「女性自身」(光文社)8月4日号

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 安保法制が衆院で強行採決されたが、それでもなおこの"戦争法案"に反対する声は日に日に高まっている。だが一方で、戦争反対、集団的自衛権反対を表明する著名人たちへの誹謗中傷やバッシングが巻き起こるという卑劣な事態も同時に起こっている。

先日もタレントSHELLYがツイッターで強行採決について疑問をつぶやき大炎上した。また胆のうがんなどを患い満身創痍の体調ながら度々デモや集会に参加している作家の瀬戸内寂聴も、「ババアは死ね!」「戦争反対というなら中国に言え!」などと批判を浴びせられた。挙げ句は「不倫していたくせに」「金をもらって集会に出ている」という聞くに堪えない誹謗中傷さえ飛び出す始末。

 しかし瀬戸内がこんなことで怯むわけがない。最近になってもますますその活動、舌鋒鋭く安倍政権と安保法案の大批判を展開している。

 今週発売の「女性自身」(光文社)8月4日号では「美しい憲法を汚した安倍政権は世界の恥です」と題し、こう語った。

安倍晋三首相と、与党議員たちが強行採決した安保法案は、日本国民を世界中で死なせ、家族を不幸にし、国まで滅ぼすものだと思います」
「これだけ国民に反対されていることを自覚しながら、"戦争法案"を押し通した安倍首相の神経は理解しがたいですね」

 安保法制に反対する作家、有名人の中でも、ここまで強い調子で安倍首相を非難できる人間はそう多くないだろう。そして、瀬戸内はこう言い切った。

「多くの国民が安保法案に反対したという事実、そして安倍首相と政府与党がどれだけ横暴なことをしたのかという事実は、歴史に刻まれます」

 瀬戸内はこの「女性自身」のインタビューに答える少し前、7月10日にも京都の寂庵で定例説法を開いているが、ここでも「可愛い息子や孫が戦争に連れて行かれ、行けば殺さないと殺される。沢山殺せば褒められる」、それが戦争というものの実態だと訴え、そしてこう断言した。

「安倍首相がいかに悪い政治家だったか歴史に残る」

 ネットでは、こうした発言について今も「単なる妄想」「なぜそこまで妄想できるのに中国が戦争始める妄想はしないのか不思議」という声が浴びせられているが、これは妄想ではない。

 現在93歳の瀬戸内は青春期に戦争を体験している。大学1年生の時に真珠湾攻撃があり、普通の国民のように、「東洋の平和を守るため」という言葉を信じ、大きな感激を覚えたという。

 だが、その2年後、瀬戸内は結婚して北京に移り、そこで日本人が中国人を抑圧している様を目の当たりにし、戦争に疑問を感じ始めたのだ。そして敗戦を迎え、苦労して日本に引き揚げてみると、故郷の徳島は焼け野原、母や祖父は亡くなっていた。

 こういう体験が「戦争にはいい戦争も悪い戦争もない」という言葉につながっている。瀬戸内は先の「女性自身」のインタビューでこんなことも語っている。

「(7月15日のデモで)必死に声を上げる彼らを見て、私が連想したのは、昭和18年10月に行われた神宮外苑競技場で行われた学徒動員出陣の壮行会です」

 この壮行会は戦場に赴く2万5千人の学生と、5万人の女子学生らが集まり、「海行かば」を大合唱して見送ったというものだ。デモを見ながら、その光景がオーバーラップするというのは、彼ら安保法制に反対する若者までが安倍首相の戦争政策に呑み込まれてしまうという恐怖をリアルに感じているからだろう。

 この言葉を我々は真剣に受け止める必要がある。
(伊勢崎馨)