澤穂希(「日本サッカー協会 公式サイト」より)

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 惜しくも連覇は逃したが、2011FIFA女子ワールドカップ、2012年のロンドンオリンピック、そして今回の2015FIFA女子ワールドカップまで、女子サッカー界の国際大会で、3大会連続で決勝進出という快挙を達成した「なでしこジャパン」ことサッカー日本女子代表。芸能界やスポーツ界からも「なでしこジャパンを見て、あきらめない心の大切さを学んだ」との声が聞こえたように、テレビ越しに心を動かされた人も多いだろう。

 前回ワールドカップで優勝した後には、なでしこリーグの観客動員数が激増したが、その傾向は今回も同様にある。7月12日に開催された岡山湯郷ベル対INAC神戸レオネッサの対戦では、満員となる5000人近いサポーターが会場に詰めかけた。同日のリーグ戦5試合の平均動員数で見ても、リーグ中断前を600人以上上回る2078人を記録。

 女子サッカーが抱える課題は、代表戦以外への注目をいかに集め、人気定着を図ることができるかに尽きる。そのためには、女子サッカー界のレジェンドでありシンボルでもある澤穂希という偉大な存在から、どのように脱却するかが重要と指摘する声もある。

「今年のリーグ戦の記者会見では、試合内容に関する話よりも澤のコンディションへの質問が大半でした。特にワールドカップ前には、その傾向は顕著に表れました。なでしこリーグでも10代後半や、20代前半の若い才能も出てきているのですが、なかなかスポットライトが当たらないのが現状です。やはり世間一般の関心も、どうしても澤に集まってしまうためです。それだけインパクトがある選手ですし、女子サッカー界で今後、澤を超えるようなカリスマ性を持つ存在が出てくるかというと、なかなか難しいでしょう。所属チームや代表でも、澤が与える影響は計り知れず、周りもどうしても澤を立てます。本人もそのことを十分にわかっているので、次の世代のためにも早くから『最後のワールドカップになる』と宣言していたのだと思います」(スポーツ紙記者)

●これからの1年間が女子サッカーの正念場

 来年のリオデジャネイロオリンピックまでの1年間は、女子サッカー界の今後を占う重要な年となる。もちろん若手が、澤を含めた現在の代表メンバーの牙城を崩すことは容易ではないが、世代交代を急がなければ世界から取り残されると危惧する声も聞こえる。

「リオ五輪までは、現在のメンバーが主力となり活躍できると思いますが、2年後、3年後を考えると世代交代は必須です。今回のメンバー発表を見た時も、『佐々木則夫監督は若い世代に経験を積ませることより、今大会に全力を注いだ』という印象を受けました。それだけ、なでしこの未来にとって今大会の位置づけが重要だったこともありますが、若い世代からの突き上げがなければ、今後結果を残し続けるのは厳しいでしょう。今回のワールドカップを見ても、トップクラスの国と新興国の差は急激に縮まってきています。そして女子サッカーのレベル自体も、ここ数年で高まりました。なでしこは個の力ではなく、長年同じメンバーで戦ったことで生まれた、他国には真似できない連携で勝負するスタイルです。それだけに、メンバーが変わると大きく力が落ちる可能性があり、転換期を迎えていることは間違いありません。それだけに、佐々木監督が今後の代表選考でどんな冒険をするかに注目しています」(同)

 8月1日から開催されるEAFF女子東アジアカップ2015のメンバー23人が7月21日に発表されたが、村松智子、横山久美、京川舞、猶本光、増矢理花、田中美南といった20歳前後のホープたちが中心に選出された。

 偉大すぎるレジェンドの動向や、スター性のある若手選手が出現してくるのかなど、今後の女子サッカーの定着を考えた上で避けて通ることができないテーマが、この東アジアカップからリオ五輪までの間に降り注いでくることになる。
(文=編集部)