていけるのでは」

と、4年後のW杯に本気エール! 澤選手、頼む!!