絵の中にある音を想像して楽しむ!根津美術館コレクション展「絵の音を聴く」

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かつて、イマジネーション豊かな中国の文人たちは、壁に掛けた山水画から水の音や鳥の声を聴き、絵のなかの世界に心を遊ばせる「臥遊(がゆう)」という遊びを好んだとか。現代に生きる私たちも、名画を観て耳を澄ませば、イメージの世界で自分なりの音を聴くことができるかも…。

2015年7月30日(木)から9月6日(日)まで、南青山の根津美術館で開催されるコレクション展「絵の音を聴く―雨と風、鳥のさえずり、人の声―」は、特に音をイメージしやすい作品を展示したという企画展。中国の南宋時代・13世紀の重要文化財「風雨山水図(ふうさんすいず)」(伝夏珪筆)から、江戸時代・19世紀に描かれた「夏秋渓流図屏風(なつあきけいりゅうずびょうぶ)」まで、所蔵作品を中心に約25件で構成している。

会場では、鑑賞する人に自由に音をイメージしてほしいので、特にサンプルとなるような音源は提供せず、「どんな音の情景をえがいたものか」という説明だけを提示するそう。絵の中に描かれたものだけでなく、そこに聴こえているはずの音を、自分なりに感じ取って。
例えば、江戸琳派の鈴木基一・作「夏秋渓流図屏風」からは、ヒノキの林の間を流れる谷川のせせらぎや、幹にとまった1匹のセミの鳴き声が聴こえるかもしれない。ほかにも、室町時代に描かれた雪村周継の「龍虎図屏風(りゅうこずびょうぶ)」では、迫力ある画面から、龍や虎が巻き起こす風や雲のとどろくような音をイメージできそう。

「『臥遊』は、絵を自分の中にイメージとして取り込んで、室内にいながらにして胸中の山水に遊ぶ、という高尚な遊びでした。暑い夏、しばし心を澄ませて、絵の中に遊んでみてはいかがでしょうか」と、広報担当者さん。

会期中は、根津美術館・学芸部長の松原茂さんを講師に、8月22日(土)には講演会(往復葉書で申し込み必要)、そして7月31日(金)と8月14日(金)にはスライドレクチャー(予約不要)という形で、絵の音の楽しみ方を解説するプログラムもあるとか。本格的に「臥遊」を楽しみたいなら、解説を聞いた後に鑑賞するのもオススメ。

展覧会で絵に耳を傾けるという、新しい鑑賞体験で自由に心を遊ばせて。

画像上:夏秋渓流図屏風 鈴木其一筆 6曲1双(右隻) 日本・江戸時代 19世紀 根津美術館蔵
画像下:龍虎図屏風 雪村周継筆 6曲1双(左隻) 日本・室町時代 16世紀 根津美術館蔵