8月1日から中国・武漢で開催される東アジアカップ2015に行く日本報道陣は、すでにトラブルに巻き込まれているようだ。

通常、大会組織委員会は開催1カ月以上前から取材申請要項を公表し、報道陣はそのガイドに沿って取材申請、ビザ取得という流れになっている。たとえば2013年に韓国で開催された東アジアカップでは大会が7月20日スタートなのに対し、取材要項は1カ月以上前の5月31日に発表され、取材申請は約2週間後の6月12日までとなっていた。

ところが今回はなかなか取材申請要項が発表されない。中国滞在時の取材活動に必要な報道ビザの取得には、中国からの「公電」と呼ばれる招へい状が必要なのだが、手続きには時間を要する。

そこで日本サッカー協会は6月30日、必要と思われる書類を過去の例にならって報道陣に通知し、7月7日を締め切りとして集め始めた。すると7月6日になってやっと申請方法が日本サッカー協会に通知される。

ところがこれが表計算のシートになっており、そこに必要事項を書いたり、画像を貼り付けて送れという、これまでに例を見ない申請書類だった。しかも締め切りは7月10日。先に提出していた機材リストなども、もう一度フォーマットを変えつつ入力する。

これでやっと申請が終わり、あとは「公電」が日本の中国領事館に入るのを待つだけ――にはならなかった。7月16日の夜になって「武漢外務省が申請者の属する組織の情報を求めており、指定の用紙に会社概要を記載し、社印を押して提出すること」という連絡が入る。しかも締め切りは翌7月17日。

締め切りまでの時間があまりに短いと日本サッカー協会が申し立てると、17日になって「締め切りは21日でいい」との連絡が入り、さらに「フリーランスメディアは必要ない」ということにもなった。

これで「公電」は7月24日または27日に届くことになりそうだ。すると報道陣は7月27日または28日にビザを申請し、最短で受け取れたとしても29日または30日。試合前日の練習を取材しようとする場合は30日には武漢に飛ぶことになるだろうから、領事館でビザを受け取り、そのまま空港に直行などということにもなりかねない。

はたしてこの調子で10日間の大会が無事に終わるのだろうか。報道陣には日本代表の戦いぶり以外にも心配するべきことがたくさんありそうだ。

【山本遼太郎】